【天地人・10.10】:記録的大雨から2週間近くたった今月初旬に・・・
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天地人・10.10】:記録的大雨から2週間近くたった今月初旬に・・・
記録的大雨から2週間近くたった今月初旬に石川県輪島市を訪ねた。雨の中、生々しい災害の爪痕を見ると東日本大震災の光景がよみがえり胸が締め付けられた。
地震で全壊した家が目に付き、大半の家は屋根を雨よけシートで覆う。川岸や橋脚には大水で流された大量の木々。7階建てビルは横倒しのままで、その先に進むと地震直後の大火に見舞われた輪島朝市の焼け跡が広がる。仮設住宅は壁に泥がこびりつき、一帯があふれた川にのまれたと分かる。
「今度は洪水…。泥が乾くとひどいほこりになり、片付けもままならない」。朝市にあった店舗が全焼し、今は金沢市で屋台を開いている人が話してくれた。地震と水害、二つの厄難が同じ地を襲う複合災害の現実を思い知った。
この数日後、石破茂首相や野田佳彦立憲民主党代表らが現地入りした。「心が折れた」「輪島を見捨てないで」。被災者は叫び、また政府に厳しく支援の本気度を問いただしたという。政治はこの声を真摯(しんし)に受け止めたか。人々に誠実に寄り添えるか。
きのう衆院が解散され、27日の投票日までの短期決戦が事実上始まった。国政は被災地対応はじめ喫緊の課題が山積する。自民派閥の裏金問題で政治不信は深いが、それでも国の行く末を左右する力は主権者である国民の掌中にある。選挙の主役たるわれわれが、持てる権利を有効に使わねば。
元稿:東奥日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天地人】 2024年10月10日 09:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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