《余録・12.26》:「ずるけてサボるんでねえんだ…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・12.26》:「ずるけてサボるんでねえんだ…
「ずるけてサボるんでねえんだ。働けねえからだよ」。北洋漁業の過酷な労働実態を暴いた小林多喜二の「蟹工船(かにこうせん)」の一節。「サボる」はフランス語のサボタージュ(怠業)を略した動詞だ。労働争議が盛んだった大正期に使われ始めた
▲名詞に「る」をつけて動詞化する例は古代からある。雲から「くもる」、畝から「うねる」という具合だ。特に2音の名詞との相性がいい。近代になって外来語を取り入れる手段にもなったわけだ
▲「アジる」「ダブる」「デモる」「ネグる」「ミスる」は広辞苑も収録する。近年は「ディスる」も使われる。SNSなどで拡散されて話題になる「バズる」も一般化した
検索だけでなくさまざまな分野で存在感を高めてきたグーグル。写真は2010年の東京国際ブックフェアの電子書籍コーナーに出展したグーグルのブース=2010年7月8日、佐々本浩材撮影
▲ネット検索の「グーグル」を動詞化した「ググる」は使われ始めて約20年。最強の検索エンジンは急速に普及し、世界的に圧倒的なシェアを握った。新語に敏感な「三省堂国語辞典」の最新版は「ググる」も「バズる」も載せる
▲公正取引委員会が米グーグル社の独占禁止法違反を認定する方針という。米司法省も事業再編を迫っている。かつてマイクロソフトが独禁法違反に問われ、カリフォルニアのガレージで起業したグーグル成長の契機になった歴史を思えば皮肉だ
▲サボるは今も健在だが「ジャズる」「オケる」など死語化した「る動詞」も少なくない。「ググる」の支配的な地位は動かないのか。それとも新たな検索エンジンの名が台頭するのか。デジタルインフラの一角を牛耳る巨大企業と規制当局との争いから目が離せない。
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