文庫版 小説 土佐堀川 広岡浅子の生涯 (潮文庫) | |
古川智映子 | |
潮出版社 |
日照り
女商の系譜
銀目廃止
寒空
芽生え
虎口を逃れて
鉱山炎上
加島銀行発足
堂々たる女性実業家
成瀬仁蔵との邂逅
日本女子大学校創立へ
春の嵐
大同生命誕生
不死鳥のように
連翹花咲く
「加島屋ばんざい」
京都の豪商 油小路三井家に六代目三井高益の娘として生まれた浅子の生涯を描いた小説です
加島屋に嫁いだ浅子は家業の行く末に不安を抱きます
幕末 大きく揺らいだ時代
夫の信五郎は謡曲だ茶の湯だと毎日趣味三昧の生活で出歩いている
浅子に商売の才覚を見出した舅
浅子の思うようにさせてくれる信五郎
結核もおして借金の支払いを待ってもらうように 頼みが通るまで倒れても交渉する浅子
両替商の先行きが暗いために 新しい時代の新しい仕事を考えて探して 石炭に出会います
夫からの情報で石炭がこの時代に必要になってくるものだと知り 遠く九州まで炭鉱を買うために出かけていくのです
ざっと600キロ以上の距離
九州の男は気が荒いです
ましてや炭鉱で働く男たちは
女子供が偉そうにー
彼らの尊敬と信頼を得るのはたいそうな苦労であったでしょう
うまくいかなければピストルで命を絶つ覚悟で
幕末から明治維新の激動の時代につぶれた店も多くありました
万屋の主人は加島銀行に金を貸すように押しかけ 暴れ
毅然と断った浅子を逆恨みし 狙って刺しました
「浅子 死んだらあかん わてが身代わりになってすむことなら なんぼでも身代わりになりまっせ」
そう浅子を励ました信五郎
その信五郎が亡くなったあとも 浅子は乳がんで腫瘍を切除の手術を受けています
日本女子大をつくり
大同生命の会社
その大きなビルの建設
大同ビルの落成の式典が終わったあと 浅子は倒れます
時代と闘い 病気をねじ伏せ
家業をゆるぎないものとして発展させてー
その根性たるやすごい すさまじい
どれほどの壁を ぶっ叩いて 乗り越えて生き抜いたのかと
気力 胆力
その型破りな生き方を認め許した夫
解説は作家の宮本輝氏
広岡浅子は京都生まれ
大阪に嫁いだけれど
読みだしたら ほとんど一気に読み進んでしまう小説で ある勢い 熱気も感じます