もう新年になって半月以上がたつ。
いまさらなのだが、昨年末の紅白は、いつになく以前の歌が歌われた。
それは、東日本大震災等の被災からの復興を、という意味で選曲されたからに他ならない。
前にも、ここで書いたけれども、「猪苗代湖ズ」の「I love you & I need you ふくしま」は、気迫があって、やはり胸を打たれるものがあった。
北島三郎の「帰ろかな」や千昌夫の「北国の春」は、ベテラン歌手の歌唱に昔懐かしさと、知っている人の心にしみるものがあった。
その時聴いた歌で、改めてしみじみといい歌だと感じたのが、松任谷由実の「春よ、来い」である。
この歌は、NHK朝の連ドラの主題歌として流れたことがある。
それは、もう18年も前のことである。
2回目の出場となった昨年末の紅白で、彼女は、この歌を歌った。
年が明けてから、私が最も多く繰り返し聴いているのが、この歌である。
正確にいえば、曲名は「(みんなの)春よ、来い」である。
彼女は、NHKと共同で「(みんなの)春よ、来い」プロジェクトを行っている。
これは、東日本大震災の被災地を支援するため、このプロジェクトでは、「春よ、来い」のコーラスを歌った動画を一般募集し、これらの動画を重ね合わせた新バージョンをインターネット配信し、その収益を被災地支援のために全額寄付するのだそうだ。
この歌の好きなところは、どこか懐かしいメロディーに文語調の詩。
かつて愛した人との再会を夢見る思いがあふれている。
その中には、昔の思い出を力に変えて生きていこうという決意もうかがえる気がするのである。
淡き光立つ 俄雨
いとし面影の沈丁花
溢るる涙の蕾から
ひとつ ひとつ香り始める
それは それは 空を越えて
やがて やがて 迎えに来る
春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
愛をくれし君の なつかしき声がする
君に預けし 我が心は
今でも返事を待っています
どれほど月日が流れても
ずっと ずっと待っています
それは それは 明日を越えて
いつか いつか きっと届く
春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき
夢をくれし君の 眼差しが肩を抱く
夢よ 浅き夢よ 私はここにいます
君を想いながら ひとり歩いています
流るる雨のごとく 流るる花のごとく
春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
愛をくれし君の なつかしき声がする
春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき
夢をくれし君の 眼差しが肩を抱く
確かに、被災地の春は遠い。
だけど、春はいつか来る。
そう信じて、春の訪れを待つ。
「春よ、来い」と願う。
雪に埋もれる新潟は、春の訪れを心から「早く来い」と願う。
災害からの復興を「春」と呼ぶなら、本当に、
春よ、来い。
早く、来い。
と、祈りたい。
今日も、夕食後の茶碗洗いをしながら、この曲をしみじみ聴いていた私である。