2020東京オリンピックへ出場を決めた、池江璃花子選手の笑顔
その瞬間、心からの感動を覚えた。池江璃花子選手が100mバタフライで優勝。その直後の取材で見せたあの素敵な笑顔。時折声を詰まらせ、涙ながらに語る勝者の弁。思わずもらい泣きの涙が頬をつたう。単にオリンピック予選通過の喜びとか、オリンピックの晴れ舞台で泳げる喜びとか、そういったものの全てを超越して、世界の人々からも絶賛の声が上がる快挙である。
5年前、15歳でリオデジャネイロオリンピック出場。その競技生活は順風満帆、金メダリスト間違いなしと言われていた。ところが、2年前に白血病と診断され、10ヶ月に及ぶ闘病生活で体重は10kg以上も減ったという。その後1年あまりの過酷なトレーニングと、自らの夢に向かって努力に次ぐ努力であったという。こんな話はことさら言うまでもなく、皆さんご承知の通りである。
そして病み上がりの20歳の今、一時は本人も「次のパリ五輪を目指す」と語るほど東京オリンピックへの出場は絶望の淵にあった。それでも「私は病気になったからこそ分かること、考えさせられること、学んだことが本当にたくさんありました」との言葉通り、自分を信じて『努力』してきた。
「5年前のオリンピック選考会よりも、ずっと自信もなかったし、自分が勝てるのはずっと先のことだと思っていたんですけど、自分がすごくつらくてしんどくても、努力は必ず報われるんだなというふうに思いました」と語る涙声の向こうで輝く笑顔。世界中を明るく照らす「リカコスマイル」であった。
何かと躓きの多かった東京五輪が、この一件で一筋の光明を見いだしてくれたのは有り難いと思いたい。それに、いまや八方塞がりにも似たコロナ閉塞感から抜け出せない私たちに、嬉し涙と心からの笑顔を取り戻させてくれた。それは一瞬の出来事なのかもしれないが、彼女の努力と同じように、我々人間が、たとえつらくてしんどくても、束になって努力をすればコロナだってやっつけられる日が来るということを改めて教えてくれた。リカコスマイルに栄光あれ!!