夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「赤穂浪士」(1961年 日本映画)

2016-12-18 10:58:34 | 映画
赤穂浪士 [DVD]
クリエーター情報なし
東映ビデオ



東映創立10周年記念
大佛次郎原作
松田定次監督

昭和36年の作品です

大石内蔵助(片岡千恵蔵)

脇坂淡路守(中村錦之助ー後年「萬屋錦之助」と改名)

堀部安兵衛(東 千代之介)

浅野内匠頭(大川橋蔵)

仙(丘さとみ)

お咲(桜町弘子)

おはる(三原有美子)

おやえ(藤田佳子)

桜(花園ひろみ)

瑤泉院(大川恵子)

傅吉(中村賀津雄)

大石主悦(松方弘樹)

上杉綱憲(里見浩太朗)

柳沢出羽守(柳 永二郎)

梶川与惣兵衛(宇佐美淳史)

松造(堺駿二)

全助(田中春男)

佐吉(多々良純)

赤垣源蔵(加賀邦男)

千代(長谷川祐見子)

おりく(花柳小菊)

梶(青山京子)

浮橋太夫(千原しのぶ)

およね(木暮実千代)

立花左近(大河内傳次郎)

清水一角(近衛十四郎)

片岡源佐衛門(山形勲)

堀部弥兵衛(薄田研二)

多門傳八郎(進藤英太郎)

堀田隼人(大友柳太朗)

吉良上野介(月形龍之介)

千坂兵部(市川右太衛門)


町の高札にいたずら書きをされている
それは時の権力者 柳沢出羽守を揶揄したものであった
高札を書き換えても再び金権政治を皮肉った言葉が添えられている

深編笠の浪人・堀田隼人は吉良が柳沢に贈り 柳沢が送り返した金の茶釜を奪いーこれが吉良から柳沢への賄賂の品と高札の下に晒す

堀田を追う全助は見失い 堀田を庇う人間により堀田の着物を着ていた浅野家家臣・堀部安兵衛が追う相手かと思い込む

この誤解により浅野内匠頭は更に吉良よりいびられることになる 今までも嫌がらせを受けていたのに・・・

柳沢は吉良に言う
「主君の浅野がいたぶられたゆえの家臣の腹いせ もっといたぶっておやりなされ 他の(賄賂を嫌がる)清廉潔白へのみせしめになりもうそう」
などと吉良上野介をけしかけるのであった


一方 淡路守は吉良から連日いじめられていると噂を聞いて案じており浅野内匠頭の屋敷を訪ねる「窶れが顔に出ておるぞ」

同じ頃 堀田隼人は清水一角らとの斬り合いになるも堀部安兵衛が助太刀に入り事なきを得る


浅野の屋敷には江戸での噂を聞いた赤穂の国元の家臣達が殿を励ます為に競うように釣った浜焼きの鯛が届けられていた
淡路守が訪ねてくれている折も折
喜ぶ浅野内匠頭
久々の明るい笑顔となる
松之亟(のちの主悦 大石内蔵助の長男)の釣った鯛をことのほか喜ぶ内匠頭

淡路守は内蔵助の釣った鯛を選び 長居をしたと暇を告げるが別れ際にも辛抱するように励ましの言葉をかけていく

家臣達にも懐かしい国の味を味わうようにと鯛の浜焼きを分ける内匠頭

淡路守の父も以前 吉良にいじめられ 藩や子供のことを思って歯を食いしばって耐えたのだ
ならぬ堪忍するが堪忍
吉良は人ではない 犬猫だ そんな畜生相手に怒るなと

そんな淡路守に内匠頭の正室も感謝の言葉を「淡路殿の心づかい 嬉しゅうございます」
饗応役としての礼儀作法を教える役にある吉良上野介であるがもらう賄賂で態度を使い分ける

挨拶に鰹節しか寄越さなかった内匠頭をイモ侍・田舎侍 世間が分かっていない 自分を馬鹿にしているーなどなど色々吉良は思っている
つまりは賄賂寄越せ もっとええもん寄越さんかいアホウ!である

淡路守は見送りの片岡源左衛門にどういう品を吉良に贈ったかを聞いて嘆息する
たとえ主君が言おうとも・・・見合った品を届けて事なきを得てから 主君の命にさからいましてーと腹を切るのがーと
内匠頭と同じ饗応役をなった大名は豪勢な品々を吉良に届けていた

心正しい者が報われるとは限らない

辛抱すれば良いのだ いかほどの辱めを受けようとも 内匠頭はそう覚悟していた
後少しで終るのだからーなんと罵られようとも


そして吉良上野介はもっともっと内匠頭をいじめてやろう いびってやろうと決めていた


まずは迎える衣装が違う 烏帽子でなければならないのに尋ねてきた浅野の家臣に吉良は偽りを教えていた

それでも用心していた浅野の家臣が正しい衣装を届けてきており 吉良のいじめをあんまりと思う人間の助けもあり 内匠頭は急いで着替える

梶川はこのあとの運びなども教えてくれるがー
吉良が急ぐ浅野を止めて言いたい放題 罵り放題
挙句はこんな人間には大切な饗応役は任せておけぬ
他の人間に役目を変えるとまで言い出す
ー登城に遅れるような御仁に(役目を続けさせることは)はなはだ心もとない(自分が違う衣装を教えておいてねーー;)

だまらっしゃい!言い訳は武士の恥
教えられて育てられてきたーそれを牛のよだれみたくー

どの衣装を着るかは当然ご存じと思い 衣装を問われてもさて冗談かと冗談に返したに
その冗談を真に受けるとは
田舎侍が!
この上野介を逆恨みとは笑止千万(-などとも実に意地悪い口調で罵り続けあざ笑う)
まこと太平の世は楽なもの 能無しでも家臣のー


お役御免だけは どうか いかようにも詫びますると縋る内匠頭の頭を叩き腕を扇子ではらい「ええい!どかっしゃい!そのような手で触られては この上野介の着る物が汚れるわ」

堪えに堪えてきた浅野内匠頭

勝ち誇り 罵り続ける吉良上野介の言葉に 遂に遂に内匠頭の辛抱の糸が切れる
自分までならまだしも家臣のことまで こうまでひどく言われてはー
武士の意地 立たぬ・・・

抜いてはならない松の廊下
刀を抜いて吉良上野介に斬りかかり 額に傷を負わせる浅野内匠頭「覚えたか!」(この遺恨)

そんな浅野内匠頭を梶川が止める
内匠頭「お放し下され!今ひと太刀」

梶川「刃傷でござりまする!」

背中から梶川に押さえられ「武士の情けじゃ! 武士の情けじゃあ~~~~~」

人に支えられ額を押さえて吉良上野介は遠ざかって行ってしまう


この後 騒ぎに現れた淡路守は吉良上野介と行き会い わざとその身体に突き当たり「慮外者が!この脇坂の衣服を血で汚したな」と
丁度家紋についた血を示し 吉良を激しく打ち据える

せめてもの内匠頭の意趣返し
ー我慢できなかったかーその表情は暗い


吉良上野介の横暴をよく思っていない多門傳八郎は内匠頭の取調べに当たり 「乱心」であったのだろうと事を収めようとするも

その多門の温情は気付きつつも内匠頭は答える「(吉良上野介に)些かのお恨み・・・堪えがたき恥辱を加えられ 遺恨を持って刃傷に及んだ次第ー」
「一時の乱心という所業と思うが いかがじゃ」
となおも含みある言葉を向けてくれる多門なのだが
家臣の不憫とも言葉を重ねる内匠頭でもあった


浅野の家臣たちは殿の刃傷に大騒ぎするが古参の武士の言葉に一同涙するのであった
「余程 我慢のならぬことがあったのであろう 思えば殿がおいたわしい」


上杉家に養子に入った藩主の綱憲は 実の父の吉良上野介の身を案じ贈り物を持って柳沢に会う
柳沢は綱憲を労わり「何のおかまいもこれなくー」
対して浅野内匠頭は「ただちに切腹」と教える


切腹と決まったことを内匠頭に告げた多門は脇坂淡路守が吉良にしたことを教えてやり 吉良は傷重く寝込んでいるそうなーと言ってやる

内匠頭が粗末な庭で罪人として切腹で 事の原因を作った吉良上野介がおとがめなしは余りに片手落ちーこれまでの吉良上野介の所業や人としての評判からも思っているのだった
吉良上野介にいじめられた人間は浅野内匠頭だけでは無いゆえにー

駆け付けた家臣との対面も廊下で家臣は庭から見上げるのみ
これが最後というのにー


美しい辞世の句を遺し浅野内匠頭は切腹する

この事は赤穂にも知らせが行く
そして上杉家の家老の千坂兵部にも

上杉綱憲は千坂兵部に言う「わたしの父が嫌いであろう たとえどのようなお方であれ 綱憲にとっては大切な父上じゃ 兵部 お願いだ
父上を守ってくれ」


江戸の町では傳吉らが怒っている「片手落ちが気に入らない 江戸は喧嘩は両成敗と決まっているんで」

吉良上野介を守る為に腕の立つ浪人を集める清水一角ら
以前 立ち会ったことのある堀田隼人を誘おうとする

赤穂城では大石内蔵助が浅野内匠頭の辞世の句を家臣らの前で読み上げる
「風さそう 花よりもなお 我はまた 春の名残りを いかにとやせん」

泣き崩れる家臣達



千坂兵部と大石内蔵助は若い時代からの友であった その親友がいかなる運命のいたずらか敵として向かわなければいけなくなる
千坂から大石に届く文

松之亟は内匠頭から可愛がられており 仏前に供える為の釣に出たが 涙が溢れて止まらず手元が狂い こうした魚しか釣れなかったと
「さぁ お召し上がりくださいませ」


一方 堀田隼人を怪しくおもう全助はつけている
もう一人 吉良方の密偵お仙もつけていた

この二人の尾行に隼人は気付いており連れの佐吉に話す

隼人は大石の親戚筋の男で堀田家に養子に入ったが 吉良上野介の為に切腹となりお家断絶

同じく吉良上野介に恨みがあるのだった

佐吉は隼人が若様と呼ばれた時代から仕えている


赤穂城は明け渡しすることになる

大石は話す 内蔵助がどんな手を打とうと兵部殿には手に取るようにー
ただ一つ こちらには命を賭けた者が50数名
千坂は ただ一人



城明け渡しの使者は脇坂淡路守 「内蔵助 案内いたせ」

掛け軸の「義」の一字にも目を止める

人払いして二人きりとなり「鯛の浜焼き 舌鼓を打って食ろうたわ」

大石「内蔵助 面目を施してございます」

脇坂は教えてやる 多門から聞いた話を
ー乱心の上であろうと言い含めたが 内匠頭は 乱心とあっては内匠頭が吉良殿を切った意趣が立ちません
家臣は不憫と存じますけれどー

吉良方から大石内蔵助への刺客が放たれる

刺客を放った武士をお仙は それは千坂様の考えとは違うことと その武士を殺した

大石内蔵助らを襲う刺客「天に代わって不忠不義の大石を斬る!」
大石内蔵助と同行の松之亟に伴の者
そこへ堀田隼人が顔を布でかくして現れ助太刀をする


その太刀筋から大石内蔵助は堀田隼人の素性に気付く

江戸では傅吉が城を明け渡し戦いもしなかった赤穂の家臣について毒づいている
そして知らずに居合わせた千坂兵部にどう思うか尋ねる

すると千坂兵部は大石らが仇討ちをする方に賭けると言うのだった

この頃 山科で遊び呆けてみせている大石内蔵助


自分の正体を怪しむ会話をしている堀田隼人の前に現れたお仙「教えてあげましょうか」

そして堀田隼人に「赤穂に縁のある者のはず」

堀田「いかにも しかし拙者はあほう浪士」ととぼける

そして「撃たれて死ぬ それもよかろう 大石のあのザマ(遊びうかれぶり)を見ては(生きる気持ちも無くなった)
撃て!」

銃を構えているお仙に言い お仙に撃たれて膝をつく隼人


大石内蔵助の放蕩ぶりの評判を聞いた千坂兵部の表情が暗くなる 何故ならば
「内蔵助 内蔵助 裸 裸でぶつかりおる これで腰抜けとの素振りを通し
俺を欺く為 いかなる破廉恥の所業をするとは

若き日 論じあった方策を内蔵助はしている
何一つ隠そうとせず 丸裸でわしにぶつかりおる
裸 裸で!」

血を吐くように言葉を吐き倒れる千坂兵部
彼は病身なのであった
千坂兵部の妻女「お医者様 お医者様を早く!」


江戸の堀部安兵衛から大石内蔵助に「千坂兵部が倒れた」と書状が届く

大石内蔵助「兵部をこのようにしたは この内蔵助」

江戸では町人姿となり吉良方の動向を探る赤穂の元家臣達

「(堀部)弥兵衛76歳 大事決行の前に命果てねば 何の貌(かんばせ)あって(あの世で)殿に御目通りかなうものか」

じりじりする想いで仇討ち決行の日を待っている


大石内蔵助が遂に京の山科を発つ

立花左近の名前を借りて 同じ宿に泊まり合わせた本物の立花左近(大河内傳次郎)はニセモノの正体見てやると大石内蔵助に会いに行く

そしてー立花左近の証拠の書状を「お目にかけるでござる」と大石が白紙を出した時に浅野の家紋に目を止めた

大石「いざ 御覧下され」

立花「いかにも左近殿に相違ござらん」

深く頭を下げる大石

左近 大石の本意を知る「左様 恐れ入り仕る ではこれにて (懐から出して)偽の身分証(実は九條家の家紋入りの正真正銘の身分証)なれど お役立て下さい
首尾よくー陰ながら(討ち入り成功を祈っております)」


左近にただ礼の挨拶をしに出向いた大石は廊下で千坂兵部と鉢合わせする

これが最後と生きた大石に出会うのは そう思い病身を押して出向いてくれた千坂兵部
ただ見つめ合う大石と千坂はすれ違い別れる

部屋に戻った大石は松之亟に言う「今宵 この場において元服いたせ」
これからは主悦(ちから)と名乗ることになる


お仙は撃った堀田隼人と暮らしていた「わたしは貴方の妻でございます」

討ち入りに参加してほしくないお仙
加わりたい隼人「俺の父も腹を切らされたのだ!」
お仙「嫌!嫌でございます」


吉良は腕を買い集めた浪人達を前に「皆 頼もしい これだけ集まれば心強い 来年3月までじゃ 春になって米沢に行くまで宜しく頼む」


傅吉は親方に呼ばれる
傅吉は親方の娘のお咲と賭けをしていた
お咲は赤穂の浪人達は討ち入りをする方に 傅吉はしない方に賭けている
お咲が勝てば傅吉は十年間ただ働きだ
傅吉はお咲に惚れてもいる
座敷には堀部安兵衛がいて傅吉を大石内蔵助に引き合わせる

大石内蔵助は傅吉に確かめてほしいことがあったのだ
吉良邸の絵図面 これに間違いがないかどうか

事の大きさに傅吉は言う「あっしがべらべらと べらとでもしゃべったらー(大石に見込んでのことーと言われて)
あっしを見こんで? あっしを・・・・・
赤穂の人は仇討ちをできねえほうに賭けている男ですぜ?
俺 俺みたいな奴をー」

畳替えを頼まれたのだと見咎められて言う傅吉だがー吉良の男達は信じず傅吉を激しく殴り暴行する

覚悟を決めている傅吉はぼろぼろになりながらも「さあ殺せ 殺しやがれ!」

屋敷外では心配そうに覗う堀部安兵衛ら



そして元禄15年12月14日
内匠頭の正室の瑤泉院に大石は会いに来ている
瑤泉院「松之亟は達者ですか」

大石は松之亟が元服したこと さる大名に召し抱えられたので暇乞いに来たのだと話す

瑤泉院「心からお祝い申そうぞ」
手に持った水晶の数珠を大石に贈る


その帰り 外で待っている堀田隼人がいた「なにとぞ このとらのすけの命の捨て場所を」

大石「ついて参れ」


その店の別室ではすでに討ち入りの支度をした赤穂の元家臣達が揃っている

討ち入り前の大石の言葉を部屋の外から聞いている堀田隼人

淋しそうな悟ったような表情になり一階へ階段を降りていく

大石内蔵助は店の人間に礼を言う「迷惑をかけたな 礼はゆっくりと冥途で」

よね「めでたくも御本懐をー」

よねは城代家老の屋敷で働いていた女性
この店の人間は皆 赤穂藩ゆかりの者であった

奥に控える隼人に声をかける大石「とらのすけ」

隼人「わかりました」
自分には討ち入りに参加する資格がないのだー気付いてしまった
彼等と共に死ぬ資格がない

隼人はお仙のいる長屋へ駆けて戻り 赤穂浪士が吉良邸に討ち入ることを伝える
そしてー討ち入りは魂を打ち込んだ赤穂浪士だけに許されることなのだー


雪の中 吉良邸に着いた赤穂浪士達は持ち場に散っていく
大石内蔵助の叩く太鼓の音が夜の中に響く
その音に目覚める清水一角
二刀流の清水一角は強い いかに強くても堀部安兵衛始め複数の浪士にかかられては斬られて落命

そうして探しても捜しても 吉良上野介が何処に隠れたのか見つからない

傷を負いながらも吉良邸を抜け出した男が上杉藩の屋敷に急を告げて死ぬ

槍を持ち家臣を連れて出ていこうとする上杉綱憲を止めるは千坂兵部

綱憲「その父上を見殺しに致せと言うのか」

千坂「さりながらこの者は吉良の人間 あなた様は上杉藩のー
上杉藩の為じゃ
この兵部が恐れるのは正義
片手落ちの政道 悪を憎む人々の正義感
上杉藩が出て行って赤穂浪士を皆殺しにしてはー万民は背を向けましょう

(どうしても行くというのならば)殿! 兵部を突き殺して 兵部の屍を越えてお出まし下さいませ」

千坂兵部はここで綱憲がうって出たならば お家断絶となった赤穂藩の二の舞にもなるとも言う


その頃 漸く隠れていた吉良上野介が見つかり 赤穂浪士達の前に引き据えられていた

白髪頭の白い寝間着姿
その顔には浅野内匠頭のつけた刃傷

大石「みしるし(首)頂戴仕る 覚悟召されい」


雪の中を赤穂浪士達が歩いてくる
道の両側には一目赤穂浪士を観ようとする町人たち

その中には深編笠を被った千坂兵部の姿もあった

頭に包帯巻いた傅吉は これも笑顔のお咲に話す「(賭けに負けて向こう十年 ただ働きなのだが)俺ァ 賭けに負けてこんな嬉しいことはない」

赤穂浪士の忠義の心をその主君の仇討ちの成功を口々に褒めたたえる人々の中を整然と進む赤穂浪士は橋を渡っていく


そして「終」の字が浮かび上がる


東映では別格の大スターでその専用の個室の位置から「西の御大」と呼ばれた市川右太衛門さん 「東の御大」と呼ばれた片岡千恵蔵さん
それぞれ普通の俳優さんより倍の広さの部屋であったとか

そしてこのお二人が同じ映画に出演される時には 台詞の量や出演者の名前の出る順番までにも気を使ったそうです
(もしくは家の場所から 片岡千恵蔵さんは「山の御大」 市川右太衛門さんは「北大路の御大」とも呼ばれたとか)

どちらかが より目立ってはいけないのだと周囲は大変であったのだとか


他にも大友柳太朗さん 里見浩太朗さん 大川橋蔵さん 萬屋錦之助さん 東千代之介さん 松方弘樹さんーとそれぞれ主役をはれる俳優さんが揃った豪華な映画です

悪役も多かった山形勲さんや進藤英太郎さんが 良い人間の役をしているーとこちらも面白いのですが

そうそう松方弘樹さんはお父様の近衛十四郎さんと父子共演でもありますね


堺駿二さんは堺正章さんのお父様になります

市川右太衛門さんは北大路欣也さんのお父様 当たり役は「旗本退屈男」シリーズの早乙女主水之介でした

これだけのスター俳優さんの中で得な役柄は中村賀津雄さんの職人の役かもしれません











「佐武と市捕物控~冬夏の章」(BS日テレ)2016年12月17日放送

2016-12-18 00:21:05 | テレビ番組
石ノ森章太郎氏の漫画を原作としてドラマ化されたシリーズ第二作

佐武(小池徹平)下っ引き いつかは岡っ引きになることを夢見ている若者 目をかけてくれる佐平次親分の娘のみどりを好いている

按摩の市(遠藤憲一)幼少時に馬に蹴られて目が見えなくなる 目は見えないが強い 腕が立つ 事あれば佐武を助けて一緒に「悪」と戦う

居酒屋「まるや」の女将 お伝(藤田弓子)

佐武の親分の岡っ引き・佐平次(内藤剛志)佐武を自分の息子のように可愛がり期待し鍛えて助言もくれる存在

勝 小吉 (里見浩太朗) 御家人ー後の勝海舟の父親 このドラマでは粋で酸いも甘いも嚙分けた人物として描かれている


佐平治親分の娘みどり(福田麻由子)佐武は大切な存在とは思っているのだがー

丹波屋の番頭・新吉(忍成修吾)丹波屋の酒に毒を入れる

酒問屋・伊勢屋の主人・藤兵衛(芋洗坂係長)「椋鳥」での毒酒事件の黒幕

蘭方医・池田抱庵(原田龍二)天才医師 名医ともてはやされているがー実は・・・・・

松岡清右門(寺田農)


主役の佐武を演じる小池徹平さんの言葉「あっという間の一年と言う気がしています 市役のエンケン(遠藤憲一)さんにお会いして「帰ってきた」という感じがした 
スタッフ達と再会して一気に「佐武と市」モードに入ったと感じました
(今回の作品「椋鳥」については)
初めて台本を読んだ時に切ない感じがしました
報われない感じがあったり救われない感があって 観ている方に伝わるのかなという思いがあるのですけれどー


(みどりについて)
みどりのことを大好きなんだろうって感じがしますね
みどりが一枚うわてーですけれど」


みどり役の福田麻由子さんの言葉
(佐武に対する想いは)
「幼馴染のような 家族のようなーみどりの中で佐武への恋はずっとあってー大切な存在なのかなって思います」


遠藤憲一さんの言葉「原作も勿論 脚本も面白いのですけれど 二作目ができるのは嬉しいです
この鬘が二時間かけての扮装
二作目の撮影はまさか夏場じゃねえなと思っていたら・・・まだ暑い時期の撮影で(京都はことのほか 暑いのだとか)
(暑さが)こわい反面 楽しみと入り交じりながら撮影に入りました

役作りはスレスレの線 思いっきりやれるぎりぎりのー
なるべく愛嬌のあるキャラにしたいのとで作りました
生まれて初めてこんなに(役を)作りました
でも 楽しいです

小学生の時 初めて観た映画が「座頭市」だった
目の見えない役は大変」

(殺陣にも苦労されているそうです)



常連が集まり情報交換の場であり和みの場でもある「まるや」の女将役の藤田弓子さんは とにかく明るさ 観た方が笑顔になれるキャラをこころがけているそうです


佐平治親分役の内藤剛志さん「(佐武のことは)ずばり(自分の)子供だと思っている 自分の息子のように思っている 危険な目にあってほしくない
いっぱしの男になるのも期待しています ドラマについては活劇・チャンバラ 謎解きの楽しさ 情のこまやかさ
チャンバラで憂さをはらして元気に生きようと ドラマを観た人が思ってほしい」


里見浩太朗さん「勝海舟の父で 江戸っ子で気骨者で明るくて 
ドラマの中では 皆さんのご意見番 佐武と市をずっと愛情を持って見ている
佐武は岡っ引きになろうと思っている正義感の強い若者
市は目は見えないけど腕は立つー」


第一話「冬の章 椋鳥」
冬ー群れをなして江戸へ出稼ぎにやってくる田舎者達を 揶揄して江戸の人間は「椋鳥」と呼んだ

かつては椋鳥として江戸に来た佐武はうるさく鳴く椋鳥の群れを見上げる
その胸に過る想い出
歩いていくとみどりに出会う
病気がちの父親の薬をもらいに来たのだ「おとっつあん(佐武が)来ると喜ぶから顔見せに来て
(空を見あげて)うるさいわねえ椋鳥」

「椋鳥」の言葉になんとも言えない表情見せる佐武


市はほおっかむりした浪人に金を出せーと脅されていた
少しもたじろがず市「お前さん辻斬りかい」
逆に浪人を叩きのめすと浪人は 子供が七五三で千歳飴の一つも買ってやる金がほしかったと泣き言を

市「血のついた飴を子供に食わせるつもりかい 」

しかし金をやる市


行き合わせた佐武が市に教える「あれは破落戸浪人で子供なんかいない 甘いなあ市やんは」


そこに上方から富士山を見ながら江戸に運ばれてきたー上方から江戸へ一番乗りの一番船となった丹波屋の宮錦を宣伝する声がする
丹波屋の番頭の新吉や丹波屋の養女お志乃(水沢エレナ)の姿もある
舟に酒を積み込む茂平(今野浩基)もいた
お志乃と茂平は椋鳥 江戸へ出稼ぎに来た人間だった
椋鳥だった佐武は二人に飯を食わせたり世話をしたこともある

茂平は今年も信州から出てきたのだ


だがー丹波屋の富士見酒を飲んだ客が14人も死ぬ
調べると酒樽に毒が入れられていた
茂平も疑われるが佐武が茂平の人物を保証して庇う
だがー茂平が怪しいという噂は町に流れていた


心配する佐武は茂平を家に泊めるが 朝起きると茂平がいない

茂平は店で不審な行動をとるお志乃を見ていた

石段の下で死体となって発見されたお志乃

お志乃の口許を拭いてやった佐武の指に ある匂いが移っていて 市が気付く

酒に入っていたのと同じ毒セリの匂い
ならばお志乃は毒殺されたことになる
一体 誰がー

今年も一番船となった丹波屋を二番船になった伊勢屋の主人は恨んで その商売をつぶしてやろうと画策していた

丹波屋の番頭でありながら 主人の吝嗇ぶりを恨みに思う新吉は お志乃を誑かし酒にちょっとお腹が痛くなる薬を入れるだけと手伝わせていた

丹波屋がお志乃を養女にしたのは息子のおもちゃにお志乃をする為だった
養女とは名ばかりで好きでもない男に体を自由にされてお志乃は優しくしてくれた新吉に心を寄せた

お志乃を利用するだけの新吉は・・・茂平がお志乃に疑いを持っていると知り お志乃に茂平を殺すように言った

だがしくじり石段から落ちたお志乃を介抱するふりをして 新吉はお志乃に毒を飲ませ殺した
そして茂平を殺そうと狙っていた


新吉とお志乃の持つ同じ白檀の匂いのするお守りから 新吉とお志乃のことに気付く市
目の見えない人間は匂いに敏感になるゆえに


伊勢屋の指示で浪人達が佐武と市を襲うも腕不足
先日 いない子供の飴代を市からもらった浪人も佐武に捕えられ白状した


茂平を殺そうとする新吉
新吉は自分がお志乃を殺したと思い込んでいる

茂平はお志乃を好いていた

佐武が茂平を救おうとするも 茂平は自ら新吉の持つ刃物に身をゆだね 佐武に新吉を捕えるように言う


「椋鳥だっていいじゃねえか」
死んだ茂平の横で言う佐武



第二話「夏の章 氷の朔日」
6月1日のことで献上氷が運ばれてくるが 暑い中を運ばれてくる為に せっかく運んできても氷は溶けて水になってしまっていることも 小さくなってしまうこともある

若い献上氷役は如月源乃介

佐武は行方不明となっている薬屋の娘の弥栄を捜していた
今日も薬屋に話を聞きにくると店の前でみどりに出会う
みどりは店から出てきた最近評判の蘭方医をうっとりした目で見るのだった
面白くない佐武

市の顔が見えないから人が斬れるなんて話なども聞く佐武は 何でも治すという噂の医師に市の目を見てもらおうと考える
人なんか斬れなくてもいいじゃないか

医師は手術をすれば市の目は見えるようになると言う
そして手術
手術は成功したのだが

その医師には大きな秘密があった


暫く前に犬が咥えてきた若い女の腕

ばらばら死体

その下手人こそこの医師


彼は顔に大きな痣があり その痣を見てあざ笑う人間が許せず さらっては切り刻んで殺していた

身を寄せている屋敷にある秘密の氷室

そこに死体を隠している

薬屋に出入りするうちそこの娘の弥栄が好きになった医師だが 弥栄は良い返事をしない
ゆえに攫ってきて閉じ込めた

今日こそ弥栄に言うことを聞かせようとする医師

その騒ぐ声が耳に届き 目に包帯をした市が来る
市は弥栄に逃げるように言うが 弥栄は屋敷の人間に見つかってしまう

屋敷の持ち主の松岡は氷室の氷を使って金儲けをしていた

献上氷役の如月源乃介は大金でここの氷を買い出世しようとしている
秘密を知られないように使った人間達を殺して


闘ううちに市の目の包帯が取れてしまう
まだ光を目に当ててはいけなかったのに
市の目に一瞬の光 そうして目から光は遠ざかる

ああーという表情の駆け付けた佐武

まだ動かないようにと言われていた佐武だが市のことが気がかりで屋敷の外に駆け付けていたのだ

如月源乃介は市に斬られ 松岡は悪事が露見して切腹となった

医師の殺人も瓦版となる



事件は終り 佐武と市をみどりが迎えに来る「鰻を食べさせるから呼んでおいでって」
先に来たほうが大きい鰻ー

三人は笑顔で歩いていくー


佐武役の小池徹平さんは役柄が馴染んできました
とても似合っています

一話完結で毎週放送のドラマにしてもいいのではーと思います