これは、うら若き青年が病魔に侵される直前まで、命を燃やして描き続けた、繊細な鉛筆画による壮大な物語である。
中学1年から描き始めて3年余。高校1年を終えた春休みに「脳腫瘍」という大病を発症。頭の中で描き続けた「アリの戦争」という物語は、その壮絶さゆえに完結をみないまま、あえなく絶筆を余儀なくされた。
そんな「松村大輝君の世界、作品展」に出会わせてもらった感想である。
志半ば、20歳の誕生日を目前にした19歳で、無念の早世となった彼の魂に先ず、合掌。
その壮絶な物語の舞台は、孫三兄弟の三男が通う通津小学校のコミュニティルームに展開されていた。
地方紙のローカル版を飾るタウンリポートとして、過去何回か取材、掲載をしてきたご縁で、校長先生から「是非ご覧いただきたい」というお電話を頂いた。
部屋に入るなり、アッと声を上げるほどの、緻密で繊細、壮大な世界が広がっている様子に、驚くというより圧倒される思いに駆られた。
よく観ると、無数のアリがそれぞれの持ち場で懸命に働く様子が、A-3版用紙53枚連結で、長さ6m。高さ1,1mのアリの世界が広がっていた。
描くときはAー3版用紙でありながら、それは全てが完全につながることで、1枚の絵として物語が出来上がる仕組みになっている。しかも地上と地下に別れている様子も、住処を広げるための工事現場で、重機を使って働く様子もはっきりと見て取れる。
そこには約1cm前後の働きアリ5500匹が、持ち場持ち場でそれぞれの作業に精出している。それを攻撃してくる天敵のハチやアブなどに対しては、「アーリー」と呼ぶ、目の下にホクロを描いた特殊な47匹の軍隊アリがうまく配置されている。そのアーリーを捜すのも、見る人の興味をそそる仕組みとなっている。
当初は1cm前後だったアリが、病気の進行につれてだんだん大きな絵になっていき、1匹描くのに随分な時間が必要となって行った。そういった全てを見て来られた両親は、大輝君の努力を無駄にしてはならない、と一念発起。53枚を丁寧につなぎ合わせる作業こそが彼への供養となる。ということでこのような絵画展が開かれるに至ったというお話し。無駄にしてはあまりにも、もったいない。
「百聞は一見にしかず」である。ごちゃごちゃ説明するよりも、その眼で一度現物を確かめて頂きたい。そして、A-3版であと3枚描き上げたら、松村大輝君の想像した絵は完成するであったろうことを想像して頂きたい。
愛宕小、川下中といえば紛れもなく我が後輩である。それはともかく、この作品展は各地で開催するべきであると思っている。
ご両親にも呼びかけたい。
今回の通津小展示は12日を1日残すのみとなった。
しかし、今後も市内はもとより、多くの場所で『よみがえる大輝の世界展」が開催されることを働き掛けたい。最後に今一度、合掌!
実物の絵をぜひ鑑賞したいと思います。
そんな機会がありましたらご一報ください。
兎に角、心を洗われるような、命と向き合ったような筆致です。
もしご希望なら、12日(火)午前9時~16時40分の間、通津小学校受付に行けば見せてもらえます。
大樹君の作品拝見しました。感想はまた書かせてもらいます。
会場で大樹君を知っている岩工の元教師に出会い話し込みました。
一人でも多くの人に見てもらいたい、感動の作品展だったと思います。
遠くまでご苦労様でした。