活躍中の森英恵さんとその家族 (ネット拝借)
世界中の美と艶を奏でるファッションの世界に「ハナエ モリ」の名前をとどろかせ、君臨し続けたデザイナー森英恵さん。
96年の歳月をもってその活躍のステージは静かに幕を下ろした。
主に女性向けのデザイナーという印象が強くて、私生活において彼女のデザインを格別に意識することもなかったような気がしている。それでも、蝶をあしらう森英恵デザインのタイピンとか財布、ハンカチーフに目を惹かれ、気取って愛用した若い時もあった。それより何より、我が青春華やかりしころから、周囲の同年配や少し先輩女性のあいだで、森英恵さんは話題の中心であったような記憶がある。そしてこの名前の文字を森ハナエと読むことに大きな抵抗を感じたことも、若いころから森英恵さんを記憶し大きな大きな理由の一つでもある。
ファッションデザイナーのコレクションなどというと、やたら奇抜で派手過ぎて、普通の衣装としてはとても使えそうもない「まるで別世界」と感じる内容を多く見て来た。しかし、森英恵デザインは英国王室や我が国皇室の正装として実用的に採用されているように、斬新なアイデアの上に上質な気品に満ちているように感じてはいた。何も分からない素人が、知ったげな小理屈を並べているが、若い頃からの人気が96才まで維持出来るところは、やはり並みの人ではないと、あまり関係のないところではあるが、心底尊敬している。
人はいつか終わりが来る。振り返ったときの足跡の大きさ、歩んできた道幅の広さ長さなど、色んなことをいろんな人が勝手に評価するのだろうが、第一線のトップランナーとして半世紀どころではない長きその活躍に、敬意と拍手を持ってお見送りしたい気持ちである。