夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

黒川博行著「喧嘩(すてごろ)」 角川書店

2016-12-13 09:53:03 | 本と雑誌
喧嘩
黒川 博行
KADOKAWA


12月9日と私の誕生日に発売されたものですから 自分への誕生日プレゼントみたくで嬉しくて発売当日に購入

「疫病神」に始まるコテコテの関西弁が溢れる素手の喧嘩なら最凶な極道の桑原と 親が極道だった建設コンサルタントの二宮が大抵は{骨折り損のくたびれ儲け}に終わるシリーズ最新作です






今回も表紙は黒川博行氏の奥様で日本画家の黒川雅子さんの作品です





実に素敵な蟷螂(かまきり)さん
装丁の多田和博氏の腕による効果か 禍々しさも醸し出し作品への期待と効果を上げております


本の帯から
{「売られた喧嘩は買う。わしの流儀や」

建設コンサルタントの二宮は、議員秘書からヤクザ絡みの依頼を請け負った。
大阪府議会議員補欠選挙での票集めをめぐって麒林会と揉め、事務所に火炎瓶が投げ込まれたという。
麒林会の背後に百人あまりの構成員を抱える組の存在が発覚し、仕事を持ち込む相手を見つけられない二宮はやむを得ず、組を破門されている桑原に協力を頼むことに。
選挙戦の暗部に金の匂いを嗅ぎつけた桑原は大立ち回りを演じるが、組の後ろ立てを失った代償は大きくー。


腐り切った議員秘書と極道が貪り食う巨大利権を狙い、代紋のない丸腰の桑原と二宮の「疫病神」コンビ再び。}



疫病神(1997年3月 新潮社 / 2000年1月 新潮文庫 / 2014年12月 角川文庫)
国境(2001年11月 講談社 / 2003年10月 講談社文庫/ 2014年12月 文春文庫【上・下】)
暗礁(2005年10月 幻冬舎 / 2007年10月 幻冬舎文庫【上・下】)
螻蛄(2009年7月 新潮社 / 2012年1月 新潮文庫 / 2015年11月 角川文庫)
破門(2014年2月 角川書店)

疫病神シリーズはこれまで以上が刊行されております
最初に「疫病神」を読んだ時の私のイメージでは桑原さんは俳優の遠藤憲一さんでした

二宮のイメージはどうにも定まりません

テレビドラマで映像化された時には以下の配役でした

桑原 保彦 - 北村一輝(若年期:川本直弘)
二宮 啓之 - 濱田岳

渡辺 悠紀 - 山下リオ
佐々木 節夫 - 牧田哲也
二宮 悦子 - 久野綾希子
二宮 孝之 - 久保晶
稲田 浩三 - 野添義弘
原田 勇 - やべきょうすけ
西村 亜美 - 中村ゆり(少女期:小林里乃)
橋本 健夫 - 岡田浩暉
宮本 昌輝 - 神尾佑
三好 茂夫 - 川岡大次郎
川路 勝弘 - 島津健太郎
中尾 芳治 - 佐藤佐吉
仁田 洋介 - 鈴木隆仁
倉石 政彦 - 夙川アトム
水谷 仁志 - 永澤俊矢
嶋田 和夫 - 鶴見辰吾
神田 徳久 - 団時朗
小畠 一三 - 赤井英和

(以上 ウィキペディアさんよりコピーです)

北村一輝さんがいきいきと楽しそうに桑原を演じておられました

今回「破門」が映画化されて その配役は以下の通り(例によってウィキペディアよりコピーさせていただいております^^;)

桑原 保彦 - 佐々木蔵之介
二宮 啓之 - 横山裕
渡辺 悠紀 - 北川景子
小清水 隆夫 - 橋爪功
玲美 - 橋本マナミ
嶋田勝次 - 國村隼
滝沢 - 宇崎竜童
二宮悦子 - キムラ緑子
初見 - 木下ほうか
セツオ - 矢本悠馬
多田真由美 - 中村ゆり
木下 - 濱田崇裕

映画では二宮は横山裕さん
そう思って読むせいか 「喧嘩」の二宮さんは何となく横山裕さんのイメージで読んでしまいました
この「喧嘩」では二宮は40歳が近付いており 横山さんでは若すぎるのですけれど

シリーズ最初の頃は桑原さんも二宮さんも若かったのだわーなんてしみじみとしてしまいます

映画で北川景子さんが演じる渡辺悠紀は二宮のとっても美人の従妹

セツオと木下は桑原を慕う舎弟

國村準さん演じる嶋田は二宮の父を知っており 何かと二宮に目をかけてくれ 桑原のやんちゃぶりも色々お灸はすえつつフォローもしてくれる存在です

前作「破門」にて桑原は組から破門され 本作「喧嘩」では本人は堅気だと言っております
その言動はともかくも

同じビルに入った同級生だった女性からの縁で やはり級友だった男性からの仕事を引き受けることとなった二宮

けれど揉め事の相手は麒林会
表だってコトを構えたがる人間はおりません
そんな二宮の目についたのは桑原の女でありながら実に礼儀正しい多田真由美からの年賀状
仕事に桑原を引き込むことにする
勿論 タダで引き込まれる桑原ではない
小さな揉め事も戦争にするのが 桑原という男

金になる話は見過ごさない

二宮は今回も桑原に引きずりまわされるのだがーちょこちょこ桑原にお金をせびることは忘れない
そんな二宮の甘えをどつきながらも許すのも桑原という男
きちんとした女性には紳士的
いつもスケベ心の二宮よりもモテるのはそういうところからかも

オカメインコのマキには愛情そそぐ二宮

無茶をする桑原は今回は刺され手術も受ける
体をはることなどなんとも思わない男

破門されていても極道としての意地と筋目は通す
自分達の欲や利権の為なら人を利用し踏みつけにしなんとも思わない人間達ーそれでも自分達は堅気ー先生様と威張る妖怪のような奴等を相手に
ほとんど頼りにならない二宮と動いた桑原は 実にめでたく組に復帰する

関西弁がダメな方にはオススメできません

極道ですが 時代遅れなヤクザさんですが自分だけのポリシ―持つ桑原さん
味方にすれば 実に頼りになる男です

敵に回せば恐ろしいし その言動はごちゃすぎる

今回は大丈夫かと心配しながら 読んでしまうシリーズです


「疫病神」を読んだ時に書いたものです↓
{「破門」へ至るシリーズの始まりです
悪い奴には無茶もしますが 女性には優しいースジを通す極道の桑原  その桑原に振り回されつつ結構しぶとい二宮
この二人のやりとり その珍道中

守ろうとする相手を裏切らない 強い負けない喧嘩をする男 桑原

主役の二宮よりもその頼れる男っぷりが -こんないい極道ーそうはいないーと

ごちゃはやっても もちろん恐ろしいところはあっても また桑原が見たい 読みたいーと
愛されるシリーズになったのではーと思っています


どうか桑原が作者に殺されませんように(笑)
祈っています♪}



「破門」を読んだ時に書いたものです↓
{疫病神シリーズ最新作  建設コンサルタントの二宮は亡父が組関係の人間であった為 今も人脈はその筋にある

特に嶋田には子供の頃から可愛いがられていたが その嶋田の下に桑原という喧嘩上等・暴力の神のような極道がいる

桑原は金の匂いに敏感な男で いつも金に不自由している二宮も儲け話には弱く 毎回「見果てぬ大金」の為に 命からがらーな悲惨な目に遭うのだ

そして事の収拾の為に 遂に桑原は今回 破門されてしまう


今後 桑原は組に戻れるのか 頼りは嶋田だがー


小清水という男が映画の出資金をと嶋田や桑原から金を騙しとり 女と姿を消した 小清水を追いかけ 桑原は刺され手術 入院 二宮は小清水がマカオにいると読む 


しぶとい小清水 


その小清水絡みで 他の組のものも現れてー


桑原の落日 斜陽は見たくないー そう思うのだけれど}




「螻蛄」を読んだ時に書いたものです↓
{週刊「新潮」に連載された作品
ちなみに著者は現在週刊 サンデー毎日にも作品を連載中
書店で単行本を手にとると「螻蛄」という字と蓮の花
まず これに目を奪われます
装画 黒川雅子とあります
同じ黒川?あれ?と思う方もおられるかもしれません
日本画家として活躍される著者の奥様の描かれたものです
その楽しい人となりは「大阪ばかぼんど」にて少し伺えます
今は亡き作家鷺沢萠 さんのエッセイなどにも登場されます
夫の本を妻の愛情込めた画が飾る
羨ましいなーと思います
この美しいカバーを外すと 本の直接の表紙には お札が
表には一万円と裏には数字で10000と 札の裏表も本の表紙に合わせ描かれております
こちらは新潮社装幀室の仕事とか
「疫病神」「国境」「暗礁」と同じ 自称 建設コンサルタントの二宮と とおっても頼りになる桑原さん このコンビが活躍します
二宮の父は平たく言えば最後は引退したもののーヤクザさんだった
で桑原は現役バリバリの喧嘩負けなし・・・ヤクザさん
簡単な儲け話のはずが いつの間にか泥沼化し 虻蜂取らずー又は骨折り損のくたびれ儲けに終わることが多いこのシリーズ
今回 桑原が二宮に会いに来ることから話は動く
不渡り手形の落し前のはずが 儲け仕事になり 東京のヤクザさんも出てくる騒動に
綺麗な顔してしたたかな稗田女史
しぶとい坊さん
さて二宮からは疫病神呼ばわりされる桑原さん
中々に面倒見よく人情家 更にTPOすら使い分け 二宮よりも常識人な面もある
気前だっていい
極道を応援したくなる危険な(笑)シリーズでもあります
また二宮を「啓坊」と呼ぶ ここぞという時に出て来る嶋田のおじ様が渋かったりするのです
二宮の従姉妹さんと その友人さんの際立つ個性も楽しい
関西弁はじける一冊
ドラマにするなら この俳優さんでーなどとイメージしながら読み返すのも面白いかしらと



ちなみに「螻蛄」の連載が週刊誌で始まった時に書いたものです↓
{黒川博行著「螻蛄(けら)」
週刊新潮連載
主人公 かつてそのスジの人間だった男を父に持つ 二宮
スタイル抜群の美女である従姉妹の悠紀からは「啓ちゃん」と呼ばれている
ま ちゃんづけで呼ばれるほどカワイイ奴じゃないのだが
なかなかに どしぶといお方である
彼が疫病神と呼ぶ 妙に義理堅くもある桑原
この変に強い極道は たいてい災難を連れてくる
しかも二宮という男
一度で済むトラブルを百倍にする特異な才能の持ち主です
今回も 前の作品と同じように 大骨折り損のどつかれ けたくられ儲けになるのでしょうか
連載ははじまったばかし
楽しみです
災難は次の災厄も連れて団体さんでやってくる
財布の中身も おけらにならないように用心しましょう}


「暗礁」を読んだ時に書いたものです↓
{「疫病神」「国境」に続くシリーズ3作目
建設コンサルタント 二宮の亡き父は かつてヤクザだった その人脈で知り合った桑原は 凶暴でケチ
二宮は桑原に頼まれ ワケあり麻雀に参加する 稼がしては貰ったものの 刑事がやってきた 汚職 収賄
巻き込まれそうになり 又もやヤクザさんには殴られ 放火犯人に仕立てあげられそうになるわ 殺されそうになるわ 家へも事務所にも帰れない
しぶとい二宮は それでも死なず(笑)
桑原と迷コンビで 骨折り損のくたびれ儲け的な展開へと 進みます
悪徳刑事 中川も加えて 血の繋がりはないけれど この三人 強気の長男 桑原 長男に対抗意識を燃やす次男 中川 美味しいトコロを取りたい三男 二宮
そんなふうにも思えます
悪口言いたい放題な3名ですが どっか似ています
装画 黒川雅子とあります 装丁 多田和博と
著者 黒川氏もですが 数年前に亡くなられた作家 鷺沢萠女史のエッセイに ナマの姿が愛情とユーモア込めて描かれておりました
それを思いだし 作品とは関係ないながら 読み始める前に ちょっとジンとした次第です}