「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「おぼろ月夜」

2009年03月18日 | 思い出話
   ♪♪ 菜の花ばたけに いり日うすれ 
           みわたす山のは かすみふかし 
        春風そよふく 空を見れば 
            ゆうづきかかりて においあわし ♪♪

小学3年生のとき、いつものように友達と日の暮れを目指して小学校の校庭で遊んでいた。
先生が呼びに来られて、沖永君とふたり講堂に連れて行かれ保護会全体集会の前に立たされたた。
演台の上に大きな箱が置いてある。直径20㎝もある輪っかが二つ並び、映画のフィルムのようなものが巻き付いている。大勢の大人が一様にこちらを見ている。

なんじゃろーとよく見ても、初めて見る機械でよくわからない。そのうち「これからこの二人に歌を歌わせます」といきなり。逃げ出す間もなく、ピアノ伴奏で「おぼろ月夜」が流れ始めた。歌うしかない。大きな声で二度も歌った。「では…皆さんにもう一度今の歌声を聴いて頂きましょう…」そしたら、今ふたりで歌った歌声がその箱から講堂に響く。

これが、その時初めて小学校に配置された「録音機」だったのである。歌った本人が自分の声を聞いて驚いた。当時はまだ小節も利いていなかったし、節回しも今一だったようだ。今だったらなー…、おぼろ月夜でなくてリクエストにお応え出来たのに…。但し声質は今より数段よかったようだ。

あれから半世紀あまり。電気器具でこれほどの進化を遂げたのも珍しいといわれるテープレコーダー。小学生には一人で持ち上げられないほど、大きく重かった。今や、手のひらはおろか、ペンタイプまで小型化・高性能化している。人間の英知の進歩はそれこそ目をみはるものがある。

そこへ行くと、我が人生の進歩は如何ばかりか…。逆に、その当時のきれいな歌声?と共に、失っていったものは数知れない。残ったものもある。「感情にまかせて、人の温かさまで見失う愚かしさ・自分本意この上ない我が儘……」 それと幸い命が残っている。大いなる反省の上に立って、おぼろ月夜のように、自分の感情を少しでもかすめさせるよう気を付けたい。 菜の花が咲く頃になると、遠い昔を思い出す……。

         ( 写真: 小川のせせらぎによく似合う菜の花 )
コメント (9)
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