イチゴ(その2終わり)
朝早く、つづら折りの山道を朝露を踏みながらイチゴの収穫に行くのは、私の三人の姉たちだったようだ。
浅めの取っ手のついた竹籠が入れ物で、籠の目をくぐるほど小さくはないのだが、柔らかなイチゴが傷付かないように、開いたワラビの葉を広げて敷いていたことなども思い出す。
イチゴはそのまま食べたことしか記憶にない。ジャムなどと言う洒落たものに変わることなどなかった。もっとも、パンさえ珍しいような時代であったから不思議もない。
色々な思い出のある小さなイチゴ畑も、山の畑に国のパイロット事業として栗が栽培されることになり、大規模な耕地整理、農地の交換が行われて我が家の畑も場所が変わり、イチゴの畑も消滅してしまった。
(終わり)