路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①】:米異例の利下げ 独立性は損なわれた

2019-08-03 06:10:40 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説①】:米異例の利下げ 独立性は損なわれた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:米異例の利下げ 独立性は損なわれた 

 米連邦準備制度理事会(FRB)が景気拡大の中、異例の利下げを実施した。トランプ大統領の圧力が決定に影響したのは間違いない。米中央銀行の独立性は損なわれたと指摘せざるを得ない。

 FRBのパウエル議長は利下げ理由について、「下振れリスクに備えるため予防的に実施した」と説明した。だがこの説明を真に受ける人は少ないだろう。

 米景気は四月の雇用統計で失業率が3・6%と一九六九年十二月以来の低水準となった。株価も史上最高値圏にあり好景気といえる。

 だが大統領は自らの再選を念頭に、任期中の不安材料を可能な限り払しょくする狙いから再三にわたり緩和を要求した。中には議長更迭をにおわす発言さえあった。

 ここで指摘したいのは、最大の不安材料である米中対立はそもそも大統領が仕掛けたという事実である。

 さらに景気拡大中の緩和は急激な物価上昇という副作用をもたらす恐れがある。議長はそれらを考慮して小幅な利下げにとどめ、「長期の利下げの始まりではない」との姿勢も表明。大統領に最低限の抵抗を示した格好だ。

 ただ連邦準備法では大統領は正当な理由があれば議長を解任できる。「何をされるか分からない」との不安が議長の決断に影響を与え、結局異例の緩和に追い込まれたとの見方は否定できない。

 中央銀行は独立性を担保されているはずだ。為政者による安易な緩和要求に屈せずインフレを未然に防ぐためだ。だがFRBの独立性は大きく揺らいだ。その構図は各国の為政者に金融政策介入への格好の口実を与えるだろう。

 秋には欧州中央銀行(ECB)が利下げを予定する。さらに大統領は早くもFRBの決定に「がっかりした」と不満を表明した。大統領との力関係からみてFRBの追加緩和の可能性は高い。

 日銀は七月三十日の金融政策決定会合で、状況次第では「躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講じる」とし、緩和競争に加わる構えだ。ただ打つ手は限られており急激な円高懸念は残る。

 秋には消費税率アップも控える。政府は影響を受けやすい中小企業経営や非正規労働者の雇用状況をきめ細かく監視し、変調の兆しがあれば即座に対応すべきだ。

 円安や株高で経営環境が良くなり内部留保を増やした大企業の経営者にも安易な人員削減を行わないようくぎを刺しておきたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月02日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 

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【社説②】:INF条約失効 核軍拡への歯止めを

2019-08-03 06:10:36 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説②】:INF条約失効 核軍拡への歯止めを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:INF条約失効 核軍拡への歯止めを 

 「核なき世界」の理想を捨ててはなるまい。冷戦末期に米国と旧ソ連が結んだ中距離核戦力(INF)廃棄条約が二日に失効する。米ロに中国も加わった新たな核軍備管理体制の構築が必要である。

 六月のG20大阪サミットに合わせて会談したトランプ米大統領とプーチン・ロシア大統領は、二〇二一年に期限を迎える新戦略兵器削減条約(新START)の延長問題の交渉を始めることで合意した。新STARTは配備済みの核弾頭をそれぞれ千五百五十発以下に制限するのが柱。両国は目標を達成している。

 INF条約に続いて新STARTも期限切れで失効すれば、米ロの核軍縮の枠組みはなくなる。相互不信が高じた中での延長交渉は難航も予想されるが、是が非でもまとめなくてはならない。

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が六月に発表した推計によると、今年一月時点で世界には一万三千八百六十五個もの核弾頭がある。その約九割を占めるのが米ロだ。

 北朝鮮に核放棄を迫る米国が核軍縮に後ろ向きのようでは説得力を失う。米国との核戦力均衡を図りたいロシアは、米国とまともに軍拡競争を繰り広げる国力はない。軍縮は双方にとって理にかなうはずだ。

 米国はINF条約に代わる新たな条約交渉に、ミサイル戦力の増強著しい中国も加わるよう主張している。中国は反対しているが、多国間の核軍備管理体制は時代の要請である。東アジアで軍拡競争を起こさないためにも中国は再考してほしい。

 世界に核兵器がある限り、意図せぬことで取り返しのつかない結果が生じる危険は消えない。

 一九九五年、米国とノルウェーが共同で打ち上げた気象衛星をロシア軍が誤認し、当時のエリツィン大統領が核のボタンに手をかける寸前までいった。

 米ロ関係がまだ悪化していなかったころの出来事である。信頼関係が崩れた今の時代に起きたら、どんな事態になるだろうか。

 来年は核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が予定されている。核保有国と非保有国の溝は深く、再検討会議が前回に続いて決裂に終わる懸念が強まっている。そんな事態になればNPTは加盟国の信頼を失うだろう。

 核保有国と非保有国の橋渡し役を自任する日本は、決裂回避へ力を尽くすべきだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月02日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【筆洗】:小さな魚の群れそのままの化石がみつかったというニュースを先日、

2019-08-03 06:10:32 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【筆洗】:小さな魚の群れそのままの化石がみつかったというニュースを先日、紙面でみた。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:小さな魚の群れそのままの化石がみつかったというニュースを先日、紙面でみた。

 約五千万年前の岩に、体長一~二センチの二百数十匹が集まっているのが分かる写真があった。同じ向きでそろった横長の列は、食べられないために、大きな一匹の魚を装っているように見える。研究者の言葉通り、名作の絵本『スイミー』の話みたいだ▼スイミーに親しんだという方は親の世代にもいるだろう。副題は「ちいさなかしこいさかなのはなし」で、小魚たちが大きな一匹を模して大きいのを追い払う。小が大に抗する知恵が、太古の魚に本当にあったと思わせ、興味深い▼ここにきて、同じかしこさを胸に刻んでいる人は、野党の中にも多いだろう。参院選を受けて、臨時国会が昨日、召集された。野党共闘で当選した人の姿もあった▼共闘で一定の存在感をみせながら、巨大な与党を脅かすまでには、とうてい至っていない野党である。国会に健全な対抗勢力が必要ならばこれからが重要だろう。秋の臨時国会や衆院解散をにらんだ政局で、同じ方を向き少しでも大きく-が、共闘後も生きる道ではないか▼改憲勢力は伸びなかったのに、改憲を目指す首相の秋波で向きが乱れたようにみえる場面もすでにあった。基本政策の違いという難題もある▼<けっして はなればなれに ならない こと>。主人公のスイミーは、言っているが。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年08月02日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【記者たちの胸ポケット】:見えない線/復興って…/生きていれば…

2019-08-03 06:10:28 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【記者たちの胸ポケット】:見えない線/復興って…/生きていれば…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【記者たちの胸ポケット】:見えない線/復興って…/生きていれば… 

 ◆見えない線

 放射能の汚染度合いを調べる線量計を手に町を巡る。そのことにすっかり慣れた。東京電力福島第一原発事故の被災地域を取材するようになって三年半、それが非日常で異常なことだと忘れてしまいそうになる。

 「放射能の見えない線が引かれてしまった」。福島県楢葉町で不動産業を営む新妻宏明さん(60)の言葉が、長引く汚染を象徴する。福島第一に近い隣町に住む男性から線量の値が書かれた紙を示されて、「引っ越したい」と頼まれたこともあったという。

 「まだ高いんだなあ」。数値を見たいと線量計をのぞきこむ人の多くが顔をしかめる。見えない線が消える日はまだ先だ。

 ◆復興って…

 朝八時、電話が鳴った。「これからの先が見えなくて」。原発事故で福島県富岡町から、いわき市に避難している女性(56)の声だった。清掃の仕事の面接で「東電から賠償金もらっているし、働かなくてもいいでしょ」と言われたという。こんなことが二、三度続いたそうだ。

 女性は昨春、いわき市の仮設住宅から二キロほど離れた新しい団地に移った。だが半年もすると、「毎日が地獄」とメールが来るようになった。約七年の仮設暮らしでできた友人らと離れ、「話し相手は東電の賠償窓口の人ぐらい」とこぼす。

 三年前に女性と出会った仮設住宅には、二百二十戸のうち十六戸に二十七人が今も暮らす。ただ七月中旬に訪ねると、洗濯物を干していた家が二軒あっただけ。この「仮の町」は来年三月いっぱいで役目を終える。

 ◆生きていれば…

 夏の甲子園に出場が決まった前橋育英高校(群馬県)。校名を見る機会が増えるこの時季になると、一人の少年のことを思い出す。六年前に入学するはずだったが、直前の三月に岐阜県内の中央道で起きた交通事故で命を失った。十五歳だった。

 岐阜支社時代にその事故を取材した。少年はスポーツ万能でバレーボール部のエース。高校では水泳の高飛び込みに挑戦するつもりだった。「頂点に立つ」。そう夢を語っていたと、前橋市の自宅で両親や親友が、笑顔の遺影の前で教えてくれた。

 生きていれば、夢をかなえて東京五輪の日本代表になっていたかもしれない。無数の「かもしれない」が頭をよぎる。 

小川慎一(44)社会部記者

写真

 <小川慎一(おがわ・しんいち)(44)>

 町工場が多い東京都大田区出身。亡き父は溶接工、その仕事に今も憧れる。2003年入社。原発取材班キャップ。速足で近づく老眼の恐怖から逃げる日々。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【記者たちの胸ポケット】  2019年08月01日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【首相の一日】:8月1日(木)

2019-08-03 06:10:24 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【首相の一日】:8月1日(木)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:8月1日(木) 

 【午前】9時58分、官邸。10時11分、俳優の杉良太郎氏。30分、浜田宏一内閣官房参与。11時10分、谷内正太郎国家安全保障局長、秋葉剛男外務事務次官、防衛省の高橋憲一事務次官、島田和久官房長、槌道明宏防衛政策局長。32分、防衛省の高橋事務次官、島田官房長。

 【午後】0時29分、国会。36分、自民党両院議員総会。51分、同党代議士会。1時2分、衆院本会議。11分、郡司彰前参院副議長。16分、官邸。2時37分、国会。3時、第199臨時国会開会式。21分、参院の山東昭子、小川敏夫正副議長。25分、官邸。50分、厚生労働省の鈴木俊彦事務次官、宮崎雅則健康局長。4時1分、谷内国家安全保障局長、秋葉外務事務次官。41分、鈴木宗男日本維新の会参院議員。5時3分、大谷直人最高裁長官。45分、薗浦健太郎首相補佐官。6時27分、東京・新橋の新花ビル。同ビル内のお好み焼き店「ちんちくりん 新橋本店」で岸田文雄自民党政調会長らと会食。9時6分、東京・富ケ谷の私邸。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年08月02日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:最低賃金改定 地域間の格差を縮めよ

2019-08-03 06:10:20 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【社説①】:最低賃金改定 地域間の格差を縮めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:最低賃金改定 地域間の格差を縮めよ 

 二〇一九年度の最低賃金は全国平均で時給二十七円引き上げ九百一円となる。大幅な引き上げだが、都市と地方との格差が広がっている。どこに住んでも働いて生活できる就労環境にはほど遠い。

 最初に指摘したい。

 最低賃金の目安は厚生労働省の審議会が示す。その議論の基となる小規模事業所の賃金改定調査の一部で、必要な統計処理が行われず数値が間違っていた。

 目安を決める議論で不可欠な「労働者の賃金上昇率」データの処理は適切で議論に影響はないと厚労省は説明する。だが、この統計への信頼性にかかわる問題だ。あらためて再発防止を求める。

 最低賃金は、企業が支払う賃金の最低額で、働く人すべてに適用される。ただ、実態は最低賃金に近い賃金で働く人が多い非正規労働者の生活に大きく影響する。改定は労使が参加する審議会で議論されるため、いわば非正規の「春闘」といえる。

 審議会が示した目安である全国平均は確かに九百円を超え、東京などの一部の都市部は千円台に到達した。引き上げ幅はこの四年間で計百円を超えた。

 安倍晋三政権はこれまで引き上げ幅の目安を3%程度とし、六月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」では「早期に全国平均千円を目指す」と目標を掲げる。

 今回の目安はそれに沿ったものだが、年収にすると二百万円にも満たない。その収入で家計を支えている非正規の人にすれば依然として低い水準だ。さらなる引き上げを進めてほしい。

 懸念されるのは、都市と地方の格差拡大である。今回の目安では最高額の東京都と最低額の鹿児島県とは二百二十六円の差がでる。全国平均を超える地方は七都府県にとどまる見通しだ。二〇〇〇年代初めには百円程度だった差が、一三年度からは二百円を超え年々広がっている。

 これでは都市部に若い人材が流出したり、今後増えるだろう外国人労働者の地方での確保も難しくなりかねない。

 二〇年四月からは、正社員との不合理な待遇格差を認めない「同一労働同一賃金」制度が順次始まる。今後は、非正規の待遇改善と地域間格差の是正の双方に取り組む必要がある。

 賃金アップへ企業にはさらなる生産性の向上が求められる。政府も税制や社会保険料の減免、設備投資などへの支援をすべきだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月01日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【社説②】:三鷹事件 司法は闇に目をつぶる

2019-08-03 06:10:16 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【社説②】:三鷹事件 司法は闇に目をつぶる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:三鷹事件 司法は闇に目をつぶる 

 七十年前の「三鷹事件」の再審を東京高裁は認めなかった。無人電車が暴走し、大勢の死傷者が出た事件。獄死した元死刑囚の長男が求めた再審だ。あまりに多い謎に司法が応えぬ姿勢は疑問だ。

 事件は一九四九年七月の夜。国鉄(現JR)中央線三鷹駅(東京)で無人電車が暴走し、六人が死亡、約二十人が重軽傷を負った。竹内景助元死刑囚は電車転覆致死罪で、同じ旧国鉄職員だった共産党員らとともに起訴された。

 約十万人もの人員整理に抗議し、事故を起こしてストのきっかけにする目的だったとされた。党員九人の共同謀議は「空中楼閣」と判断され無罪だったが、竹内元死刑囚には無期懲役。二審で死刑判決を受けた。再審請求中の六七年に四十五歳で獄死している。

 当時は謎めいた事件が相次いだ。三鷹事件の九日前には国鉄総裁が死体で発見される「下山事件」。約一カ月後には東北線の松川駅(福島県)で列車が転覆される「松川事件」があり、一、二審で複数人の死刑判決が出たが、最終的に全員が無罪確定した。

 これらの背後には、米占領下でもあったことから、共産党の弱体化を狙った連合国軍総司令部(GHQ)が関与した説もあったほどだ。そんな時代だった。

 三鷹事件で疑わしいのは、竹内元死刑囚の供述の変遷である。逮捕時は「否認」。勾留質問でも取り調べでも「否認」。起訴直前に単独犯行を「自白」。公判では「他人との共同犯行を自白」「単独犯行を自白」。やがて「否認」…。無罪を主張した。捜査段階と公判段階で激しく否認と自白を繰り返した。信用性に疑義が生じるのは当然である。

 無実の主張を始めたきっかけは家族への脅迫状だった。「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろうとしているのに許せない。もともと無実なのだから」-、そう接見した人に語ったという。

 電車を起動、発車させたのは人為的だとしても、それは「自白」に寄り掛かっている。単独犯では難しいとも弁護団は主張した。事件時に竹内元死刑囚を見たという目撃証言も怪しいと…。電車区は停電の最中だった。

 東京高裁は「総合評価しても確定判決の事実認定に合理的な疑いを抱かせるものとはいえない」と新証拠の価値を退けた。だが、再審公判で疑問の一つ一つに白黒つける方法もあろう。司法の役目は闇に光を当てることでもある。

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【首相の一日】:7月31日(水)

2019-08-03 06:10:12 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【首相の一日】:7月31日(水)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:7月31日(水) 

 【午前】9時53分、官邸。54分、報道各社のインタビュー。10時1分、政府与党政策懇談会。11時10分、愛知治郎元自民党参院議員。32分、加藤康子元内閣官房参与。

 【午後】1時42分、野瀬豊福井県高浜町長ら同県原子力発電所所在市町協議会のメンバー。高木毅自民党衆院議員同席。58分、西村康稔官房副長官、兼原信克官房副長官補、森健良、山崎和之両外務審議官。3時6分、外務省の秋葉剛男事務次官、森外務審議官。23分、藤井聡元内閣官房参与。59分、高村正彦自民党憲法改正推進本部最高顧問。4時40分、外務省の森、山崎両外務審議官、岡村善文アフリカ開発会議(TICAD)担当大使。5時3分、経済財政諮問会議。40分、臨時閣議。51分、西村官房副長官、長谷川栄一首相補佐官、外務省の森、山崎両外務審議官、岡村TICAD担当大使。6時32分、東京・赤坂の中国料理店「メゾン・ド・ユーロン」。成蹊大の友人と食事。9時11分、東京・富ケ谷の私邸。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年08月01日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:「犬馬の齢(よわい)」とは自分の年齢を卑下していう言葉だが、

2019-08-03 06:10:12 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【筆洗】:「犬馬の齢(よわい)」とは自分の年齢を卑下していう言葉だが、犬や馬にははた迷惑な話である。

  『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:「犬馬の齢(よわい)」とは自分の年齢を卑下していう言葉だが、犬や馬にははた迷惑な話である。

 老犬と暮らす身としてはこのところ犬の齢が気にもなる▼よその犬に会えば、何歳ですかと尋ね、その年齢にひそかに七を掛ける。十歳なら七十歳。犬種にもよるそうだが、だいたい七倍すれば人間の年齢の目安になるらしい。で、高齢犬なら「長生きしろな」▼「犬馬の齢」のもう一方、むだに年を取ることのたとえに使われる馬齢の方はどうか。これがなかなか複雑で見つけた計算式によると競走馬の場合は馬の年齢から三を引き、これに三を掛けて十七を加えるそうだ。三歳馬なら十七歳▼計算で出た数字とかつての大歓声を重ね、しんみりとする。ディープインパクト。小柄ながら広い歩幅で空を飛んでいるように見えた日本最強馬が空の向こうへ飛び去った。十七歳。人間の年なら五十九歳▼ハイセイコーやオグリキャップが人気になったのは地方からはい上がって頂点に立つ泥くさい物語のおかげだろう。ディープの魅力は恵まれた環境で育った「優等生」としての圧倒的な強さだった▼二〇〇五年の有馬記念で敗れ、期待を裏切り、すまなそうな顔をしたという。勝たねばならぬ宿命と重責。それを斤量に加え、背負って走る。苦しいであろうにひょうひょうと勝つ。そんな馬であった。もう少し馬齢を重ねさせてやりたかった。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年08月01日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【社説①】:ロ首相択捉訪問 条約交渉妨げる暴挙だ

2019-08-03 05:05:55 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【社説①】:ロ首相択捉訪問 条約交渉妨げる暴挙だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:ロ首相択捉訪問 条約交渉妨げる暴挙だ 

 ロシア政府は北方領土問題を解決して日本と平和条約を締結する意思がないのではないか。

 そう考えざるを得ない。

 プーチン政権ナンバー2のメドベージェフ首相がきのう、北方領土の択捉島を4年ぶりに訪れた。

 北方領土は日本固有の領土であり、ロシアが不法占拠している。

 日本政府はロシア政府要人の北方領土訪問中止をかねて求めてきたが、それを無視しての暴挙だ。

 断じて容認できない。

 両政府は北方四島の帰属問題を含む平和条約交渉を重ねている。そのさなかにロシア側が島の実効支配を一方的に誇示することは、交渉進展への信頼醸成を妨げる。

 プーチン氏は6月末、安倍晋三首相との会談で、条約締結に向け「日本との関係を質的に新しい段階に引き上げるため、地道な作業をしていく」との決意を示した。

 今回の訪問はこの発言にも反しよう。

 74年前の旧ソ連軍の侵攻によって約1万7千人が島を追われた。苦渋の思いで領土交渉の進展を願ってきた元島民から憤りの声が上がったのは当然だ。

 河野太郎外相は「北方領土に関する日本の一貫した立場と相いれず、日本国民の感情を傷つける」として遺憾の意を示す談話を発表した。同時に外務省はロシア側に抗議した。

 だが公になった日本側のコメントには「不法占拠」「わが国固有の領土」といった文言はなく、歴史的経緯を踏まえた指摘はない。

 昨年来続く腰が引けた姿勢では、ロシアペースの条約交渉を打開することはできまい。

 メドベージェフ氏が北方領土を訪問したのは大統領時代を含め4回目だ。

 日本の抗議に対し「これは私たちの土地だ。何を懸念する必要があるのか。反発が多いほど、ロシア政府の代表者がここに来る理由が増える」と述べ、意に介さぬ姿勢を示したことは看過できない。

 既成事実を積み重ねて平和条約交渉を有利に進めようという意図が透ける。

 ロシア国内では年金受給年齢引き上げなどへの不満が高まり、プーチン氏への支持に陰りも見える。来月にはサハリン州知事選など地方選を控え、今回の訪問は国内向けアピールとの見方もある。

 ロシア国内の政局に北方領土問題を利用することは言語道断だ。元島民の心を踏みにじる身勝手なやり方には、毅然(きぜん)とした態度で臨まなければならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月03日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:米国の利下げ 緩和競争をあおらぬか

2019-08-03 05:05:50 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説②】:米国の利下げ 緩和競争をあおらぬか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:米国の利下げ 緩和競争をあおらぬか 

 米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が10年半ぶりの利下げに踏み切った。

 長引く米中貿易摩擦による世界経済の減速を懸念し、「予防的に」金利を下げたという。ただ、米景気は総じて堅調だ。通常は不況時に行う利下げを好況下で行った点で極めて異例と言えよう。

 FRBが金融引き締めから緩和へと姿勢を転じた今年初め以降、既に多くの国が自国通貨高を回避しようと利下げに動いた。欧州中央銀行(ECB)は来月にも利下げする構えだ。

 世界で緩和競争の兆しがある。米国の決定がそれをあおることにならないか。

 利下げは一定の景気浮揚効果が見込める一方、株・不動産バブルの膨張と破裂を招く恐れもある。

 FRBの動きは、各国の金融政策と経済に多大な影響を及ぼす。自らの政策が世界経済を不安定化させることのないよう、慎重なかじ取りに努めてもらいたい。

 政策金利は歴史的な低水準にあり、いずれ来る景気後退期の政策の余地を狭めた感は否めない。

 米国では証券市場が過熱している。さらに緩和マネーが流れ込めば、不動産や高リスク金融商品の価格が不自然に上がりかねない。

 住宅ローンを組み込んだ金融商品の価格暴落を契機に起きたリーマン・ショックのような事態を繰り返してはなるまい。金融当局は、バブルが生じないか監視を強化する必要がある。

 見過ごせないのは、トランプ大統領がFRBに露骨な政治介入を続けていることだ。

 低金利を大統領選のアピール材料にしたいのだろうが、独立機関のFRBを目先の得点稼ぎの道具に使うことは認められない。

 そもそも、FRBが利下げの理由に挙げた米中摩擦は、トランプ氏が仕掛けたものである。

 トランプ氏は自らが世界経済を乱していると知るべきだ。対中制裁関税第4弾の発動は控え、摩擦の収束を急がねばならない。

 米国の利下げは円高要因であり日本経済に与える影響も大きい。

 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は「必要なら躊躇(ちゅうちょ)なく対応する」と一段の緩和策に前向きな姿勢を見せた。だが米欧中銀が金融正常化を進める間も大規模緩和を続け、打つ手を失っているのが実情だろう。

 国債購入は限界に近づき、利下げは地方銀行の体力をさらに奪う。黒田総裁は現状をどう打開するのか。「緩和に限界はない」と繰り返すだけでは無責任だ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月03日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:朝顔の涼気

2019-08-03 05:05:45 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【卓上四季】:朝顔の涼気

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:朝顔の涼気

 明治、大正、昭和にわたって活躍した日本画家、鏑木清方は朝顔について「染めなば藍に、花を眺めるなら浴衣がけでありたい」と随筆に書いている▼「種子を播(ま)き損うか、苗を得られなかった時の、朝顔の花なき夏は限りなく淋(さび)しい」とあるから、よほど好きだったのだろう。明治の東京・下町の風俗を描いた「朝夕安居」では、井戸端で顔を洗い、談笑する人々の傍らに咲く朝顔が印象的だ▼「朝顔の紺の彼方(かなた)の月日かな」(石田波郷)。紺や水色の朝顔は、明け初める夏空によく似合い、涼味をもたらす。一方、杉田久女の「朝顔や濁り初めたる市の空」は、しぼんでゆく感じだろうか。朝から空が濁り始めた。朝曇りは暑い一日を連想させる▼今週の当欄に、「熱帯夜が普通になった首都圏に比べれば、道内はまだまだ過ごしやすい」と書いた直後から、道内でも熱帯夜が続いた。その原因は曇り空だったらしい。たちこめた雲が「ふた」となり地表の熱をとじこめたようだ。熱中症で亡くなった人もいる。決して無理をせず、猛暑をしのぎたい▼鏑木清方に話を戻せば、長年、所在が不明だった代表作「築地明石町」が、44年ぶりに一般公開されるという。すらりとさえた立ち姿の女性が振り向く様子が描かれ、後ろの垣には一輪の朝顔が咲いている。葉は半ば枯れており、秋の気配が漂う▼今年の夏はいつにもまして初秋の涼気が恋しい。2019・8・3

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年08月03日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:INF条約失効 核軍縮の枠組み急務だ

2019-08-03 05:05:40 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説①】:INF条約失効 核軍縮の枠組み急務だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:INF条約失効 核軍縮の枠組み急務だ 

 冷戦終結を後押しし、核軍縮の流れをつくった米ロ間の「中距離核戦力(INF)廃棄条約」がきょう失効する。

 INF条約は1987年に米国と旧ソ連が調印し、地上配備の中・短距離核ミサイルの全廃で合意した画期的な軍縮条約だ。

 失効は極めて残念である。

 米ロは核搭載可能な中距離ミサイルの開発を本格化させる構えを見せる。INF条約に代わる歯止めはなく、このままでは冷戦期のような核軍拡競争に逆戻りする恐れがある。

 米ロはINF条約の理念に立ち戻らねばならない。

 核保有国を限定した上で核軍縮の義務を負わせている核拡散防止条約(NPT)に、米ロは署名している。世界の核弾頭の9割以上を保有する両国には国際的な核削減を主導する責務がある。

 トランプ政権は昨秋、ロシアが条約に違反して新型巡航ミサイルの開発と配備を進めていると主張し、離脱方針を表明した。

 ロシアは違反を否定し、双方とも失効を回避する努力を尽くさなかった。

 核兵器は1発でも使われれば破滅的な被害を招く。

 ところが世界では、核戦力を増強する動きが広がっている。

 米国は、INF条約に縛られない中国が中距離ミサイルの開発を加速させていることも離脱の理由にした。

 中国の軍拡を口実に条約を失効させて軍備増強に走るのは、本末転倒である。

 トランプ大統領は、INF条約に代わる新たな多国間の枠組みに中国などの参加を呼びかけると強調した。

 そうであればINF条約の枠を拡大し、中国などの核保有国を巻き込んだ核軍縮の枠組み構築へ積極的に動く必要がある。しかし、米国の具体的な取り組みは極めて乏しい。

 中国も、核削減に真剣に向き合うべきだ。

 米国は北朝鮮に非核化を求めたり、イランの核開発を批判したりしているが、自らが条約を離脱して核増強を進めるのでは全く説得力がない。

 2年後には米ロ間に残る唯一の核軍縮条約である、大陸間弾道ミサイル(ICBM)などを制限する新戦略兵器削減条約(新START)が期限を迎える。

 条約の延長は不可欠である。米ロは一刻も早く協議を進めなければならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月02日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:三鷹事件棄却 厳格すぎる再審への道

2019-08-03 05:05:35 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【社説②】:三鷹事件棄却 厳格すぎる再審への道

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:三鷹事件棄却 厳格すぎる再審への道 

 戦後の混乱期、東京の旧国鉄三鷹駅で無人電車が暴走し、6人が死亡、20人が重軽傷を負った「三鷹事件」の再審請求審で、東京高裁が請求を棄却した。

 再審弁護団は、自白の矛盾を指摘する鑑定書や目撃証言の信ぴょう性を疑問視する実験結果を示したが、東京高裁は、確定判決の判断に合理的疑いを生じさせるものではないと判断した。

 しかしながら、有罪判決の直接証拠となった自白を巡っては、供述が何度も変遷した。信用性の低さは明らかだった。

 刑事裁判の鉄則「疑わしきは被告人の利益に」は再審にも適用される。東京高裁の判断は妥当だったとは言いがたい。

 6月には、「大崎事件」で最高裁が下級審の再審開始決定を取り消した。確定判決を覆すには、明白な新証拠がない限り認めないという厳格化がうかがえる。

 再審が開かずの扉と言われた時代に逆戻りしかねない。検察側の証拠開示の手続きを定めるなど、法整備の議論を急ぐべきだ。

 再審は、死刑確定後も無実と訴えながら病死した竹内景助・元死刑囚の長男が請求していた。

 警視庁は当初、労働組合を率いる共産党員が、国鉄職員の大量解雇に反発して犯行を主導したとみて捜査し、元死刑囚のほか党員9人を電車転覆致死罪で起訴した。

 ところが、判決では非党員の元死刑囚だけが有罪となった。

 再審では、自白すれば情状酌量の余地があると諭されたことを示す元死刑囚の手紙も提出された。自白の誘導も疑われる。東京高裁の判断は、多くの冤罪(えんざい)を生んだ自白偏重への反省が感じられない。

 目撃証言を巡っては、裁判所の勧告に従って検察が開示した証拠が、弁護団の主張を補強するものもあった。検察側の証拠隠しと批判されても仕方あるまい。

 3月に無罪が確定した松橋事件など、検察側が開示した証拠が無実を証明した事件は少なくない。DNA型鑑定など科学技術の発達もあり、重要性は増している。

 全証拠のリストを開示する裁判員裁判を参考に、再審も証拠開示の在り方を見直す時ではないか。

 事件は共産党員などの公職追放「赤狩り」が吹き荒れる占領下の日本で起きた。国鉄総裁がれき死体で見つかった下山事件などと並ぶ国鉄三大事件の一つだ。

 不可解な点が多く、歴史の闇に翻弄(ほんろう)された感も拭えない。事件から70年がたつとはいえ、再審で真相を解明するべきだ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月02日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:空を飛ぶ馬

2019-08-03 05:05:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【卓上四季】:空を飛ぶ馬

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:空を飛ぶ馬

 競馬を実際に見たのは、その一度きりである。2006年10月のパリ・ロンシャン競馬場。最後の直線でいったん先頭に立ったディープインパクトが、ゴール寸前で競り負けた▼凱旋(がいせん)門賞3着の結果に、日本から駆けつけた大勢のファンからため息が漏れたが、素人目には十分な健闘と映った。欧州馬に比べ、きゃしゃな馬体。弾むように走る姿が印象深かった▼レースの1週間前に取材した際、スタッフが「飛行機のコンテナの中でも、他の馬のように興奮せず全く落ち着いていた」としきりに感心していたことを覚えている。無敗の三冠馬に代表される輝かしい実績、「走っているというより、飛んでいる感じ」という武豊騎手の賛辞。何となく「天才肌でおっとりした貴公子」のイメージが浮かんだ▼辻谷秋人さんの「馬はなぜ走るのか」で、JRA競走馬総合研究所によるディープインパクトの走り方の分析が紹介されている。他の馬より、ストライドがずばぬけて長いことが「空を飛ぶ馬」の強さの秘密だった▼そんな平成最強の名馬が17歳で死んだ。頸椎(けいつい)に骨折が見つかり、回復の見込みがないために安楽死の処置がとられたという▼「銀漢をシャガールの馬渡りゆく」(金子敦)。シャガールの絵には、ちょっと寂しげな目をした空飛ぶ馬が登場する。ディープインパクトも今ごろ、天の川のあたりを自由に跳ね回っていると思いたい。2019・8・2

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年08月02日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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