夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

吹く風は ぬる暑く 気持ち悪き 夕方に

2012-08-27 16:09:14 | 子供のこと身辺雑記

帰宅した長男が出迎えた猫の瑠奈に言った

「いつも脱いでてかわいいぜ 触ってあげよう」

私「貰った!ネタにしよう」

長男「しまった ノセられた」

冗談にきまってるやんか イチイチ~~~~~

と長男が背後でぼやいている

下着を部屋着と言いはる長男は 暑い日 何も着なくていい猫がうらやましいらしい


「繭の見る夢」ー紀梨子ー1ー

2012-08-27 15:12:33 | 自作の小説

遠い田舎の両親の墓へ 兄は子供の頃に行ったことがあり うろ覚えのままでいたのを どうやってか見つけたと電話してきた
確認してくる
間違いなければ一緒に行こう

兄は帰って来なかった
行方不明

昔 住んでいた場所で土砂崩れがあり 両親は死んだ

六歳年上の兄と私は子供のいなかった遠縁の養子となった

警察は余り真剣に捜してくれず 私は兄が残したものを あれこれいじくり見当をつけた

「無茶しないのよ
紀梨ちゃんにまで何かあったら
ちゃんと電話ちょうだいね

あの土地には 気を付けるのよ」

養母は美容師で常連客から結婚式の予約が入っていた

「全く三条さんの仕事でなきゃ 紀梨ちゃん一人で行かせないのにねぇ」
優しい養母は 心配そうだった

養母は家から近くの場所に建墓して 養母の夫と私たちの両親の墓にしてくれていた

ただ墓には 養母の夫も私たちの両親の遺骨も入ってはいなかった

見つからなかったのだ 遺体は

本家筋の人が うまく見つけられたら 代々の墓に埋葬してくれると 言ったらしい

その時 養母は少しでも早く あの恐ろしい土地を離れたかったそうだ

ー夫の重彦も 仲良くしていた あんた達の両親も死んじゃってー

私は赤ん坊だったから覚えてない

兄は生まれ故郷について幾らか覚えていることがあったのだろう

でも 何故 こんな急に

新幹線から乗り換え特急 更に鈍行しかない単線の田舎駅 そこから先はレンタカーを予約しておいた

兄は 一体どうしているのか

かけても兄の携帯はバッテリー切れらしく 電源が入ってないーとなる

兄が目的とした墓地へ行くつもりだった

けれど夜に行くのは気持ち悪い

宿泊場所が必要だった
なければ最悪 暑くても車の中で眠るか

駅で訪ねると 一応旅館はあるのだった
しかも駅の隣
言われてみれば看板は出ていた

宿帳に名前を書き 夕飯が出ると落ち着いた

酷く静かな旅館で 他の客の姿も見かけない

早々に眠ることにした

夢を見た
夢の中で これは夢だと自覚している

大きな池だろうか 湖だろうか
白い遊覧船が浮かんでいる
誰かを捜している

赤い車 山道をぐるぐる廻りながら下る

犬がいた
しかしこれは本当に犬だろうか
黄色と黒 虎のような色目で 大きくて しかも牙がある

一匹だけじゃない
三匹もいる

牙むき出して唸っている

どうしたら逃げられるのだろう

何かが起きている
何かが

目覚めてからもドキドキしていた

そして 見た夢ばかりが鮮やかだ

朝 もう一度お湯を使い 一応嗜みとして簡単な化粧をする
こういうことは美容師だけに養母は おかあさんは くどいほどに言った

身嗜みはきっちりなさい ー

はい おかあさん

養母は再婚もせず 女一人で私たち兄妹を育ててくれた

仕事柄 立ち詰めなのがいけなかったのか 養母は何回か流産繰り返し 丁度 私が産まれる前に子宮摘出の手術

「産まずに子供が持てたの 育てることできて嬉しかった」

養母の携帯は留守番だったけど 今日の予定を入れておいた

「親ってね 子供の姿が見えないと 手の届く所にいないと 勝手になんだかんだ心配する生き物なの
離れた時には 面倒でも電話一つか メールくれたら少しでも安心出来るから」

予定を互いにきちんと連絡入れる

それは私たちの家族の証し

兄もそれだけはきちんとしていたのに

一族の墓 古くからの その場所は兄に強い印象を与えていたのか 時々そこの話をしてくれた
山道を入った場所にある
入ってみれば山全部が墓
そう思える

「何故か墓に囲まれた泉がある

亡者の泉だから 絶対飲んでは駄目だと きつく教えられた」

亡者の泉って何なのだろう

宿を後にし 私は兄の残した地図を頼りに 車で山へ向かった

砂利敷きの駐車場に車を置き 後は歩きになる

湿った土の匂い 緩やかに道は登っている
進むにつれ鬱蒼と暗くなり 緑の闇の中を進んでいる気分になる

緑色 さわさわ ざわざわ 緑の影が揺れる

道は少し下りになり 山を登っているのか 下っているのか分からなくなる

何かが 動いた

尋常でない動きの生き物

あれはーあれはー
泥茶色?

見たことある動き
だけど違う
何かが間違っている

それでも私は前に進むしかなかった

随分 近くまで来ているのだもの

兄のメモには およそ半時間ばかり歩くのか?ーとあった

そろそろ近いはず

兄は墓を見つけることが出来たのだろうか

亡者の泉も