最終回 敬天愛人
西郷どん、すごい 気迫でした
城山で政府軍の総攻撃が始まった時、
あの大きな体を揺らし、突進していきましたが、
その顔に死相を感じました
鈴木亮平さんは鈴木亮平さんでなく、この時、西郷どんだったのでしょうか
死を覚悟して戦っていたのでしょうか
その悲愴さと、必死さに圧倒されました
大久保らに今の政府がおかしいと、正してほしいと訴えるために
西郷どんは、立ち上がったけれど、
政府軍に阻まれやむなく鹿児島へ戻らざるをえず
450㎞を歩いて鶴丸城の裏にそびえる城山に着いた
子供の頃、大久保はじめ、幼なじみとよく登った城山
ここからは、桜島がよく見える
大久保から戦陣の西郷どんに手紙が届く
”総攻撃の指令を出した、時刻は明朝4時
本日夕5時までに降伏すれば西郷は助ける”
西郷どんだけ助ける、という意味だったのか
「甘かとは、おはんじゃ、こげな情は受けられん」
その夜だったか、
西郷どんは斉彬公の幻を見る
「めそめそするな、このやっせんぼ、
侍が重い刀を差して、えばる時代は終わるのじゃ」
明日の戦いを前に、西郷どんたちは、城山の洞窟の前で、
アコーディオンの伴奏でフランス国家を歌い、陽気な夜を過ごした
明けて、総攻撃は始まった
「もうひと暴れすっど」
西郷どんにはもう、一分の迷いもなかったのだろう
ここまで行動を共にした皆に、
「これでもう、戦のない国になる、侍は居なくなる
おはんらが”最後の侍”をつとめるのじゃ、日本の誇りじゃ」
すでに300人ほどになってしまった西郷軍が突進していく
相手の政府軍は7万人
西南戦争は終わった
日本最後の内乱となった
西郷どんは、こんな争いを好き好んでしたとは思えない
敵を倒す、というよりも
仲間を守り、仲間の気持ちをまっとうさせてやりたい
そんな気持ちだったのでしょうね
磯御殿の島津久光と海江田武次(有村俊斎)
西郷家の人々
それぞれに、砲弾の音を聞いていた
音がやんだ…
糸さあは、城山のほうに向かって
「おやっとさあでございもした」
と、頭を下げる
砲弾の音がやんだということの意味
戦場で西郷どんが逃がしていた愛犬が家に戻ってきた
糸さんは、可愛がっていた犬を夫が解き放ったことを察したに違いない
西郷どんは糸さんに言い遺していたことがあった
「子供達に伝えてほしかこつ、あっとじゃ
おいが死んだこつで、おかしい事がおかしいと言えんこつなるとは
決して、思わんでくいや
これからはおまんらが……」
残念ながら、ここのところのテレビの音を私は聞き取れませんでした
おそらく、子供たちに自分の果たせなかったこと、すなわち、
人々が、食べ物に困らず平穏に暮らせる世の中を作ってほしい
西郷どんの子供達への遺言だったのでしょうね
京都市の二代目市長にもなった、西郷菊次郎は、
「父は天を敬い人を愛した
己の身を捨てても人を愛しました」
西郷どんの死後、西郷人気が高まったそうです
一方、暗殺された大久保は、鹿児島では長く逆賊と言われていましたが
大久保は大久保なりの、国づくりに力を注いだとして、
見直されるようになってきたそうです
西郷どんは、薩摩ファースト
大久保は中央集権ファースト
そんなことも、薩摩での評価の分かれ目でしょうか
最後のシーン、史実に残る西郷どんの切腹はなく、
青空を見上げて少し笑みを浮かべる西郷どんの
「もうここらでよか」
で終わりましたね
これは、ひょっとして西郷どんはこのあとも生きていた
の暗示だったのですか?
林真理子さん、ありがとうございました
一かけ二かけ三かけて
四かけ五かけで橋を架け
橋の欄干腰おろし
はるか向こうを眺むれば
十七、八の姉さんが
片手に線香花を持ち
もしもし姉さんどこ行くの
私は九州鹿児島の
西郷隆盛娘です
明治十年?月?日
切腹なされた父上の
お墓参りに参ります
お墓の前で手を合わせ
なんまいだぶつと目に涙
……
……
そんな歌をうたいながら、せっせっせ~のよいよいよい
と手合わせで遊びました
西郷隆盛の何たるかも知らず、年端も行かない少女たちまで、
この名前を口にしていたのです
如何に、日本中の人々から、西郷どんが親しまれていたのか、
大河ドラマ「西郷どん」で、初めて知りました
じゃっどん西郷どん、
あまりにも理不尽な一生だったとは思いませんか
私は、西郷どんの生き方に、文句たらたらですよ
もう少し、自分のための人生でもよかったのでは?
最後まで、見ていて悔しい悔しいの気持ちでしたよ
西郷どんもやっぱり、そうなんじゃないですか?
幾度も噴火する桜ん島
私には、西郷どんの怒りに見えます
桜ん島は西郷どんそのものです
西郷どんは今、居るべきところに居る
そんな桜ん島に、私はひどく魅せられてしまいました
きっとまた、桜ん島に行ってみます
黒い桜島、赤い火映を見せる桜島、噴煙に覆われる桜島
どの桜島も、まっことよか眺め
Forever Sakurazima
まこて、あいがとさげもした