畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載245「イチゴ」(その2終わり)

2021-05-18 04:28:17 | 

    イチゴ(その2終わり) 

 朝早く、つづら折りの山道を朝露を踏みながらイチゴの収穫に行くのは、私の三人の姉たちだったようだ。

 浅めの取っ手のついた竹籠が入れ物で、籠の目をくぐるほど小さくはないのだが、柔らかなイチゴが傷付かないように、開いたワラビの葉を広げて敷いていたことなども思い出す。

 イチゴはそのまま食べたことしか記憶にない。ジャムなどと言う洒落たものに変わることなどなかった。もっとも、パンさえ珍しいような時代であったから不思議もない。

 色々な思い出のある小さなイチゴ畑も、山の畑に国のパイロット事業として栗が栽培されることになり、大規模な耕地整理、農地の交換が行われて我が家の畑も場所が変わり、イチゴの畑も消滅してしまった。

      (終わり)

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