山中教授のiPS細胞が実用化されるには10年ぐらいかかると思われるし、いざ手術となっても費用は莫大。高いと2,000万円、安くても500万円ぐらいするんじゃないかな。貧乏人には縁が無い。
STAP細胞は弱酸で万能細胞にするというが、仮に本物だったとして、山梨大学の若山教授が文芸春秋に書いていたけど、熟練とかなり高度なテクニックを要するので、iPSの方が余程簡単らしい。
そうしてみると、脂肪幹細胞(ASC)は実に簡単に取り出せるし、取れる量は脊髄幹細胞の1000倍というからすごい。ただし、脂肪幹細胞はiPS細胞やTAP細胞の様な万能細胞ではない。他方、人口の細胞ではないから安全性は高い。
作業は美容整形の脂肪吸引そのもので、おなかの皮下脂肪を取り出し、その中から脂肪幹細胞を遠心分離器で分離する。ネズミの場合、脂肪幹細胞を尻尾に注射すると、脂肪幹細胞が全身に回るが、体の疾患などが有るとそこに集合する。
そこで、指令を出して、例えば肝臓などを治癒させるのだ。昔のミクロの決死隊に似ているが、ミクロの自衛隊員のようなもの。
細胞が傷ついたり、ガンにやられると、助けてくれとSOS物質を放出する。それを脂肪幹細胞がキャッチし、信号物質の出ているところを目指して、血管内を進む。その個所に到達すると、血管をすり抜けて患部に脂肪幹細胞が集合する。
患部を治すための指令物質であるサイトカインを一斉に放出するのだ。アルツハイマー病も直すというから将来の希望が持てる。
脂肪幹細胞が分泌するエクソソームは脳神経に出来るアミロイドβを分解する酵素を運ぶ。アミロイドβは、実は、アルツハイマー病の元なのだ。
尿失禁の患者の尿道近くに脂肪幹細胞を注射すると、何と尿道の平滑筋に変化して尿道の筋肉を強くし、尿失禁が改善もしくは完全治癒するという。.
女性の乳房手術で凹んだ場所に、脂肪と共に脂肪幹細胞を多めに入れると、何と乳房の中に組織が出来、本来の乳房に戻るらしい。女性の味方。鳥取大学医学部で研究が進んでいる。
治癒できる病気は、アルツハイマー病、脳梗塞、パーキンソン病、歯周病、糖尿病、肝臓病、腎臓病などと幅広い。
脂肪幹細胞は不要な皮下脂肪から取り出すスーパー細胞だったのだ。