夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

出費は痛かったけれど

2020-12-19 19:59:23 | 子供のこと身辺雑記

今年は洗濯機 お風呂の故障 電子レンジ買い換え トイレリフォーム

水道漏れ修理

あれこれお金がドンドドンと出て行ってー

 

11月 来年も車検してーなどと言っていた夫の車を色々考慮したあげくに急遽買い換えることになった

 

もうこれでトドメにしてほしいなどと思いながら三桁のお金をささやかに振り込み

今月中旬

夫が言った「車 まだ来うへんのかな」

 

確か 最初は買い換えなくてもーとか言っていたのにね(笑)

今 乗っているのと同じ車種だけれど 新車 楽しみにしていたらしい

どうも嬉しいのかどうか感情の変化が掴めない人間なのでーー;

 

 

「結構 時間かかるんじゃない お正月越すかも」などと返事して

もし車が届いたら何処で受け取るなどと手はずは相談

 

そしたら翌日 車屋さんから電話

「届いてますけど」

 

「日曜日なら主人が休みで家に居るので すみませんが姑の家の方に届けていただけますか」

時間も決めて 受け渡しの際に必要なものを確認して

 

車の運転操作はどんどん変わっていっているので 操作方法を覚えられるか不安だったような夫

担当さんも丁寧にネットのことなども説明して下さったのだとか

ナビについても

 

 

「車 届いた」と夫から電話が入った

そして

「ナビの使い方 分かった? メールとか大丈夫」と尋ねたら

 

「話は聞いた 覚えてない」と答える夫

「マニュアル本ついてたでしょ 数冊 ちゃんと読んでね」

 

夫は「どうにかなる」と答えたのだった

 

更に数日

 

私は去年 自分の車をそれまで乗っていたのから比べたら かなり小さいのに買い換えたのだけれど

夫は 私に今度 自分が買ったのと同じ車種に買い換えれば良かったのにーなどと言った

 

つまりは新しい車を随分 気にいったということなのだろう

 

夫と同じ車種に乗るのは 何か嫌だーと思う私

やっぱね 自分の車が一番ーなのですよ

 

 

車が届くのに時期を合わせて届いた「ご購入御礼」

 

まあ 夫が気にいって 運転してるならいいか

 

そう 思うことにする

 

 

コメント欄は閉じております

ごめんなさい


アレン・エスケンス著「償いの雪が降る」 (創元推理文庫)

2020-12-18 09:10:29 | 本と雑誌

 

ジョー・タルバートは母親により 父親と同じ名前を付けられたが

父親は何処にいるかも分からず 母親はほぼ育児放棄で酔いどれ

父親が違う自閉症の弟のジェレミーがいる

 

11歳の時に母方の祖父が死んでから 母親はますますひどい生活態度

ジェレミーに入るお金も自堕落な生活につぎ込む

 

アルバイトでお金を貯めて家を出て大学生になったジョー

 

単位を取る為に身近な年長者の伝記を書かなければいけなくなる

彼に身近な年長者は居ない

 

高齢者用の施設で暮らす人から その人生を聞こうと考える

 

そこで紹介されたのは 14歳の美少女を強姦して遺体を燃やし 有罪判決

刑務所送りになった男カール・アイヴァソン

癌で余命僅かとなり 最期の時間をこの施設で過ごしていると

 

カールはジョーと話してもいいと言ってくれた

ジョーの祖父への何かも短い間に見抜く

 

それは彼が人生に「何かの苦しみ」を抱え続けてきたから

 

戦場でカールに命を救われたヴァージル・グレイは カールは少女を強姦殺人などしていない

そうしたことができる人間ではないのだと話す

 

カールは殺された少女クリスタ・メアリーの隣人だった

クリスタ・メアリーが遺体を燃やされた物置の持ち主で

 

 

クリスタ・メアリーはボーイフレンドと車内で性的行為をしていて カールに見られた

 

そのことを日記に書きカールを変質者のようにも書いていた

 

常識的に考えれば 道路でそういう行いをしていて 見られたことへの疚しさから 必要以上に見た

自分の秘密を知った相手を貶めて書いたとも考えられるのだが

 

その日記に暗号で書かれた人物もカールをさすと検察側は考えたのだ

 

「やっていない」と言い続けたカール

 

カールの人生を追うジョーは隣人のライラの協力 弟ジェレミーの言葉から 暗号を解くことに成功する

 

刑事マックス・ルパートに紹介された冤罪証明機関のボーディ・サンデン大学教授の助言も得る

 

 

カールが生きている間に無罪を勝ちとろうと焦るジョー

 

ジョーの目の前でジョーの祖父は死んだ

 

子供のジョーにはなすすべもなく

 

もうそんなふうに人に死なれるのは嫌だ

助けられなかった大好きな祖父

祖父への償いのように無謀なまでにジョーは動く

犯人と思う人間との直接対決で殺されかかる

 

 

その男性の血族(息子)のDNAをとろうとするも

 

真犯人は 息子のほうだった

 

 

クリスタを殺してからも強姦殺人を続けてきた男は ライラも強姦して殺そうとする

ジョーは足を撃たれて

絶体絶命

 

 

あわやという時 ジョーのかけておいた保険がきいた

 

 

酔いどれ母親の保釈金を払い もう大学を続けていく金はなく それでもジェレミーを母親から引き取り

兄弟 一緒に暮らそうと決心したジョー

 

カールの事件を追ううち ライラとは恋人同士になれた

 

ライラも過去に傷を負い その苦しみは現在も続いている身の上だった

ジェレミーにも理解を示し最初から優しかった女性

 

 

カールは無罪が認められた書類を読み 

ずっと刑務所の独房暮らしで憧れていた雪景色を眺めることもできて 心やすらかに死んだ

 

何より自分の為に動いてくれた人々の存在が嬉しかったのかもしれない

 

カールの葬儀後 ジョーは思いがけないプレゼントをマックス・ルパートとボーディ・サンデンから教えられる

 

 

強姦殺人の真犯人は他にも女性を殺しており

賞金も出ていた

 

 

その賞金があれば ジェレミーの世話をしながら 大学を続けることができる

 

 

 

翻訳された務台夏子さんの「訳者あとがき」によれば ジョー・タルバートは大学卒業後 AP通信に勤め

そこで自分の父親かもしれない人間が被害者となった事件に遭遇する

その物語が書かれているーとか

 

マックス・ルパート刑事やサンデン教授活躍の別な作品もあるそうです

 

 

 

年末年始で忙しがって コメント欄は閉じております

ごめんなさい

 

 

 

 


自分に ファイト!!!

2020-12-17 10:10:28 | 子供のこと身辺雑記

96才 高齢の姑は時々 私が誰かも分からなくなる

昨日 長男が内科受診の日で 病院が終ってからいつもより少し遅い時間

かろうじてお昼前に着いたら こう言った

「あんた お粥作ったことあるん」

 

「大丈夫です 作れます」と笑顔でこたえておく

(内心 毎日 作りに来てるでしょ)などとは 思いつつ

 

午後3時あたりになると「誰も帰ってこおへん」などと言い出す

 

「会社が5時までだから6時前にならないと誰も帰ってきませんよ」

 

かと思えば 「○○○ちゃん これ食べり」と おやつをくれる

その時は私をちゃんと誰か分かっているらしい

 

曜日や日付もよく分からなくなるようで 繰り返し確認する時がある

「明日 休みと違うん」

 

朝刊の日付を見せて説明する

その時には納得する

 

しばらくして「やっぱり〇曜日と違うん」とか言い出す

同じ事を繰り返す

 

トイレから戻って5分しないうちに「おしっこしたい」と言う

立たせて体を支えてこけないように気を付けつつ トイレへ連れていく

 

この姑を立たせて歩かせるのが毎度のことながら結構疲れる

繰り返すうちに自分の右腕にどれだけ力が入っているか不安になる

 

歩きながら「もう あかん」と急に姑が体の力を抜くこともあるので こちらもコケそうになる

 

さて そろそろ行かなくては 今日も頑張ってきます

 

年末年始暫くの間 慌ただしくコメント欄閉じております

ごめんなさい


東野圭吾著「危険なビーナス」 (講談社文庫)

2020-12-14 20:16:59 | 本と雑誌

 

 

 

異父弟の明人が行方不明

明人の妻と名乗る女性 楓から連絡を受けた伯朗

矢神家では明人の父が病気で死にかけており 遺産は明人が相続するらしい

 

明人は何処にいるのか

楓は本当に明人の妻なのか

 

誰もが嘘を言っているようで 誰を信じればいいのか

 

伯朗の母が抱えていた秘密

その秘密を狙っていた人物

 

母の死は 事故死ではなかった

以前から その死を疑っていた明人

 

惚れっぽい伯朗は 楓に心乱されて

 

 

先日 テレビドラマは最終回を迎えました

 

ドラマは幾分話をふくらませてありましたが 大筋は原作の小説と同じです


しないといけないことは やりたくない

2020-12-13 12:14:25 | 子供のこと身辺雑記

平日は姑の家に行っているから庭をいじるのは日曜日くらいしかない

でもって庭からの収穫

蜜柑と柘榴

例によって仏壇のお供えに

 

 

 

南天の実

 

 

 

 

山茶花

 

 

 

薔薇

 

 

 

 

 

枇杷の花

 

 

 

薔薇

 

 

 

 

檸檬(読めるが書けない漢字です・・;)

 

 

 

 

たぶん何か柑橘類の実(いい加減・笑)

 

 

少し前に叔父から届いた胡蝶蘭

毎年 有難う♪

 

 

 

冬になって元気になったシクラメン

 

玄関前 鉢植えを少し入れ替えました

 

 

 

赤い実がついてくれたのが嬉しくて

数年前の寄せ植えの生き残りさん

 

 

 

 

姫林檎の長寿紅

今年もいっぱい実をつけてくれました

 

 

月曜日と火曜日の午前中までは姑の家の庭に植木屋さんが入り 火曜日の午後からは私の家の方に植木屋さんが入ってくれます

それで自宅放置庭の せめてゴミくらいはと大雑把に拾って回る私

 

郵便物の整理と年賀状書きをしなければーと思いつつ

何かとさぼっております

 

(まるで宿題をためこむ子供みたいに・笑)

 

 

 

 


ロバート・ヘイリー著「黒と白のはざま」 (小学館文庫)

2020-12-12 21:02:24 | 本と雑誌

 

 

 

「ザ・プロフェッサー」に続くシリーズ 第2作

前作で大学を追われ膀胱癌の治療と これからすべきことを見失っていた恩師のトムが応援するリックの事件を力強くサポートしてくれたボーセフィス(ボー)・ヘインズ

今回そのボーが窮地に陥る

5才のボーの目の前で父親がリンチにあい殺された

大学で負傷しスポーツへの道が閉ざされた時 「法律」という新しい道を教えてくれたトム

ボーは父親を殺した男達に正義の裁きを受けさせる為に弁護士になった

 

ボーが育ったブラスキは クー・クラックス・クラン(KKK)誕生の地

その白く長い布をまとった不気味な姿は映画などにも登場する

 

ボーの父親はこのKKKの男達に殺されたのだ

しかし何故?!

どうして父親は殺されなければならなかった

 

真実を話してくれる人間はいない

故郷で開業したボーばかりか 家族にも嫌がらせが

ボーの愛する妻は 自分はいいが子供が狙われることが耐えられず

子供達を連れて自分の両親のもとへ身を寄せる

 

独りぼっちになったボー

父親の命日

彼はよく行く店で 父親の敵の一人アンドリューと行き会う

その後 アンドリューは殺され ボーの父親が吊るされていたのと同じ木に死体を吊るされ火をかけられた

 

アンドリューは病気で余命はわずか

アンドリューがヒイキにしていたダーラは 彼が真実を告白しようとしていたことを知っていた

誰がアンドリューを殺したのか

 

ボーは殺した人物として逮捕される

彼は唯一頼れる人間に連絡をとった

 

圧倒的不利な中 ボーが犯人ではないことを証明してくれる

尽力してくれる人物

人柄優れるトム 

 

駆け付けたトムは 様々な手を打っていくが

前回の事件から因縁ある人物に襲われ負傷する

 

トムの旧友のレイレイは ボーとは仲が良くなかったが 地元の人間としての人脈を生かし動いてくれる

 

しかもレイレイは大きな秘密をかかえていた

 

 

トムとリックを応援してくれる人々が卑劣な男を捕らえる為に動いてくれる

リックも危ないところを守られた

 

裁判が始まり ボーの妻と長男も駆け付ける

これはレイレイからのプレゼント 罪滅ぼしだったのかもしれない

 

誰も信じてくれなくても 犯人の声を聴き分け

正義を追求していた小さな男の子だったボー

 

男の子は経験ある弁護士として故郷の街へ戻り 

真実と正義を求め続けた

 

レイレイの話したことでボーは無罪放免に

 

トムを襲いリックを狙い ボーを殺そうとする男の放った弾丸から レイレイはボーを庇って撃たれて死んだ

 

ボーは怪物と対決する

 

ボーを殺そうとする怪物

 

その怪物はトムが射殺

 

前回の借りを返したトム

 

 

タイトル「黒と死のはざまで」は事件の白黒をつける

そういう意味ばかりか ボーの出生も暗示しているよう

 

ボーが父親と思っていた人間はそうではなく

ボーが自分を捨てたのかと思っていた母親は怪物に殺されていた

 

母親はボーを捨てたのではなかった

 

ボーが父親だと思っていた男は 怪物へのバースデープレゼントの為に殺されたのだという

 

巻末に著者の謝辞があります

 

翻訳された吉野弘人氏による「訳者あとがき」も

私はこの「訳者あとがき」が大好きです

これから訳される予定の本

著者のちょっとしたことなど書いて下さる方が多いので

今後の愉しみにもなります

 

「ザ・プロフェッサー」は2019年3月初版 第2刷は2020年4月

 

本作「黒と白のはざまで」は2020年1月初版

 

このペースだと一年に一冊

次作は来年まで待たないといけないでしょうか

 

 

解説は落語家の林家正蔵氏

このシリーズのファンなのだそうです

 

とても味のあるカバーイラストは安藤巨樹さんの作品です

 

ああ この場面を表紙にされたのかと

 


ロバート・ベイリー著「ザ・プロフェッサー」 (小学館文庫)

2020-12-11 20:58:48 | 本と雑誌

 

 

本の表紙に白い犬が描かれている

主人公の飼い犬ーもう老犬のこの犬が泣かせる働きを見せるのだ

もしもこの本を手に取ったら 読み始める前にしっかりこの犬を見つめてほしい

そして記憶にととめておいてほしい

この犬がどういう行動をとったかエピローグで明かされる

 

著者のロバートベイリーは米国アラバマ州出身 アラバマ大学のロースクールを卒業後 地元ハンツビルで弁護士として活躍し2014年に作家デビューしたと本の紹介にある

 

 

邦題の教授トーマス(トム)・マクマートリーを彷彿とさせる経歴だ

物語の主人公のトムは恩師に請われ 母校のアラバマ大学で教鞭をとることとなり それから40年誠実に学生を育ててきた

新しく学部長となったリチャード・ランバートは彼のヴィジョンに合わない人間のクビを次々と切ってきた

今度はトムに狙いをさだめ スキャンダルをでっちあげる

何処にでもこういう輩はいるものだが トムの元教え子であるジェイムソン(ジャモ)・テイラーが大学側弁護士として そのでっちあげに加担した裏切り行為がこたえた

大学を去るトム

トムは体調もよくなく尿に血が混じり 検査を受けて膀胱がんと分かる

 

優秀な学生のドーンに仕事を与え 雨の中 濡れて本を運ぶ彼女に傘をさしかけ車まで送った

それを学生と不適切な関係を結んだーと醜い歪んだ受け取り方をされた

しかし仕事が必要なドーンの事が気になり トムは持ち込まれた相談を仲介した やはり元教え子のリチャード(リック)・ドレイクのもとへ行くように指示する

 

リックはトムを恨みに思うところがあったが トムはある事でリックがつまづいたことを知り心をいためていた

みどころある教え子の今後を憂えるトム

 

 

トムの昔のガールフレンドのルースアンの娘夫婦と孫娘が交通事故で悲惨な死を遂げた

ルース・アンは真実を知りたいと言う

 

事故の相手のトラック運転手も死んでいたが 運転手のスピード違反が原因という疑いを持つことができる

調べていくと経営者が無茶な仕事を与えていたらしい

経営者は自分に不利な証言をしそうな人間を脅迫 もしくは汚い仕事をする人間に任せて殺したりしている

 

リックとドーンが会って話をして真実を知る人間も その経営者の脅しの為に姿をくらませたり いざ裁判となると逆な証言をしたりする

 

このあくどい経営者側の弁護士となったタイラーは 自分がでっちあげたトムとドーンの醜聞を リックに告げる

ドーンに惹かれていたリックは混乱

二人のチームは分解 タイラーの術中にはまって 行き詰まったリックは トムに協力を乞うが

まだ膀胱がんの治療からイマイチ体調がよくないトムは断ってしまう

 

どちらも言葉足らずな二人だ

ある意味 似ているのかもしれない

 

やはり教え子の原告側弁護士のボーセフィス(ボー)・ヘインズからも老け込むトシじゃない

まだやれるーなどという発破もかけられていたが

 

トムはうっかりと家から離れすぎてしまった

トムのいる場所は山猫が出る

 

連れていた老犬ムッソはトムの足元で疲れてへたりこんでいた

 

しかしトムの目の前に狂犬病にかかった山猫があらわれる

山猫とのにらみ合い そしてー

トムの目の前は真っ白になった・・・・・

 

 

 

一方リックは法廷で窮地に陥っていた

相手方の弁護士タイラーは経験豊富で狡猾

 

そこに現れたトム

 

少しずつ事態をこちら有利にと運んでいく

 

過去に栄光あるトムの出現

トムが大学から追い払われたことに不満を抱いていた人々

トムのスキャンダルを追求したい趣味の悪いマスコミさん

 

裁判は多くの人間の興味をひきつけ傍聴人が増えていく

 

あくどい経営者やその手下にレイプされ 情事の様子を録音した音声メールを送られた女性は自殺

 

悪事について証言しようとした男性は交通事故にみせかけ殺された

 

ばかりか さらに事態は不利と焦る彼らはドーンも殺そうとする

ボーがかけつけ事無きを得たが

 

事件の中で恋も芽生える

リックとドーン

 

経営者に脅され 自分がホモであることを暴露されるより 死を選んだ男の妻は

勇気をふりしぼり証言する

 

裁判はトムとリックの勝利

 

経営者はとらえられる

 

 

全てが終り トムは両親と妻の墓参りに そこにはもう一つ小さな墓があった

ムッソ 闘う犬

 

ボーに ムッソの死の様子を話すトム

狂犬病にかかった山猫に迫られ 岩のでっぱりにつまずいてしまったトム

彼は後頭部を打ち付け意識を失う

気が付くと山猫はおらず自分は無事 そしてムッソがいない

 

彼を救ったのは

 

捜して歩けば樫の木に20キロ以上ありそうな山猫の首に噛みついて動かないムッソ

山猫は死んでいた

トム「ムッソ わたしだ 聞こえるか」

血塗れになっていたムッソは不機嫌そうな唸り声をあげて やっと山猫を噛みつくのをやめる

「あいつはずっと食いついていたんだ 何時間も・・・・

あいつは山猫の傍らに倒れ もう動かなかった

だが わたしがあいつの口元に手をやるとその手を舐めたんだ

そしてー」

トムは顔をおおい 涙を流した

 

ボー「あいつはあなたが無事だとわかるまで待って そして息を引き取ったんですよ」

 

 

 

私は犬大好き人間なので 小説でもこういう場面に弱いです とても

 

そしてボーはトムに白と茶のイングリッシュ・ブルドッグの仔犬をプレゼントするのです

 

このボーは次の作品で事件に巻き込まれ そこにトムとリックの師弟コンビがかけつけるらしいです

ボー とっても人間的に頼りになるいい男なんです

 

 

 

英米文学翻訳家の吉野弘人氏が見つけて原書を持ち込みして出版されたのだそうです

 

映画になってもいいような作品だなと思いました

 

このシリーズ 続けて是非読みたいです

翻訳されるのを楽しみに待っております

 

 


伊岡瞬著「赤い砂」 (文春文庫)

2020-12-10 20:35:17 | 本と雑誌

 

 

 

感染 潜伏 発症の三部に分かれる物語

 

駅のホームから電車に向かって飛びこんだ男

その死から物語は始まる

 

その2週間後 鑑識の工藤と 飛びこまれた電車を運転していた人間が死ぬ

工藤の死から 工藤の死の時に傍にいた人間も不可解な死を遂げた

 

工藤と同期の永瀬は 工藤の死に納得いかないものを感じ 調べようとするが上からストップがかかる

 

永瀬に家に遊びにくるよう誘いをかけていた工藤

自殺の原因など思い当たらない

子供も可愛い盛り

 

不器用で無愛想な永瀬と違い 工藤は人当たりもよく

 

しかし三年後 探偵事務所の所長が同様の不審死を遂げる

 

ある製薬会社の名前があがり

 

上からとめられても永瀬は動かずにいられなかった

 

結果 全てを明るみには出せた

犯人は永瀬にも死にいたる確率が高い薬を盛る

 

 

永瀬は一人の死を覚悟するが その場所へ事件に関わりあった女性が駆けつける

 

発病しても死なない人間もいる

 

希望は残っているのか

 

それともー

 

著者による力のこもった「あとがき」があります

その結びの言葉を ここにあげておきます

「あらゆる感染症と闘っておられる医療従事者 研究者 そしてなにより患者の皆様へ敬意を表わし

あとがきのしめくくりにかえさせていただきます」

 

 

もともとはデビュー以前に書かれていた小説

十年以上の時が流れて こういう作品を書いてたんだーなんてことから

17年前に書いていた作品を「緊急出版」の形になったのだと

この「あとがき」を書いたのは2020年10月であること

 

力のある作家さんが書かれた作品は すごいなと思うのです


山本一力著「銀しゃり」 (小学館時代小説文庫)

2020-12-09 00:01:12 | 本と雑誌

 

 

本の帯に「千客万来  ほんのり甘い杮鮨

実直な鮨職人・新吉と、誠を貫こうとする武士・小西秋之助は立場を超え、友情を深めていく。」

 

 

吉野家で修業をし 暖簾分けを許されて「三ッ木鮨」の看板をあげて自分の店を持った新吉

米の炊け具合から拘り すし飯の味にも工夫を重ねていく

 

知り合いの蕎麦屋台の夫婦に金を出した挙句に裏切られ苦い思いもある小西だが 新吉の商いのやりよう 人柄を見込み智恵も授ける

小西の下男の新兵衛がまたひとかどの人物で

 

新吉と年が同じ棒手振の順平 その妹で気性も器量も良いおけい

 

客で来たおあきが気になる新吉

おあきの亭主が戻ってきて

 

 

新吉は おけいの良さに気付く

 

ところが順平の乗った船がひっくりかえり 順平は行方不明に

 

兄を案じて弱るおけい

 

小西から借りた金を踏み倒し 逃げた夫婦が戻ってきて目と鼻の先で商売していると知り怒る新吉

 

そのごたごたで行った番屋に 記憶を失った順平がいた

 

新吉も順平も小西に仲人を頼み揃っての式を挙げることに

 

 

物語は明るく終わります

 

解説は末國善己さん


まだ年賀状を書いてないことに気付いたーー;

2020-12-08 20:00:48 | 子供のこと身辺雑記

年末が近付くと「喪中につき年頭のー」などという葉書が入る

 

夫と同じ会社の人 以前近所に住んでいた人 そして懐かしい友人ー

 

友人からの時にはちょっとした言葉を添えてにしてみたり しつつ

葉書を受け取るだけで済ませたくない相手にはお供えを 遅ればせながら送る

 

久しく年賀状だけのやりとりになってしまっていた高校時代の友人

クラスが変わっても学校から駅までの道を一緒に歩くことが多かった友

修学旅行でも行動を共にしていた

 

無芸な私と違い 友人は祖母も母もお琴を教えておられ その友人も段持ちだった

 

卒業後も時々会っていたのだが それぞれに忙しく「いつかお茶しよ」と言葉ばかりの日々になっていった

長い三つ編み 制服の日々は 今は他人の人生かと思うほどに遠い

 

お供えを送る時に手紙を添えた

携帯電話の番号と「今でも大切な友人です」の言葉と

 

お菓子が届いたーと友人の携帯から 私の携帯へ電話がかかった

 

途絶えていたものが復活したようで それが一番 嬉しかった

ただ電話するためだけの長電話をかけあっていた若い頃

 

そんな日々が 時間が蘇るようで

 

三か月も入院生活をした母親の看病

病院に行ったと思ったら亡くなった祖母のこと

 

そうした日々のことを明るく話す友人

電話の終わりには 「来年こそ会おう 会ってお茶しようね」

 

そして互いのババア化を笑い飛ばそう

 

ああ 少しでも絶賛大増量体重を減らしておかねば(笑)

あなたは誰ー状態になりそうです

 

 

 

普段は圧力鍋で煮る豆だけど 休日にはゆっくりと普通の鍋で煮たりします

ストウブの鍋は煮豆も美味しい

 

 

猫が見上げる壁には コウモリが居た

 

 

 

 

 

我が家は時々コウモリが出る

長男が捕獲して庭に放していた

 

コウモリは オンボロ我が家を廃屋と間違えたのかもしれなひ・・・・・


堂場瞬一著「約束の河」 (角川文庫)

2020-12-07 22:18:04 | 本と雑誌

 

少年たちは遊んでいた 彼らの隠れ家 彼らだけの砦で

放置された屋根には穴が開いたオンボロ自動車

本やお菓子を持ち込んで

 

4人の少年

 

その車が彼らが遊んでいる時に燃やされた

車の中には3人

遅れてきた一人は車に火をつけた若い男をナイフで撃退

更に2人までは車から助け出したが 3人目は救えなかった

 

2人の友を救った少年は その代償にか片腕を失った

 

救われた少年の一人の北見は 父親の弁護士事務所の経営は継いだが 司法試験には通らず

弁護士にはなれず 気付けばヤク中に

 

誰かが彼をヤク中治療の病院へと入院させてくれた

 

入院していた二カ月の間 経営者の北見と連絡が取れず 事務所の弁護士たちは 皆 事務所を辞めて出て行った

 

そして北見は 自分達を助けて片腕になった友の今川が 自分が入院していた二カ月の間に 死んだことを知る

 

学生時代 交際していた奈津は 北見から今川に心を移し

その後 北見は他の女性の香織と結婚 今はかわいい娘がいる

 

学生時代から今川と喧嘩してはくっつくを繰り返していた奈津は 今度こそ今川から結婚しようと言われて

婚約者だったと

 

今川の自殺が納得できない北見は その死について調べ始める

 

奈津が今川から預かったという書きかけの小説

けれど その中身は・・・・・

 

北見を案じる刑事の藤代

藤代は妻が欝状態であることを憂えていた

 

不安定な精神状態の北見は 今川の書きかけの小説の内容に打ちのめされるが

ある人物の言葉から その小説の中身について気付いたことがあった

 

 

誰が今川を殺したのか

 

 

昔 仲が良かった少年たち

一人は燃えて死に 一人は水の中で

 

今一人の北見はヤク中になってしまった

もう一人は・・・・・・

作家になる夢がかなわず それでも書き続けてはいた

 

帰国したら あの川で会おうと約束していた北見と今川

 

望まぬ妊娠だけれど 産みたいと思うようになっていた奈津

 

 

北見には妻も娘もいる

この二人がいれば 

北見を案じてくれている藤代も

 

川は多くのものを北見から奪っていったけれど

 

それでも今川は北見を大切には思っていたのだ

北見がヤク中でぼろぼろになっていることが許せないくらいには

 

友情はあった 確かに

 

 

 

解説は吉田伸子さん


塩田武士著「ともにがんばりましょう」 (講談社文庫)

2020-12-05 20:46:35 | 本と雑誌

 

背もそう高くはない 人をおしのけてなどというタイプでもない

 

上方新聞の記者の武井

寺内の口車に乗せられー騙されて

厄介な役目を引き受けさせられてしまう

 

そして この作品にも出て来る人物がおります

「盤上のアルファ」「盤上に散る」にも登場の あの詩人

もはや塩田武士作品の陰の主役かもしれなひ・・・

ーと謎の感心をしつつ(笑)

 

この引っ込み思案の武井さん

ある場面でとうとう発言

やっとこさ発言

 

会社側との闘いも済んで

次は好きな女性に こちらもやっとやっと自分の気持ちを伝えることが

 

寺内は武井を見込んで引きずり込んだのであり

これからも仲間として活動していく

 

解説は弁護士の角田龍平氏

オール巨人さんに弟子入りし 挫折 それから司法試験をーというかなり異色の経歴の方なのだとか

 

作品にも著者についても興味深いことを書いておられます


塩田武士著「拳に聞け!」 (双葉文庫)

2020-12-04 21:15:45 | 本と雑誌

 

 

お笑い芸人に見切りをつけて便利屋の仕事をしている省吾は ボクシングジムの人々へ のめりこんでいく

しけたボクシングジムを追い出して定食屋を開こうとしていた優香も ボクシングジムを営む一家の奥さんと仲良くなり

 

ボクシングジムの希望の一人息子の勇気

彼を応援する人々

 

芸人をやめた省吾を気にかけてくれていた人々

 

試合で頑張る勇気の姿に 立ち止まっていた省吾も 再びチャレンジする場へ戻っていく

 

解説は毎日放送アナウンサーの西靖氏


塩田武士著「盤上に散る」 (講談社文庫)

2020-12-03 20:03:10 | 本と雑誌

 

 

 

「盤上のアルファ」に登場

母は出て行き 父親と二人暮らしの真田信繁だったが 父親は借金のカタで拉致され 少年の信繁の前に現れたのは

テレビドラマ「西部警察」の渡哲也演じる大門にそっくりの男 林鋭生

闇金の集金に来た男は 信繁少年と命を賭けた将棋を指す

林は「新世界の昇り龍」として知られた真剣師

子供に勝てようはずもなかった

 

だが林は 信繁少年の命などとらず 逆に食べ物を運び将棋を教えてくれた

 

「盤上のアルファ」に こんな一節がある

ー彼のノアールストーリーを詳細に紹介すれば おそらく一冊の本ができるだろう

真田と秋葉という二人の男を主人公にしたこの物語では 残念ながらこれ以上「昇り龍」の過去に触れる余裕はない

林鋭生の生きざまを語るのは またの機会に譲ろうー

 

 

その「またの機会」として書かれたのが この「盤上に散る」

 

病死した母がひそかにのこしていた手紙

遺品整理をしていて一人娘の蒼井明日香は 林鋭生という人間に心当たりがなかった

母の手紙を届けようと この林鋭生なる人物を捜し始める明日香は 同じ人物を捜すリーゼント男・上月達也と共に行動するようになる

 

前作の主人公格 記者の秋葉も プロ棋士になれた真田も登場

明日香が林を捜す道程で 「盤上のアルファ」の登場人物たちとも出会う事に

 

秋葉に片思い中らしき遊佐加織

真田と復縁した静

 

将棋ライターの関

 

どこかお人好しの秋葉は相変わらず真田に振りまわされつつ多忙な日々を送っているよう

 

明日香は一度は林と出会いつつ その時は気付けずにいた

この時 林が多弁であった理由も終盤明かされる

 

林は明日香に出会えて嬉しかったのだ

 

林が一目惚れしたのは明日香の母

けれど明日香の母には家庭があった

 

うまくいかなかった対局

勝てなかった

あの時 勝てていたら林の一生はがらりと変わっていたのかもしれない

 

ずいぶんと遠回りはしたけれど 林は少年の日の夢をかなえたのだと思う

 

泣きながら父親と将棋を指した あの少年の日

 

 

林鋭生を演じた俳優の石橋蓮司さんと著者の塩田武士さんとの対談が収録されています

 

私は石橋さんといえば横溝正史原作「悪霊島」の女装が思い出されますが

嫌な冷酷な悪役から面白いおじさままで幅広い役柄を演じられる芸達者なお方です

 

昭和時代についても対談の中で触れられておりますが

私が子供の頃には商店街の通路の端っこで 将棋で自分に勝たないかーと賭け将棋の声あげる人間なども見ることができました

 

私の父は将棋が好きな人でしたが そういう手合いには参加しませんでした

いわく「ああいうのは やくざが多い 」

最初は客をのせて勝たせて 掛け金を大きくしてーというふうなものだったのでしょうか

小説を読みながら ふっと そんな子供の頃見た光景など思い出しました

 

蒼井明日香さんはだいたい真面目な女性ですが 酒癖がユニークです

紙を破いたり いい加減な詩人(「盤上のアルファ」では女流棋士に二股かけてたようなー二人ともなんでこんな男に惚れたのかしらん・笑)が被るタイガーマスクをはぎとってみたり

そしてその行動を酔いがさめれば覚えていない

 

 


塩田武士著「盤上のアルファ」 (講談社文庫)

2020-12-02 22:36:26 | 本と雑誌

 

事件記者であったのに 左遷されて文化部の仕事をする秋葉は 将棋の記事も書くことに

 

一方 人生に行き詰まった男がもう一人

仕事をクビになり家賃が払えず住むところすらなくなった

 

いわゆる将棋馬鹿

将棋にかける思い

真田信繁という

 

静という女性を通して 秋葉の家へ押しかけ強引に同居する真田

 

自分の夢へかける真田

 

真田のこれまでを書きたいと思うようになる秋葉

 

孤独な少年はオオカミと出会ったと信じる

オオカミのアルファ

 

母は家を出て行き 父は借金から連れていかれ

真田は伯父の家に引き取られた

そこでの生活は幸せではなかった

 

父が手ほどきしてくれた将棋

将棋が縁で林に目をかけられ 鍛えられた

 

初恋の女性とも出会った

全ては将棋ゆえに

 

真田に振り回された感のある秋葉だが おかげで一皮むけて いい男になったようでもある

 

 

登場する人物ひとりひとりが魅力的

 

解説は先崎学氏

棋士の目から見ても合格点な面白い小説なのだと

素敵な文章で書かれておられます