【社説②・11.28】:レバノン停戦 ガザ攻撃もやめる時だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.28】:レバノン停戦 ガザ攻撃もやめる時だ
イスラエルと隣国レバノン南部を拠点とする親イラン民兵組織ヒズボラが停戦に合意した。
双方は昨年10月のパレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘を機に激しい攻撃の応酬を続けた。
停戦は60日間でイスラエル軍がレバノン南部から、ヒズボラがレバノン南部のリタニ川以北に撤退する。レバノン軍と国連レバノン暫定軍(UNIFIL)が停戦を監視し、仲介した米仏も支援するとしている。
ただ、イスラエルとヒズボラの敵対関係は続いている。イスラエルは合意直前までレバノンの首都ベイルートを空爆し、繁華街や住宅街も被害を受けた。
まずは双方が合意を確実に履行することが欠かせない。
懸念されるのはイスラエルがガザへの攻撃や、ハマスやヒズボラを支えるイランとの対立を激化させかねないことだ。
中東の戦火を終息させるためにも、根幹にあるガザの停戦が必要である。国際社会は働きかけをさらに強めねばならない。
攻撃の応酬が激化したのは今年9月、イスラエルのネタニヤフ首相がヒズボラからの攻撃で避難生活を強いられている住民の早期帰還を目指したためだ。
ヒズボラの最高指導者を殺害し、ヒズボラの戦闘員が所有するポケットベルを爆発させたうえ、レバノン南部に地上侵攻した。戦果を上げた一方で、ガザとの二正面作戦は負担が大きいとして国内には不満もあった。
他方、ヒズボラは幹部を次々と殺害され、兵器も破壊されて壊滅的な打撃を受けた。組織立て直しのためにも戦闘停止を求めたのだろう。レバノンの死者は民間人を含め4千人近く、避難民は120万人を超える。
イスラエルとヒズボラ双方の自制が肝要だ。恒久的な停戦につなげてもらいたい。
ネタニヤフ氏は、今後はハマスとの戦いに注力し、イランの脅威にも集中できるとした。
イスラエルとイランは先月まで互いに本土への攻撃を繰り返したが、その後は自制を続けている。共に中東の軍事大国であり、全面衝突となれば地域全体を巻き込む恐れがある。
イスラエルはこれ以上、戦闘を拡大させてはならない。
ネタニヤフ氏が強気の姿勢を崩さないのは、バイデン米政権が軍事支援をやめないからだ。さらにトランプ次期大統領は親イスラエルが鮮明で、閣僚候補らは対イラン強硬派が目立つ。
中東の緊張を激化させないため、国際社会はトランプ氏を巻き込んで地域の安定に取り組むことが不可欠である。
元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月28日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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