夫婦にとってはあまり帰りたくなかった昨日、二人の娘に押し切られる形で親子4人が、お隣の県から里帰りしてきた。
「じいちゃん、おいも掘りしよう」顔をみるなりすり寄ってきて、両手を合わせてお願いポーズをする。特に小1のお姉ちゃんは、自分の意見をはっきり申し出るタイプ。ハハーン、おいも掘りがしたくて、お父さんに無理なお願いをしてわざわざ帰ってきたのだなと想像がつく。
それほどにおいも掘りがしたいとは、ジジの農作業にも張り合いが出るというもの。
朝一番で畑に出る。長く延びた芋づるを刈りとる間も惜しんで、長いままを長いままを引き抜こうと踏ん張る。「待て待て、引き抜きやすいようにして上げるから」。そうしてちっちゃな手を泥の中に突っ込んで上手にかき分ける。おいもの先っちょが手に当たると「あった~~」と大喜び。普段は静かな畑に時ならぬ歓声があがる。
こんなもんじゃないよ。これはホンの一分ですぞ!
中にはお姉ちゃんの顔くらいのデカイのもある。「これ奈那ちゃんみたい」と、小っこい細い芋を顔の前に持ってきて、妹の奈那が笑う。
この日のために5月終わりに畑作りに汗を流し、6月に植え付け。真夏の日照りが続くと、真砂土で保水生の良くない土質はすぐにカラカラに渇いて、根っこの生育が覚束なくなる。2日に1度は水やりが必要となる。
でもそうやって手間暇掛けることが一つの癒やしにもなっている。その上に、出来た芋掘りにこれほどの笑顔と歓声をくれれば、この上ないジジの癒やしである。また来年も植えるぞ、などと早くも鬼が笑いそうな来年のことを考える。
太陽と土と水があれば作物はできる。その上に応援団の歓声とそれに応える健康を保とうと少し頑張ってみる。これぞ元気の源である。はてさて、いったいいつまで続くやら。