(14日の台風接近前の夕方です)
お盆は亡き人々をお墓に迎えに行き家に連れ帰り供養する。
短い日数を家で過ごす仏様、ご先祖の霊は束の間の安穏に浸ることが出来たであろうか。
高校時代最も親しい友となり、濃密な時間を共有した友人がいた。
彼が高校を卒業し、上京してからも付き合いは続き、帰京すると我が家に逗留。
我が家の両親に「何日泊っても良いが、ご両親にも顔を見せてきなさい」と諭されると帰って行った。
でも、どうも自宅に帰省した様子は無く、そのまま我が家から東京に向かったようだった。
どんな経緯か、聞きもしなかったし彼も可たることは無かったが、実家と疎遠な事は薄々感じていた。
そんな彼と、30歳代に入ったばかりの頃から、ぷつんと付き合いが途切れてしまった。
(15日の朝です)
そんなに親しく付き合った友人との関係が途絶えたかと言うと、有ることが原因だった。(と、想像する)
私の叔母、母の妹が早くして寡婦となり、東京で居酒屋を経営して暮らしていた。
それを彼に教えると、密かに店を探し出しいつの間にか常連客になっていたようだった。
上京した際に彼は黙って私にとっては初めてのその店に誘い叔母を驚かせたものだった。
その後は想像するしかないのだが、その店に関係した女性に彼は恋心を抱いたようだったと聞く。
叔母の店は土地開発計画に関係して移転するのだが彼にはその話を伝え忘れていたのではなかろうか。
多感、純真な彼はその女性との関係を断つために移転話をしなかったのではないかと思いこんだと想像する。
その頃から、電話の交換が何回かあっただけでその後、彼との連絡はぷっつりと途絶えてしまったのです。
(15日の日中です。稲穂が台風の関係する風で揺れていました)
そんな彼が無くなったと聞いたのは数年前の事。驚きと悔いとの複雑な思いが交差し悩まされた。
彼の実家は妻の実家と同じ集落で、いつでも訪問できる距離。ここ何年かはお参りに行きたい気持ちがあったが行けなかった。
心の中にどこか躊躇する部分があり、行きたいと思い続けながらもお盆の多忙さにかまけて怠っていたのです。
何年もそんな気持ちを持ち続けていましたが、今年は我が家が夫婦二人きりの静かなお盆でもあり訪問お参りに行きました。
妻の実家の兄上、義兄に案内を請い初めての彼の実家を訪問しお参りすることが出来たのでした。
ご実家は弟さんが継ぎ、今は夫婦お二人で暮らしておられました。お二人の口から驚きの話が聞けました。
亡くなったのは平成24年4月24日。死因は食道癌であり病院を弟さんが訪れた際には意識も無かったとか。
亡くなってから7年もお参りにこれなかった事を悔い、仏壇に詫び気持ちでお参りを済ませました。
これで、ようやく彼との関係が修復し、そしてまた途切れたしまったものと思っています。
葬儀は近親者のみで静かに営まれたと言います。そして、彼は姉に遺骨は海に散骨してくれと言い残したそうです。
でも、故郷、ご両親の傍で眠ってもらいたいと考えた弟さん夫婦は自宅に持ち帰り、ご先祖様に納骨したと言います。
もう、彼のご実家を訪れることは無いでしょう。もしも、次に機会が有ったならばお墓にお参りに行きたいと思っています。