【社説①】:立憲・国民会派 論戦力で政権に対峙を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:立憲・国民会派 論戦力で政権に対峙を
立憲民主党と国民民主党が、衆参での統一会派結成で合意した。衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」も加わる見通しだ。全員が合流すれば衆院117議席、参院60議席の規模となる。
旧民進党から分裂した両党が国会会派としては一つになる。これを「元のさやに収まる」だけの数合わせに終わらせてはなるまい。
過去の失敗の教訓も踏まえ、巨大与党の力任せの運営で形骸化が著しい立法府に緊張感を取り戻す第一歩としなければならない。
臨時国会では安倍1強政権と対峙(たいじ)する軸足を定め、国民を引きつける論戦を展開してもらいたい。次期衆院選に向けた野党勢力全体の浮沈も、統一の効果を発揮できるかどうかに懸かっている。
両党はこれまで、分裂の遺恨を引きずり国会で内向きの主導権争いを続け、法案採決で足並みが乱れる場面も何度かあった。
れいわ新選組が参院選比例代表で228万もの票を得たのは、既成の野党に不満を持つ無党派層の支持を集めた側面があろう。
立憲民主、国民民主が共に反省すべき点だ。「れいわブーム」の分析を急ぐ必要がある。
両党の確執の背景には、国民民主が立憲民主との差異化を意識して「対決より解決」との提案路線を打ち出したことが挙げられる。
政府提出の法案に、時に野党が対案を提出し合意形成を図ることに意義はある。ただ、数の力を振りかざす安倍政権に対して、中途半端な対案路線を取っても結局は与党を利するだけだろう。
森友・加計(かけ)問題や統計不正に象徴される隠蔽(いんぺい)体質、老後資金2千万円問題に端を発した国民の将来不安など、政府を追及すべきテーマは山積している。まずは徹底論戦に全力を挙げるべきだ。
党が掲げる政策の課題も残る。
国民民主党には、電力系労組の支援を受ける議員などに「原発ゼロ」への抵抗感がある。
一方で改憲論議には前向きな議員がおり、安倍晋三首相は参院選で秋波を送った。玉木雄一郎代表も積極姿勢を示したことがある。
重要政策の違いを棚上げにしたままでは、政権に付け入る隙を与える。亀裂が露呈すれば、かつての民主党に向けられた「寄り合い所帯」の批判が再燃しかねない。
有権者が野党に何を期待しているかを踏まえて議論し、克服していくべきだ。次期衆院選に向け、共産党やれいわなどを含めた幅広い野党勢力の結集を進めていく上でも、避けては通れまい。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2019年08月23日 05:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。