第12回 栄一の旅立ち
「俺は百姓の分際を通す、おまえはおまえの道を行け」
栄一の ”俺を勘当してください” に父はこう答えた
顔は寂しそうでしたけど…
頑張ってここまでにした藍づくり
藍の生産、加工、販売を一手に取り扱うことを
こなしてこられたんですもの
長男が他のことを目指してると知れば、がっかりしますよね~
栄一の母ゑいさん曰く
栄一の父は、若い頃お武家様になりたい
そんな夢を抱いていた
だから、栄一のことが根っこのとこで理解できてしまった
そうですか…市太郎さんにもそんな夢があったとは
この父にしてこの子あり、とは思ってはいましたが…
出て行くことを許してもらったと理解したのだろう
横濱焼き討ち計画という形にした攘夷の意思
命をかける覚悟で
喜作と江戸へやって来ました
賑わっている江戸の町中で
どうも、自分の後をつけて来る者がいる
と感じたふたりは、隙を見て駆けだした
慣れない場所での逃走は無理やなあ~(>_<)
仕掛けたのは平岡円四郎、なのかな?
え~っと、栄一と平岡円四郎の出会いは、
父と商いで江戸へ来た時に鉢合わせしてますよね、確か
江戸の町中で、栄一が武士の悪口を呟いた時、
それを聞きとめた円四郎に
おいおい、聞き捨てならねえなあ~とか言われて
父と共に一目散に逃げたことがありましたね、確か
円四郎はそれを覚えていてのことなのか?
或いは、栄一が仲間と居酒屋みたいな所で
ずいぶん危なっかしい話をしてた時
後ろで、聞いていた人相の悪い(ごめんなさい)お侍が
栄一に的を定めたのか
とにかく目的は、一橋派の家臣に向いてそうな人物を
探してたと、円四郎がおもむろに話し出した
「そんな大きな志があるなら、俺の元に仕えたらどうだい
おめえらが思っているより、もっと大きなものが動いてる
武士になった方がいい
万が一潰してえのが御公儀なら、我が殿が居るのは
江戸のお城のど真ん中だい
ぶっ潰しに行くにゃあ、もってこいの場所だぜ」
この勧誘の下りは聞いててスカッとしました♪
こういうのを、てやんでえ、べらぼうめえ!
なんて~言う、江戸っ子でえ~!ですかい?
でも、
喜作が断ってしまったから、栄一もつられたように断った
あっ、もったいな~~い
ま、それでも気が変わったら来な、悪い様にはしねえからと一言
うん、まだ望みは消えてない
円四郎さん、さばさばしてて快い人ですね♪
”おかしれぇ” と言う言葉は初めて聞きましたが
さて、こんなこともありました
江戸で訥庵先生に師事し攘夷を深く掘り下げていたであろう
長七郎が、血洗島に帰ってきた時のこと
また一段と、荒んで見えます、大丈夫?
栄一達が、横濱焼き討ちなどの攘夷のための計画を話した
すると、長一郎は顔色を変え、
これは暴挙だ、兄の計り事は間違っていると
反対した
立ち上がれば沢山の仲間が集まるという意見にも
集まらない
薩摩は、英国の軍艦に撃ち込まれ、攘夷を捨てた
大和では攘夷の志士や、公家が京から追い出された
しかも、その命を下したのは天子様で、結局幕府を選んだのだ
それでも命を捨ててでも、皆の日本国を救う
と返した栄一に、長七郎は逆に
命を捨ててでもお前たちが犬死にするのを止める
あの、冷静で強い心のはずの長七郎が
泣き崩れた
長七郎さんは身も心もズタズタになってはりますね
長七郎は、皆よりもずっと前から江戸へ行き、
攘夷の志士たちと学んでました
同時に、その裏の嫌なことも見たかもしれませんね
結局、惇忠たちは計画を中止した
栄一はようやく、うたちゃんを抱っこ出来た
死なねえでよかったと言った
なのに、なのに、なんで?
「政は江戸から京に移った
天下のために自分は何が出来るか探ってみたい
京へ行く」
ここで自分自身を清算するつもりなのか
わだかまりのあることを打ち明けた
先だって志士たちの武器を買うため、
家の商売の売り上げ160両をくすねたこと
八州廻りに目をつけられ、追われている
迷惑をかけるから姿を消す
妹に養子をもらって継がせてほしい
そうだから、やっぱり家を出る⁉
別のことにもびっくりしました
市太郎さん、大福帳全く見てなかったのですか?
ん~栄一にすべて託していたのですね
それにまた京へ行きたい、なんて言われて…
「おまえはもう、百姓じゃねえ
おまえのすることに是非は言わねえ
もう、おれの知るところじゃねえ
但し、ものの道理だけは踏み外すなよ
誠を貫き生きたなら、それが幸か不幸か
死ぬか生きるかに関わらず満足することにすべえ」
市太郎さんにここまで言わせたのですし
このことを心して生きていくことを覚悟してくださいね
ものの本や、手軽なところでウィキペディアなんかで
調べれば、あなたの未来が分かるんです
それでも、ひとこと言いたくなるほどに
市太郎さんの言葉が、心に沁みました
親孝行してくださいね
あとは、Let it be
幕末、尊王攘夷に翻弄されていた日本についての
川路聖謨(としあきら)と平岡円四郎の会話に
思うところがありました
こんな会話でしたね
川路 「徳川斉昭や藤田東湖が生んだ、攘夷というものが
長い時が経つうちに変異して、
とんでもねえ流行り病になっちまった気がしてる
その奴に一旦侵されっちまうと
そう易々と治まらねえのさ」
平岡「流行り病ねえ~」
この頃、武州には赤城おろしが吹き始めていた
あの紋次郎さんでも、
あっしにゃぁ関わりのねぇこつでござんす
なんて言えません
マスク着用、三密避ける、うがい手洗い、ステイホーム
守ります
ワクチン接種、どうしよ…???