路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説】:野党の統一会派 「結集の旗印」は何なのか

2019-08-10 10:41:30 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【社説】:野党の統一会派 「結集の旗印」は何なのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:野党の統一会派 「結集の旗印」は何なのか 

 野党がばらばらのまま、巨大与党に立ち向かっても限界がある。野党で統一会派を結成する意義は決して小さくない。

 しかし、単なる「数合わせ」ではないと言うのなら、その目的と理由を、将来の展望とともに丁寧に国民へ説明すべきだ。 

 立憲民主党の枝野幸男代表が国民民主党の玉木雄一郎代表らに衆院での統一会派結成を呼び掛けた。秋の臨時国会までに、立民会派への合流を要請する提案である。立民が掲げる「原発ゼロ」法案や選択式夫婦別姓制度などへの理解を求めたが、唐突な印象は否めない。枝野氏は立民の結党以来、「永田町の数合わせにはくみしない」などとして政党・会派の合従連衡を一貫して否定してきたからだ。

 この、いわば独自路線が、立民と枝野氏の存在感を高めてきたことは確かだろう。同時に、その原則論に固執する姿勢が、国会論戦や国政選挙での野党共闘態勢を弱める遠心力となってしまった側面も否定できない。

 なぜ今、方向転換するのか。枝野氏は「次期衆院選で大きな構えをつくる。こうした戦い方が必要な局面に入った」と説明するが、説得力に欠ける。

 はっきり言えば、先の参院選で予想したほど議席を獲得できなかったからではないか。それは党勢低迷が続く国民民主にも当てはまる。

 比例代表で2人が当選した山本太郎代表の「れいわ新選組」の存在にも刺激を受けたのではないか。政権批判の新たな受け皿となった同党は次期衆院選で台風の目となる可能性もある。野党第1党として危機感が生じたとしても不思議ではない。

 それにしても、なぜ衆院だけの統一会派なのか。その先にはどんな選挙協力や政権構想、ひいては政党レベルの再編があり得るのか。理念と政策に基づく「結集の旗印」をもっと鮮明にしてほしい。

 国民民主にもお家の事情がある。安倍晋三首相は改憲論議で連携できる野党の相手として国民の名を挙げ、秋波を送る。参院の国民は立民との対抗意識が強く、日本維新の会と統一会派を組む動きがある。憲法や原発など基本政策を巡る立民と国民の隔たりも気になる。立民の提案に対し国民は衆参両院での統一会派を逆提案したという。

 仮に立民と国民、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の3党派が合流すれば、衆院で117人の規模となる。足し算で「数の力」は増すが、有権者にしてみれば、勝手に分裂した旧民進党勢力が「元のさやに収まる」かのようだ。そうした疑念や懸念を払拭(ふっしょく)したいのなら、野党再結集の意義と可能性を率直に語ってもらいたい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【社説】  2019年08月10日  10:41:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【春秋】:電話口で聞く肉親の声に何だかほっとした経験がある人は多かろう…

2019-08-10 10:41:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【春秋】:電話口で聞く肉親の声に何だかほっとした経験がある人は多かろう…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【春秋】:電話口で聞く肉親の声に何だかほっとした経験がある人は多かろう… 

 電話口で聞く肉親の声に何だかほっとした経験がある人は多かろう。人の声には人の心を癒やす響きがある。旅の歌人、若山牧水はこう歌う。〈山越えて入りし古駅(こえき)の霧のおくに電灯の見ゆ人の声きこゆ〉

 ▼歌が発表されたのは、牧水が青春の5年を懸けて愛した女性と別れた年。前年に牧水は実らぬ恋に疲れ、あてのない旅に出た。たどり着いた山奥の古びた駅。霧の向こうにほんのりと光が差し、人の肉声が…。それだけのことで、寂しさに沈む牧水の心にも明かりがともったことだろう

 ▼そんなぬくもりを持つ声だった。アニメ「それいけ!アンパンマン」のジャムおじさん役を約30年務めた声優増岡弘さんが、高齢を理由に降板を発表した

 ▼ジャムおじさんはアンパンマンの最強の助っ人。ピンチになると新しい顔を焼き、駆け付ける。するとアンパンマンは「元気百倍」。正義の味方の復活シーンは長年、無垢(むく)な子どもの心をわしづかみにしてきた

 ▼増岡さんは約40年続けた「サザエさん」のマスオさん役も降りるという。こちらはおっとりして人の良い娘婿。二つの国民的癒やしキャラの声を同一人物が演じていたのは偶然ではなかろう

 ▼何十年もの声優生活で、虫の居所が悪い日もあったろうに、穏やかな声で茶の間を包み込んできた。その響きには善なる人格がにじみ出ていたと思う。声でなく活字で申し訳ないが、お疲れさまでしたと伝えたい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【春秋】  2019年08月10日  10:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:英語能力の向上 教える体制の整備から

2019-08-10 06:10:55 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説①】:英語能力の向上 教える体制の整備から

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:英語能力の向上 教える体制の整備から 

 英語を話すことができれば将来の可能性は広がるだろう。だが試験という関門ありきで力の育成を促す手法は危うさもつきまとう。国は教える体制の充実に力を注ぐべきだ。

 高校側の強いいらだちが、文面からにじむ。全国高等学校長協会は、大学入学共通テストで導入される民間検定試験について「まったく先が見通せないほどの混乱状況」として不安解消を求める要望書を文部科学省に提出した。

 来年度から始まる共通テストでは、大学入試センターが作成する試験に加え、民間検定試験の成績が使われる。来年三年生となる生徒は、来年四月から十二月までの間に最大二回検定試験を受け、その成績がセンターを通じて大学に送られる。

 文科省が認定した七団体の試験から選ぶことになっていたが、「TOEIC」の運営団体が七月になって参加を取り下げた。想定したより事務処理が複雑だったという。民間頼みの制度設計のもろさが露呈した。

 民間検定試験を使うのは、これまでの「読む」「聞く」に加え「話す」「書く」力を評価に加えるためだ。「グローバル人材」の育成は経済界からの要望も強い。

 「話す」「書く」力は、日本の英語教育があまり得意とはしてこなかった部分だ。今年初めて中三を対象に実施された英語の全国学力テストでも「読む」「聞く」の平均正答率は50%を超えていたのに対し、「書く」「話す」はいずれも下回った。

 来年度からは小学校高学年で英語が教科化され、授業でもそれらの力の底上げが図られることにはなるのだろう。ただ、小学校は学級担任制のため、一人の先生が大半の教科を教えている。新たに英語が加わることに現場の不安や負担感は小さくない。

 小学校高学年を教科担任制とするなど制度改革の議論も中央教育審議会で始まっている。英語の授業の質の向上も目指すところの一つだろう。だが、まだ時間がかかる。体制充実が追いつかないうちに、成績ありきで躍起になれば、ほころびが出て英語嫌いを増やすことにもなりかねない。

 「話す力」は塾や外国旅行など親の経済力で格差が生じやすい分野でもあろう。溝を埋めるためにも、国は制度や財政措置で学校を支援するとともに、外国人と接する機会を増やす仕掛けや、ITも含めた教材開発など手だてを尽くす必要がある。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月10日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:英語能力の向上 教える体制の整備から

2019-08-10 06:10:55 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【社説①】:英語能力の向上 教える体制の整備から

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:英語能力の向上 教える体制の整備から 

 英語を話すことができれば将来の可能性は広がるだろう。だが試験という関門ありきで力の育成を促す手法は危うさもつきまとう。国は教える体制の充実に力を注ぐべきだ。

 高校側の強いいらだちが、文面からにじむ。全国高等学校長協会は、大学入学共通テストで導入される民間検定試験について「まったく先が見通せないほどの混乱状況」として不安解消を求める要望書を文部科学省に提出した。

 来年度から始まる共通テストでは、大学入試センターが作成する試験に加え、民間検定試験の成績が使われる。来年三年生となる生徒は、来年四月から十二月までの間に最大二回検定試験を受け、その成績がセンターを通じて大学に送られる。

 文科省が認定した七団体の試験から選ぶことになっていたが、「TOEIC」の運営団体が七月になって参加を取り下げた。想定したより事務処理が複雑だったという。民間頼みの制度設計のもろさが露呈した。

 民間検定試験を使うのは、これまでの「読む」「聞く」に加え「話す」「書く」力を評価に加えるためだ。「グローバル人材」の育成は経済界からの要望も強い。

 「話す」「書く」力は、日本の英語教育があまり得意とはしてこなかった部分だ。今年初めて中三を対象に実施された英語の全国学力テストでも「読む」「聞く」の平均正答率は50%を超えていたのに対し、「書く」「話す」はいずれも下回った。

 来年度からは小学校高学年で英語が教科化され、授業でもそれらの力の底上げが図られることにはなるのだろう。ただ、小学校は学級担任制のため、一人の先生が大半の教科を教えている。新たに英語が加わることに現場の不安や負担感は小さくない。

 小学校高学年を教科担任制とするなど制度改革の議論も中央教育審議会で始まっている。英語の授業の質の向上も目指すところの一つだろう。だが、まだ時間がかかる。体制充実が追いつかないうちに、成績ありきで躍起になれば、ほころびが出て英語嫌いを増やすことにもなりかねない。

 「話す力」は塾や外国旅行など親の経済力で格差が生じやすい分野でもあろう。溝を埋めるためにも、国は制度や財政措置で学校を支援するとともに、外国人と接する機会を増やす仕掛けや、ITも含めた教材開発など手だてを尽くす必要がある。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月10日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:香港の政治危機 軍も暴力も容認できぬ

2019-08-10 06:10:50 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説②】:香港の政治危機 軍も暴力も容認できぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:香港の政治危機 軍も暴力も容認できぬ 

 香港の「逃亡犯条例」改正をめぐる政府と若者らの対立が先鋭化している。暴力を伴う抗議行動に対し、中国政府は軍の出動すら示唆するが、軍も暴力もこの政治危機を救う解決策にはほど遠い。

 犯罪者の中国への移送を可能にする条例改正案に反対する若者らの抗議が暴力性を帯び、それを容認するような空気が香港社会に生じていることが気がかりだ。

 香港では五日、大規模ストライキで航空機二百便余が欠航になり、地下鉄駅では政府を批判する市民が列車のドア開閉を妨害し、乗客との小競り合いも頻発した。

 七月一日に若者らが立法会(議会)庁舎を破壊・占拠して以降、抗議は過激化。最近では警察署の前で段ボールに火をつけたり、警察官にレンガや傘を投げつけたりするなど暴力行為が目立つ。

 抗議行動が始まった六月以降の逮捕者は四百二十人に上る。

 香港の自営業者は「政府は若者の正当な抗議に『暴乱』のレッテルを貼り、条例案撤回などの要求に全く耳を傾けない。暴力的な抗議にエスカレートするのもやむをえない」と同情を示す。

 だが、香港政府トップの林鄭月娥長官は五日の記者会見で「過激な暴力が香港を危険な状況に追いこんでいる」と述べ、若者の抗議行動を一方的に批判した。

 抗議を過激化させても、条例案撤回などの譲歩を引き出せる保証はない。さらに、穏健で合法的なデモを主張する人たちとの間で社会の分断が起きれば、むしろ対政府圧力が弱まることにもなる。

 香港の「高度な自治」を踏みにじる中国を批判し、若者らの抗議デモに理解を示してきた国際社会も、暴力は容認しないであろう。

 懸念されるのは中国政府の強硬姿勢だ。中国軍駐香港部隊は最近、暴動鎮圧訓練を紹介するビデオを公開した。中国国防省報道官は会見で、デモ隊が中国国章に塗料を投げつけた行為などを「絶対に許容しない」と強烈に批判し、軍出動の可能性も示唆した。

 軍が民主化運動を武力鎮圧した三十年前の天安門事件は中国の国際的孤立を招いた。軍が人民に銃口を向けるようなことが二度とあってはならない。

 今、最も非難されるべきは林鄭長官の無策ぶりである。長官を支えるべき公務員ですら大抗議集会を開いた。林鄭長官は改正案撤回を認めるよう中国政府を説得し、若者との対話の糸口をつかむよう全力を尽くすべきであろう。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月10日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:人道に反するような行為であっても、ひとたび行われてしまえば、

2019-08-10 06:10:45 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・国策犠牲・戦後補償

【筆洗】:人道に反するような行為であっても、ひとたび行われてしまえば、二度目への歯止めは弱くなる。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:人道に反するような行為であっても、ひとたび行われてしまえば、二度目への歯止めは弱くなる。

 二十世紀の思想家、ギュンター・アンダースは、この危うい人間性のメカニズムを「ナガサキ・シンドローム」と呼んでいる▼広島への原爆投下で、衝撃的な惨状を知ったはずなのに、米軍は三日後、長崎に二回目を決行した。そこからの言葉であろう。第二次大戦には、同じ心理を思わせる惨事が他にもある▼日本人には受け入れづらい呼び方かもしれないが、国際的な反核運動の指導者だった人の懸念が込められた言葉でもある。その思想が近年見直されているのは、人間性への懸念が、また現実の不安になっているからではないか▼昨日、長崎原爆の日を迎えた。長崎平和祈念式典は、田上富久長崎市長の平和宣言にも、被爆体験とともに核兵器廃絶へ思いを語った被爆者代表の山脇佳朗さんの「平和への誓い」にも被爆から七十四年の現状を憂える言葉があった▼核戦力の廃棄に逆行する核兵器大国、米ロの動きがある。両国は新型の核兵器開発をすすめようとしている。それが現状である▼平和祈念式典とは歯止めが弱体化した世界で、長崎の次がないよう訴える場であるのかもしれない。山脇さんは英語で、長崎を最後の被爆地とするために力を貸してくださいと述べた。次を出さないため声を上げ続けるしかないのだろう。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年08月10日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【首相の一日】:8月9日(金)

2019-08-10 06:10:40 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【首相の一日】:8月9日(金)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:8月9日(金) 

 【午前】7時30分、公邸から羽田空港。9時23分、日本航空605便で長崎空港。10時34分、長崎市の平和公園。長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に参列し、献花、あいさつ。11時53分、同市のザ・ホテル長崎BWプレミアコレクション。宴会場「ザ ゴールド」で長谷川栄一首相補佐官らと昼食。

 【午後】0時34分、宴会場「ザ トパーズ」で「被爆者代表から要望を聞く会」に出席。根本匠厚生労働相同席。1時14分、宴会場「ザ ジェイド」で記者会見。2時11分、長崎空港。12分、支援者らと写真撮影。4時46分、日本航空612便で羽田空港。5時41分、官邸。43分、北村滋内閣情報官。59分、西村康稔官房副長官、外務省の森健良、山崎和之両外務審議官、正木靖欧州局長、高橋克彦中東アフリカ局長。6時28分、東京・紀尾井町のホテルニューオータニ。日本料理店「紀尾井なだ万」で菅義偉、杉田和博正副官房長官、北村内閣情報官と会食。8時55分、東京・富ケ谷の私邸。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年08月10日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:社会保障 将来像の議論始めよ

2019-08-10 06:10:35 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①】:社会保障 将来像の議論始めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:社会保障 将来像の議論始めよ 

 安倍晋三首相は参院選結果を受けて憲法論議を進めることを表明した。それが民意と言うが、疑問だ。むしろ政府や国会が議論すべきは暮らしを支える社会保障の立て直しではないのか。

 首相は参院選後の会見で憲法論議について「少なくとも議論は行うべきだ。それが国民の審判だ」と強調した。

 確かに首相は選挙戦で憲法論議の是非を争点に掲げ、自民、公明両党が改選過半数を獲得した。だが、自民党だけを見れば改選議席数を減らしている。

 選挙結果を受けた共同通信の世論調査では安倍政権下での改憲に「反対」は56・0%になる。逆に、政権が優先的に取り組むべき課題(二つまで)は「年金・医療・介護」が48・5%だった。

 やはり議論すべきは将来の社会保障制度のあり方ではないのか。

 選挙戦では、首相は消費税率の引き上げは訴えたが、制度が置かれている厳しい現状について誠実に語りかけたとは言い難い。

 野党も年金問題の争点化を狙ったが、論戦は上滑りして深まらなかった。国民から見ると将来の生活への不安が解消されていない。

 八月に公表された二〇一七年度の医療や介護、年金などの社会保障給付費は百二十兆円を超えた。今後、政府内では膨らむ費用を抑える制度の見直し議論が始まる。

 年金は財政検証結果が近く公表され、給付の実質水準が低下する見通しが出る。政府は給付の充実策と合わせ丁寧に説明すべきだ。

 介護保険はケアプラン作成費の利用者負担導入、医療保険は七十五歳以上の患者の窓口負担の一割から二割への引き上げなどが検討されそうだ。

 これら給付減や負担増、社会保障の財源となる消費税率の引き上げは、団塊世代が七十五歳以上となり医療・介護のニーズが高まる二五年に対応するものだ。

 さらに高齢者数がピークに近づく四〇年問題が待ち受ける。それを乗り越えるための議論を始めねば対応が間に合わなくなる。痛みを伴う改革を先送りしたままでは制度を支える将来世代への責任を果たすことにならない。

 与党からは新たな会議の設置を求める声が上がり始めた。政府はどんな考え方で制度を立て直すのか、給付と負担のバランスをどうとるのかなどの将来像を決める議論の場をつくるべきだ。

 国会も責任がある。与野党には危機感を共有し知恵を出し合う努力を求めたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月09日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:米国の乱射事件 銃なき社会へ踏み出せ

2019-08-10 06:10:30 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【社説②】:米国の乱射事件 銃なき社会へ踏み出せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:米国の乱射事件 銃なき社会へ踏み出せ 

 銃が氾濫する社会が安全であるはずがない。銃乱射事件が立て続けに起きた米国である。悲劇は相も変わらず繰り返される。米国は抜本的な銃規制に踏み出すべきだ。それが政治の責任である。

 南部テキサス州での事件の容疑者である白人の男は、地元の町から千キロも離れたメキシコ国境沿いのエルパソにやって来て、ショッピングモールで銃を乱射した。

 エルパソはヒスパニック(中南米)系の住民が八割を占める。男は犯行直前、ヒスパニック系移民がテキサスを侵略しているとする投稿をネット上にしていた。犯行は憎悪犯罪(ヘイトクライム)の可能性が高い。

 トランプ大統領は事件を受けて「この国にヘイトの居場所はない」と犯行を非難したが、移民への敵意と偏見をあおる言動を繰り返してきたのはトランプ氏本人である。

 政権誕生以来、白人至上主義団体は勢いづき、ヘイトクライムは増加した。「大統領が人種間の反目を助長した」との批判をトランプ氏は謙虚に受け止めるべきだ。

 昨年二月、南部フロリダ州の高校で十七人が犠牲になった乱射事件後、友人を失った同級生はじめ若者が銃規制を要求して立ち上がった。首都ワシントンでは十万人を超える規模のデモとなり、運動は大きなうねりとなった。

 民間団体「ギフォーズ銃暴力防止法律センター」によると、高校乱射事件後の約一年半の間に、全米五十州のうち三十二州と特別区のワシントンで規制強化の法制化が進んだ。

 ところが連邦レベルではほとんど前進がない。今回の事件でもトランプ氏の腰は定まらない。

 憲法で武器保有の権利が認められており、規制反対派はこれを後ろ盾にする。政界に強い影響力を持つロビー団体の全米ライフル協会も大きな壁になっている。

 だが、三億二千万余の人口よりも多い銃が出回っているともいわれる米国では、年間に自殺を含めて四万人近い人が銃で命を落とす。非営利団体「銃暴力アーカイブ」によると、今年に入って乱射事件は二百五十五件あり、自殺者を除く犠牲者は八千九百人余に上る。

 エルパソでは恐怖に駆られたヒスパニック系市民が銃を求めて銃器店に押し寄せているという。

 こうした現実を放置して惨劇を繰り返してはならない。購入時の身元調査の厳格化などを手始めに規制強化を図るべきだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月09日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:ブッシュ大統領(父)はある日、三年に及ぶ昏睡(こんすい)から目覚める。

2019-08-10 06:10:25 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【筆洗】:ブッシュ大統領(父)はある日、三年に及ぶ昏睡(こんすい)から目覚める。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:ブッシュ大統領(父)はある日、三年に及ぶ昏睡(こんすい)から目覚める。

 日米貿易摩擦が大問題だった一九八九年、日本たたきで知られる米議員ゲッパート氏が語ったというジョークである▼ブッシュ氏は副大統領に米経済がどうなっているかたずねた。貿易も財政も問題ないという返事に安心しつつ、物価について聞く。「切手は」。副大統領は「とても手ごろです。たったの三十円ですから」▼外国の通貨には、経済への脅威を象徴する響きが、あるのかもしれない。今ならば、「安い人民元」だろう。トランプ大統領の米国が、通貨安を誘導しているという理由で、中国を為替操作国に認定した。新たな制裁含みのようだ。米中対立の戦線拡大である▼人民元の脅威をあおるのは、大統領再選に向けた好材料になると判断しているからだともみられる。ありそうな話である。日本も日米摩擦の際に不公正貿易国にされていたが、制裁となれば中国は報復に動く可能性があるという。混乱はいよいよ他国に及ぶかもしれない▼「とばっちり」の当て字に「波及失(とばっちり)」というのがあったそうだ。杉本つとむ著『宛字(あてじ)百景』に教わったが、避けられず波しぶきを浴びてしまったような語感がある。太平洋を挟む両経済大国の争いは大きなしぶきを上げそうで先行きが思いやられる▼日本にはもう影響が出た。波及失などお構いなしにみえる争いだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年08月09日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【首相の一日】:8月8日(木)

2019-08-10 06:10:20 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【首相の一日】:8月8日(木)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:8月8日(木) 

 【午前】9時4分、官邸。12分、閣議。29分、厚生労働省の鈴木俊彦事務次官、谷内繁社会・援護局長。10時9分、岩屋毅防衛相、防衛省の高橋憲一事務次官、槌道明宏防衛政策局長。44分、山極寿一日本学術会議会長らから先進7カ国首脳会議(G7サミット)に向けた各国学術会議の共同声明受け取り。11時1分、西村康稔官房副長官、長谷川栄一首相補佐官、外務省の山崎和之外務審議官、岡村善文アフリカ開発会議(TICAD)担当大使、牛尾滋アフリカ部長。

 【午後】1時25分、谷内正太郎国家安全保障局長、前田哲官房副長官補、秋葉剛男外務事務次官、高橋防衛事務次官。2時6分、西村官房副長官、渋谷和久環太平洋連携協定(TPP)等政府対策本部政策調整統括官。11分、西村官房副長官、長谷川首相補佐官、外務省の秋葉事務次官、山崎外務審議官、鈴木量博北米局長、梨田和也国際協力局長、武内良樹財務官、大沢誠農林水産審議官。52分、西村官房副長官、長谷川首相補佐官、外務省の秋葉事務次官、山崎外務審議官、鈴木北米局長、武内財務官、田中繁広経済産業審議官、藤井直樹国土交通審議官。3時3分、西村官房副長官、谷内国家安全保障局長、長谷川首相補佐官、外務省の秋葉事務次官、山崎外務審議官、金杉憲治アジア大洋州局長、鈴木北米局長、高橋克彦中東アフリカ局長、武内財務官、田中経産審議官、西田安範防衛審議官。27分、西村官房副長官、谷内国家安全保障局長、長谷川首相補佐官、外務省の秋葉事務次官、山崎外務審議官、正木靖欧州局長、牛尾アフリカ部長、武内財務官、田中経産審議官、西田防衛審議官。4時32分、西村官房副長官、長谷川首相補佐官、山崎外務審議官、武内財務官、田中経産審議官。5時20分、牛尾外務省アフリカ部長。6時27分、公邸。宿泊。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年08月09日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:米大統領の差別発言 ヘイトクライム誘発する

2019-08-10 06:01:30 | 【人権・生存権・同性婚・人種差別・アイヌ民族・被差別部落・ハンセン病患者】

【社説】:米大統領の差別発言 ヘイトクライム誘発する

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:米大統領の差別発言 ヘイトクライム誘発する 

 世界のトップリーダーとしての資質を欠いていると断じざるを得ない。人種差別的な発言を繰り返し分断をあおるトランプ米大統領のことだ。

 7月には民主党の非白人女性下院議員4人に対し「世界最悪の国から来て、米政府はどうすべきか語っている。国に帰り、まず立て直してはどうか」とツイッターで攻撃した。4人の議員はそれぞれ、元ソマリア難民、プエルトリコ系、パレスチナ系、黒人。昨年の中間選挙で初当選した新人だ。この間、舌鋒(ぜっぽう)鋭くトランプ政権を批判してきた。
 米下院は「人種差別だ」と非難する決議を賛成多数で可決している。多数を占める民主党だけでなく、共和党からも賛同する議員が出た。
 それでもトランプ氏の暴言は収まらない。黒人のカミングス下院監視・政府改革委員長(民主党)に矛先を向けた。東部メリーランド州ボルティモアの地元選挙区について「ネズミがはびこり、吐き気がするめちゃくちゃな場所だ」とツイッターでののしった。
 下院監視・政府改革委はトランプ氏の不倫問題、長女イバンカさんらを起用する縁故主義、ロシア疑惑などを巡って追及を続けてきた。
 黒人運動の有力指導者アル・シャープトン師に対しても「白人と警官が嫌い」「詐欺師」とツイッターでこき下ろしている。
 トランプ氏は2017年の就任以来、さまざまな言動で物議を醸してきた。今回の差別発言は象徴的だ。品格がみじんも感じられず、良識のかけらさえうかがうことができない。
 これが一般人なら実害は少ないのだろうが、世界最大の権力を持つ米国の大統領なのだから、問題は深刻だ。
 人種差別を容認するようなトランプ氏の態度は、白人至上主義者を勢いづけ、憎悪犯罪(ヘイトクライム)を助長、誘発する恐れが強い。
 南部テキサス州エルパソの商業施設で3日、白人の男が銃を乱射し、22人の死者を出した。男が投稿したとみられるインターネット上の「犯行予告」には「この攻撃は、ヒスパニックのテキサス侵略に対する返答だ」「移民は米国の未来に有害なだけだ」といった主張が見られた。
 男はツイッターでトランプ氏を称賛していたようだ。反移民政策を取るトランプ氏の姿勢が、男の行動に影響を及ぼした可能性がある。
 来年の大統領選に向けた支持者集会でトランプ氏は非白人女性議員4人について「米国が好きでないなら、出て行ってもらったらいい」と述べた。会場からは「送り返せ」の大合唱が起きた。
 こうした人々に支えられた大統領の誕生は、人権を尊重する意識が社会の中で薄れ、倫理観が崩れつつあることを示していよう。重大な懸念を抱かざるを得ない。
 国民の分断を是正し差別のない社会を築くことは、国の指導者の務めだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月10日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。  

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【金口木舌】:表現の自由と芸術活動

2019-08-10 06:01:20 | 【人権・生存権・同性婚・人種差別・アイヌ民族・被差別部落・ハンセン病患者】

【金口木舌】:表現の自由と芸術活動

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:表現の自由と芸術活動 

 表現の自由を阻む芽は身近にある。2年前の県芸術文化祭で、美術部門審査委員長の総評の原稿から米軍ヘリ炎上事故に関する記述を県が削った。文化祭が開かれたのは東村高江で発生した米軍ヘリの炎上事故の約1カ月後だ

 ▼審査委員長は屋良朝彦さん。「平和が芸術活動の大前提と伝えたかった」と記述の復活を求めたが、かなわなかった。県は疑義が寄せられる可能性があり「リスクを避けたい」と伝えた。県の対応に疑問が残った
 ▼「表現の自由」が脅かされる事例は他にもあった。天皇の画像をコラージュした美術家の大浦信行さんの作品だ。2009年に県立博物館・美術館が「総合的、教育的配慮」を理由に展示から外した。同じ作品は、開幕中の芸術祭「あいちトリエンナーレ」でも展示が中止された
 ▼愛知県などでつくる主催者が「表現の不自由展・その後」の中止を決めた。大浦さんの作品や「平和の少女像」などが含まれる。主催者は多数の抗議が寄せられ、安全な運営が危ぶまれると説明する
 ▼公権力は抗議や脅迫から表現活動を守るべき立場にある。一定程度の批判は当初から予想されていた。不当な圧力に屈して白旗を揚げたように映る。残念だ
 ▼多様な意見を交わせる社会だからこそ、平和や人権も保障される。自由な議論ができる社会をつくるのは私たちだ。他人任せにするわけにはいかない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2019年08月10日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。  

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