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日本の天国と地獄を分けることになった歴史の1ページ 満州鉄道開発

2018年02月18日 17時38分32秒 | 国際・政治
 八幡和郎の著書「日本人の知らない日米関係の正体」では、桂太郎首相とアメリカの鉄道王ハリマンとの満州鉄道の共同開発協定(1905年10月)を小村寿太郎外相が破棄させた事に関して、次のように書いている。

 「南満州鉄道(満鉄)にアメリカの鉄道王ハリマンが資本参加するというような話もありました。これについて多くの人がそれを認めておけば日米戦争は無かったのではないかともいいますが、アメリカ人がみなハリマンを支持していたわけでもありませんし、日本人移民の排除のような事件もありました。アメリカも中南米やフィリピンを囲い込んでいたのですから、何もかも日本が譲ってばかりでは馬鹿馬鹿しいというのが普通の考え方だったと思います」

 この、ハリマンとの満鉄共同開発に関しては数冊の書籍で賛成と反対の説を読んだ。僕は八幡がミクロレンジで判断しているのではないかと思う。日米戦争だけでなく、これまで指摘されてこなかった歴史的な明暗を分けた当時のバックグラウンドに触れたい。

 小村寿太郎はハーバード大学を卒業した当時としては剃刀のような天才であった。えてして勉強天才は頭が良く説得力が有るものの、残念ながらネガティブで、世界が狭く、保守的である。

 日本は、当時、強国ロシアや中国の脅威を受けていた。とりわけロシアは朝鮮半島を経由して日本に迫る情勢で有ったため、衝突が裂けられず、日露戦争に至る。日露戦争ではイギリスなどの資金的支援を受けて辛うじて勝利していたものの、油断ならなかった。中国も強大で最後まで手に余る存在だった。

 八幡はアメリカ人全員がハリマンを支持していなかったと言うが、実は、そんな事に関係なく、もし満鉄がハリマンとの共同開発になるとアメリカ軍は満州及び満鉄を日本軍と共同で守ることになる。アメリカはアメリカ国民を守るが、日本政府は必ずしも日本人を守ってこなかった。その意識の差も有る。

 日米の軍事的同盟関係が結ばれることになるのは自然の成り行きである。中国がアメリカをけしかけた歴史を思い起こすべきだ。中国は客観的に世界情勢を読み、最も強力で、楽観的で、お人好しのアメリカを騙して味方につけ日本に対抗してきたのだ。21世紀に入っても中国はアメリカを利用してきた。

 一方ハリマンは日本に好意的で日露戦争では莫大な資金を援助をしている。日本から見て満州などは小さな権益で、ハリマンがヨーロッパから朝鮮まで鉄道を引きたかったら、協力して引かせればよかった。ついでに、日本と朝鮮の間に海底トンネルを掘り、日本からヨーロッパをはじめ世界を繋ぐ鉄道で貿易を拡大すればよかった。

 アメリカが日本人の排斥を実施したのは1924年の俗に言う排日移民法であり、満鉄の後の話である。満鉄の共同開発が進み、日米同盟が結ばれれば事態は大きく変わったであろう。

 従って、日米が協力して、ロシアや中国の共産化をも抑える事が出来、また日本は平和な発展を享受できたのだ。世界情勢は現在とは大きく異なるものになった。これが僕の考える日本の天国だ。軍事面に過度な負担を強いられ、多くの犠牲を出した日米開戦も避けられた。

 なお、公正を期す意味で、ハリマンと日本政府の覚書のあらましを下記に紹介しておく。http://ktymtskz.my.coocan.jp/cabinet/hariman.htm より。

一、日本政府の獲得せる満州鉄道並びに付属財産の買収、該鉄道の復旧、整備、改築及び延長並びに大連において鉄道終点の完成及び改良のため、資金を整うるの目的をもって一のシンジケートを組織すること。
一、両当事者はその取得したる財産に対し、共同かつ均等の所有権を有すべきものとす。
 特別の協議に依り、該シソジケートは鉄道に開連せる炭坑採掘の特許を獲ること。
 その利益並びに代表権は、共同かつ均等たるべきこと。
一、満州における各般企業の開発に開しては、双方互いに、他の一方と均等の利益を有するの権利あるべきことを原則とす。
 満州の鉄道はその付属財産並びに鉄道軌、枕木、橋梁その社一切の線上設備、停車場、建築物、プラットホーム、倉庫、船渠、埠頭等と共に、両当事者の共同代表の決定すべき実価をもって引き取らるべきこと。
一、該シンジケートの組織は、その時機に際し有すべき須要と情勢とに適応すべき基礎にて定むべし。
 日本における情勢に適応するは得策なりと認めらるるに付、日本の監督のもとに組織することとすべし。
 但し事業の容す限り、随時これに変更を加え、結局代表権並びに監督権を均等ならしむることを期すること。
一、該シンジケートは、日本の法律に由り、事業を行なうことにハリマン氏同意したるに付、残すところは氏の組合員の同意なるか、氏は右の同意を得らるべきを信ずること。
一、日本と清国間、もしくは日本国と露国間開戦の場合は、満州鉄道は軍隊及び軍需品輸送に関し、常に日本政府の命令に従うべきこと。
 日本政府はこれに対し鉄道に報償すべく、かつ他の攻撃に対し常に鉄道を防護するの責に任ずること。
一、両当事者間の仲介者としては、日本外務顧問デニソンに委嘱すること。
一、自今、日本興業銀行総裁添田寿一を以て両事業者間の通信の仲介者となすこと。
一、両当事者以外のものを加入せしむることは、双方の協議と双互の同意を経るを要すること。
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