畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

スベルべの少年時代

2012-10-21 04:09:56 | 暮らし

 自宅の前で、犬たちと遊ぶ少年スベルべと妹です。
朝の登校前の光景ですね。中学校の制服制帽姿のきっと三年生最終学年の秋でしょう。

 我が家は一部しか見えないけれども、大豆が家の前に吊り下げて乾燥中。
そして、タクシー運転手だった父の通勤用自転車の一部も見えます。

 道路の左側には「はざ」と呼ぶ、刈り取った稲を掛けて乾燥する設備が並んでいる。
当たり前だけれども、コンバインも乾燥器も無く、天日干しが当たり前でした。

 一番奥は木造の古い駅舎。スベルべは中学校まで列車通学でした。
もちろん、道路は砂利道で、舗装されたのはこのあと何年も経ってからです。

 さて、スベルべ少年が触っている犬は通称「ロク」と言う気立ての良い犬です。
妹の前の犬の名前は忘れちゃったけれども、一軒置いた近所の飼い犬。

 五十年前には犬なんて放し飼いが当然のこと。
犬たちも自由気ままに遊び回っていたし、人間も変な制約は少なく今よりは本当の自由が有った。

 この大きくて優しい「ロク」は、野犬で宿無しだとばかり思って、餌を与えたりしていた。
実は少し離れた村で飼われている「ビル」が本名の犬だと聞いて来たのはかなり後のこと。
何時とは無く現れて、母の「ゼンマイ採り」にまで同行するほど馴れていたので、実家が有ると聞き驚いた。

 有る時などね結構不細工な雌犬と一緒に現れて、みんなにからかわれていたものでした。
「ロク、お前は器量良しのカーちゃんが居るんだねー」なんてね(笑)。 


 さて、もう一匹、じゃなかったもう一羽自由な身分のカラスの「カッコ」も当時は飼っていた。
私が独活を採りに山に行き、杉の木の樹上に見つけた巣から、小学生たちが捕まえてきた一羽。
私が巣の在り処を教えたのだから、一羽貰いたいと譲り受けた子ガラスでした。

 動物好きの我が家の全員に可愛がられて成長し、本当に面白いペットになっていました。
何時も家族の誰かに付いて回って遊び、猫のように家の中にも入り、食卓の食べ物を失敬したりしていたものです。

 「カッコ」と私たち家族の、面白くも切なく、そして、悲しい別れの幕切れの話は「リログ」時代に発表しています。
興味がお有りでしたら、何時の日にかそのお話も紹介させて頂きましょう。


 さて、我が家の自由気ままな犬、マックスです。
山の畑などに場所は限定しているけれど、リードは外して遊ばせている。

 何年も前の事になるけれど、他の人の軽トラを追って山を下り、下の村で遊んでいて、
パトカーが出動する事件、騒動となった。

 犬さえ見れば、危険なものとばかりに警察に通報してくれた親切な人が居たのでした。
スベルべはその後警察の「生活安全課」なる所に呼びだされ、二時間近くも油を絞られ調書を取られた。
最近のマックスは老いて、耳も遠くなりそんな元気も無くなりつつ有ります。


 「マックスや、お前には亡くなった兄貴たちが大勢いたんだぞ」なんて時々話しかける。
「チョビ」に「チロ」に「チロ」そして、「チロ二世」みんな可愛い犬たちでした。

 猫たちも何匹、何世代も飼い続けました。
犬も猫も、そして人間たちも今よりもずうっと自由だった時代が懐かしく思い出されます。 
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力一杯働いて、力一杯食べます。

2012-10-20 04:37:40 | 食べ物

 秋になると、畑の忙しさと反比例して日が短くなってしまう。
五時の「夕焼け小焼け」のチャイムを聞く頃は夕日はつるべ落としに山の彼方へと沈んでしまう。

 収穫物を忘れ物が無いかと、夕闇の中で目を凝らし帰るころには軽トラのライトを点灯。
遊び疲れたマックスは、いつの間にか軽トラに自分で乗りこみ帰宅準備OK。

 マックスに「タヌキが出ないかな?ウサギが出ないかな?」なんて話しかけながら家路を急ぐ。
五時半に家に着き、スベルべママはキッチンに直行。

 収穫物を下ろして整理したスベルべの一番の仕事はマックスの夕ご飯。
次いで、作業着を着替え、手を洗ってキッチンに入り、夕食準備の手伝い。
一時間弱の共同作業でテーブルの上に夕食が並びます。


 これは価格を200円に設定した「サラダセット」の売れ残り。
新鮮無農薬野菜が10種類も入っているんですよ。

 でも、Aコープに5セット出したけれども二つ売れのこっちゃいました。
何も説明書きを着けないので分からないのでしょうね。次から着けるように説明文を昼休みに作りました。
でも、昨日はさつま芋を出品に行くと、パート仲間だった女性に会い、「美味しかったー!」と言って頂きましたよ。


 さて、ディナーの主品はこれです。なんと、「猪肉」の煮込みですよ。
午後に山へ向かう際に冷凍室から取り出し、キッチンに入ったスベルべが圧力鍋も併用し、
三十分ほどで仕上げた一品です。ほぼ即席ながら手前みその美味しさは十分。


 山の畑からの帰り際に「大根が食べたくなった」とスベルべママが採ってきた大根。
その大根を鰹節の出汁で煮ただけのシンプルな煮もの。なお、器はスベルべママママ手製の焼き物です。


 秋鮭の煮つけは、大根の煮ものと並行したスベルべママの作品。
猪肉と秋鮭と、オカズの主品が二品になっちゃったかな。
鮭の向こうは、前日の残りのグラタンにチーズを加えて乗せ、電子オーブンで焼いたもの。


 さて、これだけの夕食を二人で一時間弱で仕上げさー、夕食のオープン。
ほら、先日「熊取のおっちゃん」さんに頂いた河内ワインをつい開けちゃいましたよ。

 スベルべママがグラスに一杯ちょっとで、後はスベルべが全部頂いてしまいました。
夫婦二人でワイン一本が、適量。と、言いたいところだけれども少し疲れた身体には過ぎるのかな(笑)。

 お酒が終わると「魚沼コシヒカリ」の新米ご飯。のはずだったけれども、なんと「おかゆ」。
昼食後に「トーちゃん、米研いでね」なんて言われたのに、炊飯器の釜に米を入れただけで出かけてしまった。

 それで、「猪の煮込み」は圧力鍋で「おかゆ」を作った後での料理となった次第。
でも、十分なオカズと十分な晩酌を頂いたお腹には「おかゆ」も暖かくて優しくて良いというもの。
かくして、力一杯働いて、力一杯食事を準備して、力一杯晩酌を頂いて一日は終わりました。
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エンジョイうおぬま

2012-10-19 05:32:29 | 暮らし

 さて、ケーブルテレビの人気番組の始まり始まり~。
「エンジョイうおぬま」の主題と『魚沼農業日記』の副題の番組には欠かせない畑犬マックスです。


 お昼休みにテレビを見ながら画面を撮影。
これは10月9日の撮影で、本当に良く晴れ渡り青空の広がった日でした。


 こんな日は山の畑での撮影に限ると、山の畑へと直行。
全体の野菜の育ち具合、今しなければならない仕事の「タマネギの植え付け」などの話に引き続き、
「さて、今日は芋掘り日和かな、まずは掘ってみましょうか」なんて、さつま芋掘りに誘導。


 さつま芋掘りのついでに、「芋の手」の採り方、食べ方なども解説のスベルべトーちゃん。
ケーブルテレビの看板娘でアナウンサー兼レポーターとスベルべトーちゃんコンビもなれた呼吸と、間合いです。
なんだか、漫才のボケとツッコミの役割が出来ている、なんて噂もチラホラ(笑)。


 当たり前かも知れないけれど、台本も無く、セリフもほぼ即興の番組。
「さて、休憩にしましょうか、今日は私が焼き芋を焼いてきて有りますよ」なんて方向へ誘導。


 「こりゃ、マックス、テレビカメラにお尻を向けて失礼だぞ」
「だってー、焼き芋の香りがぷんぷんするんだもーん」とマックスです。


 「うわー、皆さん今、湯気が立ちましたよ、見えましたか?」
撮影開始の前に一時間半を掛けて、スベルべトーちゃんが焼きあげた焼き芋です。


 大きくて、太い自慢のさつま芋四種類を番組のためとばかりに焼いて来たのでした。
ほら、「安納芋」のテロップがチラリと見えますよ。


 丸々と太った「安納芋」を割ると・・・・。
ほら、中は真っ黄色。この濃い黄色が「安納芋」の一つの特徴ですね。


 「どうぞ食べてみて下さい」のスベルべトーちゃんの声に破顔一笑の看板娘。
マックスが食べたくて、「ワン!」なんて吠えたので、二人で大笑いです。 


 もちろん、マックスは優しい彼女から「安納芋」のおすそ分けを頂いて大満足。
「皆さん、それでは冬も近いので身体を大切に頑張りましょう」なんて話で切り上げます。
「皆さんの質問、ご意見も魚沼ケーブルテレビまでどうぞ」と締めくくりになります。

 さて、ひょんなことからこの『魚沼農業日記』の講師なる肩書きを頂いて三年目。
我が人生の、良き記念、人生の一場面の記録になりました。

 視聴率も人気度も分からないけれども、最近はスーパーや、ホームセンターで良く声を掛けられます。
「あのー、テレビに出ている方ですよね、スベルべさんでしたっけ」なんてね。

 顔見知りには、久しぶりに会っても「何時もテレビで見ているから久しぶりって気がしない」などとも。
本当に嬉しく、そして有難いことですね。そして、テレビの力も思い知らせれる気持でも有ります。
番組担当のスタッフの皆様、本当にありがとうございます。 
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雪国で作った『安納芋』は

2012-10-18 05:40:36 | 野菜

 2,600本も植えたさつま芋も、収穫作業は山を越え、後は晩生の「寿」と、「安納芋」、
「ベニハルカ」を残すのみになりました。

 昨日はスベルべ夫婦とマックスで、午前中にAコープに出荷する葉物野菜を採り、そして「安納芋」を掘りました。
あまりにも立派な「安納芋」の株に、思わずポケットからカメラを取り出します。 


 一株でこれだけの収穫。完全に一キロ以上は有ったでしょう。
「屋久島」に行った際に見た、コロンとした球形では無いけれども、大きさも十分で本場物を越えています。


 畑は山際から目では分からないほどの緩やかな傾斜になっている。
この「安納芋」は山際に近く、水分不足が懸念された所で、まだ畝の中はパサパサに乾いています。
そのために、水分を求め、芋の表面のひげ根が多くなっているのかも知れない。


 思えば「安納芋」作りに挑戦して三年目。
前の年は、食べるのももちろん売るのも控え、少しずつ増やしたものを種イモにしました。
四月のまだ雪の深い中で自前の温床「芋床」を作って苗作りを始めたのです。


 こんな独特の芽が特徴の「安納芋」です。
この赤い芽は蔓が伸びても先端にその特徴の赤さが残りますよ。


 「トーちゃん、やったね、『安納芋』って鹿児島の種子島や、屋久島で作られ有名だけど、
雪国魚沼の下島でも出来たじゃない」なんて、マックスが言ったとか、言わないとか(笑)。

 冗談で「種子島や屋久島で出来るのなら、同じ島の字が付く下島だって出来るはず」
なんて言っていたけれど、本当になりましたね。

 昨日は、畝の半分25株程を掘ったけれども20キロ以上は有ったかな。
ユリの球根用のコンテナに一杯採れましたからね。

 そして、白眉たる所はこの「安納芋」はクズの細くて小さな物まで甘さに富んでいる事。
先日、所用で時々交代要員の運転手として出る、元のパート先にこのクズの部分をお試しに持参。
焼いて持参した「安納芋」のクズ芋でも十分に甘くて、女性たちを驚かせました。

 自信を得て、大きな「安納芋」はもちろん、クズ芋だけのセットも袋詰めにして出荷。
Aコープそして、「百菜花ん」両方に出荷したけれど、強気の価格設定にしては上出来の売れ行き。

 「百菜花ん」の担当に、「安納芋を出荷する人って他にもいる?」なんて聞くと、
「いやー、スベルべさんだけだねー」なんて、期待した答えが返ってきましたよ。

 秋と言うことも有り、最近はさつま芋がテレビで取り上げられることも多いですよね。
中でも「安納芋」はもてはやされて、話題に登ることも多いですからね。
来年の事を言うのはまだ早いけれども、もっと苗を増産して、「安納芋」を専門特化にしようかな。 
コメント (4)
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マックスと秋を歩く

2012-10-17 04:39:11 | 風景

 昨日の朝は、とうとう最低気温が10度を下回りました。
山の畑で急ぎの仕事も無く、マックスと魚野川の堤防方面に歩きます。

 先ずは、刈り取りが終わり寂しくなった田圃の中の道を歩いて堤防に向かう。
六時を少し過ぎると、お日様が山の端から顔をのぞかせ始めます。


 堤防に到着すると、お日様は完全に顔を出しました。


 家々にも、越後三山にも朝日が当たります。


 長く尾を引く、マックスとスベルべの影です。


 耳が遠くなってしまい、急速に老化が進んだように思え、食欲も以前に比べ落ちたマックス。
でも、寒いほどの朝が続くようになると、食欲も出て来て、リードを引く力も全盛期のような力強さ。


 お日様は完全に登り切り、当たりを明るい光で包む。
ここから見る風景は昨年の水害で一変しました。

 右手は広い河原で、胡桃の大木が林をなしていて、秋には胡桃の実を拾う人が沢山いたものです。
川の中には、2~300メートル上流から流されたコンクリートブロックが点々と。


 先に道路のように見えるところが、改良、嵩上げを待つ古い堤防です。
この古い堤防が出来たのはスベルべの小学生時代でした。

 こんな低い堤防でも、左手の沼のような原野は仕切られ、埋め立てられ、
行き場を失った小魚、鮒などを拾いに遊びに行った記憶が夢のように甦ります。

 先週も地権者と、国交省と思われる人々の立会風景が見られました。
早ければ、今冬にも堤防の嵩上げと延伸の改良工事が始まるようです。

 新しい堤防は、向こうの山裾に見える、国道17号線にぶつかるまで延伸。
そして、山裾で合流する大沢川と魚野川の合流地点には大きな水門が設置されると聞いています。
来年の今ころは、風景が一変しているかも知れませんね。
コメント (2)
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