路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【HUNTER】:出水市庁舎建設 「談合なかった」の怪しい実態

2019-08-29 08:30:30 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【HUNTER】:出水市庁舎建設 「談合なかった」の怪しい実態

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:出水市庁舎建設 「談合なかった」の怪しい実態 

 事前に談合情報が流れたため延期された鹿児島県出水市の支所庁舎建設工事の入札が、業者への事情聴取を経て2日後に実施された。予想された通り「談合はなかった」との結論で、改めて官民癒着の強固さを印象付けた格好だ。
 入札の執行状況を確認したところ、案の定、納税者である市民をなめ切った業者と税金支出に無頓着な市役所の姿勢を露呈させる酷い結果だった。事前情報と実際の入札結果を明らかにし、出水市民にその是非を問いたい。

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 ■詳細極めた談合情報
 問題の工事は、「出水市高尾野支所庁舎建築工事(1工区)」「出水市高尾野支所庁舎建築工事(2工区)」「出水市野田支所庁舎建築工事(1工区)」「出水市野田支所庁舎建築工事(2工区)」の4件。入札公告によれば、Aランク(公式には「A級」)の業者がBランク(同「B級」)または別のAランク業者と建設共同企業体(JV)を組んで応札し、今月19日に入札が行われる予定となっていた。

 HUNTERに談合情報が寄せられたのは16日金曜日の午後。それによると、出水市のAランク業者だけでJVの組み合わせ、工区割り、出資比率などを決めた経緯が明かされており、談合が行われた時期と場所も示されていた。(*下は、HUNTERが入手した談合を告発する文書の一部

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 談合を主導した業者の実名など、当日の様子まで詳述されていたため、出水市の入札を所管する政策経営部契約検査課に事実関係の確認を要請。同課は、「談合情報が寄せられた場合のマニュアルに従って対応する」としていったん19日の入札を延期したが、業者への事情聴取を行って「談合なし」の結論を出し、21日に入札を実施していた。

 ■市民を愚弄する入札結果
 役所に談合情報が寄せられた場合のお決まりの流れだが、HUNTERが得た事前情報と実際の落札状況を見比べると、出水市のAランク業者に“反省”の色はなく、市には税金支出と厳しく向き合う姿勢が欠如していることが分かる。下が、その比較表。市民を愚弄しているとしか思えない。

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 市役所もずいぶんなめられたもので、「高尾野支所庁舎建築工事(2工区)」と「野田支所庁舎建築工事(2工区)」を落札したのは、談合情報通りのJV。「高尾野支所庁舎建築工事(1工区)」と「野田支所庁舎建築工事(1工区)」は、落札JVを入れ替えただけだった。各JVの組み合わせも、事前情報通り。「談合はなかった」という出水市や業者の主張を、信じる市民は皆無に近いだろう。

 ちなみに、各工区の落札金額は次の通りだ。

「高尾野支所庁舎建築工事(1工区)」:1億8,260万円
「高尾野支所庁舎建築工事(2工区)」:2億6,070万円
「野田支所庁舎建築工事(1工区)」 :2億5,488万800円
「野田支所庁舎建築工事(2工区)」 :1億8,865万円

 設計費など他の支出を加え10億円を越そうかという大型事業の原資は、言うまでもなく市民の税金だ。談合は、その血税を貪る犯罪行為であり、市民への背信に他ならない。市役所と業者が“なあなあ”で公共事業を進めた場合、泣きを見るのは市民なのである。 

 疑惑の発端となった談合情報の内容は、前述した通り時期や場所、首謀者、JVの組み合わせ、落札する工事や落札率まで詳述したもの。「なかった」ことにされてしまったが、もし“録音データ”が残っていた場合、業者や市はどう対応するのだろう……。 

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2019年08月29日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 
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【社説①】:漂流するG7 存在意義を問い直せ

2019-08-29 06:10:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①】:漂流するG7 存在意義を問い直せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:漂流するG7 存在意義を問い直せ 

 先進七カ国首脳が結束し強いメッセージを国際社会に発信する-。首脳宣言取りまとめを見送ったフランスでのG7サミットはその役割を果たせなかった。G7は存在意義を自ら問い直すべきだ。

 トランプ米大統領と閉幕後の共同記者会見に臨んだ議長役のマクロン仏大統領は「われわれの共通点は時間を無駄にしたくないことだ」と述べた。会議を引っかき回すトランプ氏へのあきらめが見て取れた。

 自国第一主義のトランプ氏は本来、国際協調の場であるG7とは水が合わない。マクロン氏はできもしない意見集約に時間と労力を費やしたくなかったのだろう。

 サミットは一九七五年にパリ郊外のランブイエ城で初めて開催された。これを提唱したジスカールデスタン仏大統領は、サミットの在り方として、首脳だけが膝詰めで忌憚(きたん)なく論じ合うスタイルを描いていた。

 ところが実際には、各国は大規模な随行団を送り込み、首脳は官僚が用意したペーパーを読み上げることが多く、官僚は成果文書の文案調整に徹夜する。

 首脳宣言に代わる簡潔な総括文書の文言をマクロン氏自身がつくったのには、ジスカールデスタン氏が構想した原点へ戻ろうという意図もあったのかもしれない。

 二〇一四年にクリミアを併合したロシアを追い出し、民主主義や法の支配、自由貿易という価値観を共有する本来のG7の姿に戻った。

 国際情勢の不透明化が深まる中で、西側の結束を示す場となるサミットを再評価する声もある。

 〇八年に起きたリーマン・ショックの危機対応として発足したG20が、参加国・地域が多い分まとまりを欠き、期待したほど機能していないことも再評価の後押しになった。

 ただし、G7は足並みがそろってこそ価値がある。トランプ氏がいては価値観の共有ができているかも怪しい。

 しかも、往時は世界全体のGDP(国内総生産)の七割近くを占めたG7だが、今では五割を割り込み影響力は低下した。

 それでも、結束は望むべくもないトランプ時代だって永遠に続くわけではないと腹をくくって、あくまで価値観を同じくする国の集まりのままでいくのか。

 あるいは影響力の回復を目指して、体制の違う中国やロシアにも門戸を開くのか。G7は方向性をじっくり考えてほしい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:商業捕鯨再開 「食文化」は守れるか

2019-08-29 06:10:40 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【社説②】:商業捕鯨再開 「食文化」は守れるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:商業捕鯨再開 「食文化」は守れるか 

 国際捕鯨委員会(IWC)を脱退した日本は、この夏商業捕鯨を再開したが、肝心の消費は伸び悩む。鯨食は日本古来の「食文化」には違いない。だがこれで、持続可能になった、と言えるのか。 

 商業捕鯨再開初日に捕獲されたミンククジラの肉が、北海道・函館市水産物地方卸売市場で競りに掛かった七月四日。たまたま市内に滞在中だった。

 その晩、宿泊した旅館の夕食に、見慣れないものが出た。

 「これ何ですか」と配膳のスタッフに尋ねると、「オバケ(尾羽毛)です。クジラのしっぽの部分を薄くスライスしてゆでたもの」という答え。

 「今回、揚がったやつですか」と聞くと、「いいえ、道南では、お正月とかにクジラを食べる習慣があるんです」。江戸時代、松前藩が統治した時代から受け継がれてきた「食文化」なのだという。

 日本人は有史以前からクジラの肉を食べていた。しかし、それらは沿岸で捕れたもの。十九世紀末、捕鯨砲で銛(もり)を撃ち込む、効率のよいノルウェー式砲殺法が導入されると、近海の資源が減少し、北太平洋へと漁場が広がった。日本の捕鯨船団が南極海に進出したのは、一九三四年のことだった。

 しかし、そのころの遠洋捕鯨の目的は、食用ではなく、主に鯨油の採取。貴重な輸出品だった。

 太平洋戦争で途絶えた遠洋捕鯨を復活させたのは、連合国軍総司令部(GHQ)、すなわちマッカーサーだった。深刻な食料難に対処するため、タンパク源として目を付けた。食用としてのクジラが脚光を浴びたのは、実は戦後のことだったのだ。

 IWCを脱退してまで商業捕鯨を再開してはみたものの、六〇年代には年間二十万トンに上った鯨肉消費も、今では数千トン程度。肝心の消費は伸び悩む。牛肉や豚肉などが手軽に買える今となっては、ある意味当然のことではないか。

 一方、古式の沿岸捕鯨が栄えた三陸や安房(千葉)、紀州や西海(長崎)などにも、鯨食は「食文化」として根付いている。

 イルカ類やツチクジラなど近海の小型鯨類は、もともとIWCの規制対象外だった。IWCを脱退したことにより、そちらへの風当たりも強まることになるだろう。

 IWC脱退は、日本の食文化にとって、果たしてよいことだったのか。鯨食文化を守るためには、国際秩序への早期復帰を図るべきではないのだろうか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:第二次世界大戦中に活動した有名なスパイにフアン・プホル・ガルシアという・・・

2019-08-29 06:10:30 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【筆洗】:第二次世界大戦中に活動した有名なスパイにフアン・プホル・ガルシアというスペイン人がいる。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:第二次世界大戦中に活動した有名なスパイにフアン・プホル・ガルシアというスペイン人がいる。

 いわゆる「二重スパイ」である。ある時は英国の情報をドイツに流し、ある時はドイツの情報を英国に提供する▼れっきとした英国のスパイである。ドイツのスパイになっていたのは懐に飛び込み、信頼を得て機密情報に接近するための偽装。ドイツに流した英国の情報の大半は捏造(ねつぞう)したものや意味のない内容だったそうだ▼就活学生の味方のふりをして情報を集めて、そのデータを断りもなく学生を採用する企業側に売る。まるでガルシアの手口である。就職情報サイトの「リクナビ」が学生の内定辞退率を算出し、企業に販売していた問題である。政府の個人情報保護委員会はサイトを運営するリクルートキャリアに対し組織見直しなどを勧告した▼就活学生がどんな企業のサイトを閲覧していたかなどをAIを使って分析し、辞退率をはじき出していた。そのデータによって、企業が学生への内定を見直すようなことも起こり得る。その商売は学生への明白な裏切りである▼ガルシアは英国はもちろん最後までだまされていたナチスからも勲章をもらったそうだが、リクナビに与えられるのは曲がったビジネスへの軽蔑である▼「リクナビ」を並べ替えて、スパイめいた暗号文を作るならば、「ビ(っ)クリナ」か「クビナリ」か。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年08月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:8月28日(水)

2019-08-29 06:10:20 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【首相の一日】:8月28日(水)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:8月28日(水) 

 【午前】9時46分、横浜市西区のヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル。10時36分、エジプトのシシ大統領と会談。11時26分、国連のグテレス事務総長と会談。52分、世界食糧計画(WFP)のビーズリー事務局長と会談。

 【午後】0時21分、同区の国際会議場「パシフィコ横浜」。23分、ササカワ・アフリカ財団主催のシンポジウム「アフリカの農業と未来-若者の力と農業ビジネス-」に出席し、あいさつ。35分、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル。57分、イランのザリフ外相の表敬。1時29分、パシフィコ横浜。31分、STSフォーラム主催のワークショップ「科学技術とイノベーションにおける日・アフリカの連携」に出席し、あいさつ。50分、日本貿易振興機構(ジェトロ)主催「ビジネスEXPO」を視察。2時6分、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル。16分、南アフリカのラマポーザ大統領と会談。53分、第7回アフリカ開発会議(TICAD)参加各国の首脳らと写真撮影。57分、パシフィコ横浜。3時5分、TICAD開会式に出席し、基調演説。全体会合。4時5分、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル。15分、国連教育科学文化機関(ユネスコ)のアズレ事務局長と会談。37分、ケニアのケニヤッタ大統領と会談。5時5分、アルジェリアのベドゥイ首相と会談。28分、マリのケイタ大統領と会談。48分、ギニアのコンデ大統領と会談。6時13分、トーゴのニャシンベ大統領と会談。40分、アフリカ連合(AU)のファキ委員長と会談。7時16分、同区の横浜ロイヤルパークホテル。20分、宴会場「鳳翔」で昭恵夫人と共に首相・横浜市長共催歓迎レセプションに出席し、あいさつ。50分、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル。宴会場「ベイビュー」で飯島勲、谷口智彦両内閣官房参与、秘書官らと食事。宿泊。

 <メモ> 

 首相はTICAD開幕に際し、アフリカ諸国首脳や国際機関代表ら11人と相次いで会談しました。会談は10~20分刻み。「マラソン会談」の皮切りで、31日までに約50人と個別に会談する予定です。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年08月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:あおり運転 厳罰化だけでは済まぬ

2019-08-29 05:05:30 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【社説①】:あおり運転 厳罰化だけでは済まぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:あおり運転 厳罰化だけでは済まぬ 

 重大な事故につながりかねない極めて危険な行為だ。その自覚はあったのだろうか。

 茨城県の高速道で走行中の車を強引に停車させ、運転手の顔を殴ったなどとして、男が傷害の容疑で逮捕された事件のことだ。

 男は、速度が遅い車に妨害されたと感じ、頭に来たと供述しているという。身勝手極まりない。

 あおり運転は、神奈川県内の東名高速で夫婦2人が死亡した2年前の事故などを契機に、社会問題化した。

 捜査当局は、悪質な死亡事故には殺人罪を適用するなど取り締まりを強化。司法も厳しい量刑で臨む姿勢を強めてきた。

 それでもあおり運転が繰り返されるのはなぜなのか。

 法に不備があるのであれば、改正する必要があるだろう。一方で、厳罰化だけで事足りるのか。冷静な視点を忘れずに、あおり運転の根絶に知恵を絞りたい。

 男は同様の行為を繰り返していた疑いがある。捜査当局は、運転行為が相手にけがをさせる恐れがあったとして、あおり運転の暴行容疑での立件も視野に入れる。

 警察庁は東名高速の死亡事故を踏まえ、積極的な摘発を指示した。昨年の道路交通法の車間距離保持義務違反の件数は、約1万3千件と前年からほぼ倍増。免許停止も最多の42件だった。

 司法の姿勢も厳しい。東名高速の事件では、検察の主張の一部は解釈上無理があるとしながら、因果関係を認める異例の判断があった。大阪地裁では今年、殺人罪の成立を認める判決も出ている。

 法の適用範囲の解釈拡大を巡っては専門家の間でも意見が割れる。公平性の欠如や安易な適用があってはならない。

 与党は「あおり運転罪」の新設を視野に道交法改正などを目指す方針だが、厳格な適用要件の規定と運用の担保は不可欠だ。

 道交法には、危険を生じさせる恐れがある場合、違反の累積点数がなくても一発で最長180日間の免許停止ができる規定がある。現行法で可能な抑止効果を吟味する必要もあるだろう。

 ハンドルを握ると攻撃的になる。そんな経験はないだろうか。免許更新時の講習などを通じて、感情のコントロールを学ぶなど、啓発の機会を増やすことも肝要だ。

 万一の際には、安全な場所で停車し、車から降りないなど、自衛策を講じる必要もある。ちょっとした行為がトラブルの発端となることも忘れないようにしたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月29日  07:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:AI兵器 殺人ロボットは禁止を

2019-08-29 05:05:20 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・核兵器・武装・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説②】:AI兵器 殺人ロボットは禁止を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:AI兵器 殺人ロボットは禁止を 

 人工知能(AI)が人間の介在なく自ら判断して人を殺傷する「殺人ロボット兵器」の規制に向け、国連の専門家会合が初の国際的な指針をまとめた。

 兵器の開発や使用には国際人道法を適用し、兵器使用の判断は人間が責任をもたねばならないとしたものの、条約など法的拘束力のある規制は見送られた。

 極めて残念である。

 中南米諸国や非政府組織(NGO)などは禁止条約を求めたが、理念的な指針にとどまった。米国やロシア、イスラエルなど開発を先行する国が反対したためだ。

 ロボットが人間の生命を奪う判断を行うのは倫理的に許されるはずがない。開発推進国は非人道性を認識し、開発をやめるべきだ。

 ロボットが人間を攻撃するSF映画のような状況が現実味を帯びている。兵器が出現する前に生産や保有、使用を禁止する歯止め策を急がなくてはならない。

 対象は、AIが人間の命令なしに自ら敵を判断して殺傷する「自律型致死兵器システム」(LAWS)だ。殺人ロボットとも言われ戦争のあり方を根本的に変える。

 開発国はAIの判断の方が正確で速く、冷静に標的を選択し人的なミスも防げるといった理由を挙げる。誤爆や市民の巻き添えなどの被害も抑えられると主張する。

 相手が先に使えば甚大な被害を受けるため、それを恐れて開発競争はエスカレートしかねない。

 そもそもAIは本当に判断を誤ることはないのか。誤作動や暴走して人間を殺りくすることはないのか。懸念は尽きない。

 生身の兵士に代わって戦場に投入するので、開戦のハードルが下がるとの指摘もある。テロリストの手に渡るリスクもある。

 問題が山積したまま開発が進んでいる現状は危険だ。

 各国は2013年から、対人地雷などを禁止する特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みで議論を始め、17年からはNGOも含めた専門家会合で続けた。

 今月まとめた報告書では来年から2年間、協議を継続するとした。CCWは全会一致が原則のため厳しい規制を設けるのは簡単ではないが、実効性のある議論にしてもらいたい。

 日本政府は殺人ロボット兵器は開発しないとする一方で、民生ロボットやAIの技術革新を阻害してはならないとの立場を取る。

 民生用は軍事用への転用が容易である。殺人ロボットの禁止に向けた議論を主導するべきだ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【卓上四季】:診察室の探偵

2019-08-29 05:05:10 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【卓上四季】:診察室の探偵

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:診察室の探偵 

 名探偵ホームズは、姉の怪死と不審な出来事を語り終えた女性に言う。「話はそれで全部ではないでしょう」。驚く女性の袖をまくると手首に青黒い指の痕。「ずいぶん残酷に扱われているようだ」(「まだらの紐(ひも)」)▼観察がものをいうのは探偵に限らない。虐待の発見を後押ししようと、日本子ども虐待医学会は5年前、医療機関向けの啓発プログラム「BEAMS(ビームス)」を始めた▼虐待を小児期に見極めるべき重要な「疾患」と捉え、適切な対応を示した。受講者は1万数千人に上る。子どもの状態と親の説明との矛盾から虐待の可能性を考え、重症度を判断する。「診療行為」として通告を促す一方、気になる親子を見守る視点も忘れない▼有病率が極めて高い。重症例を見逃せば死に至る。自然治癒はまれで、慢性化しやすい。多様な合併症が高率で現れる。親から子へ感染する。社会への負の影響が大きい▼それが虐待の特徴だ。疾病なら、総力を挙げて発見と治療、予防に努めるだろう。だが、社会の動きはまだ鈍い。それぞれの立場で、できることがあるはずだ▼道内唯一のBEAMS講師で、函館中央病院小児科医長の石倉亜矢子医師が一般向けの講演で呼びかけた。「疑わないと見つけられない。そして、疑いを放置しないために連携が必要です」。一人の名探偵より、たくさんの注意深い目を苦しむ親子が待っている。2019・8・29

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年08月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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