《社説②・12.20》:裏金問題の政倫審 国会での追及を強めねば
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.20》:裏金問題の政倫審 国会での追及を強めねば
自民党派閥の裏金作りを誰がいつ始め、いったん中止が決まりながらなぜ復活したのか。疑問は残ったままだ。
裏金問題を巡り、旧安倍派や旧二階派に所属した19人の議員が衆参両院の政治倫理審査会に出席した。パーティー券収入が派閥議員に還流されながら、政治資金収支報告書に記載されなかった経緯が明らかになるかが焦点だった。
ところが「秘書に任せていたので知らなかった」と臆面もなく答えた議員が相次いだ。これでは実態解明は進まない。
注目されたのは、旧安倍派の実力者「5人衆」の一人で、不記載が多額に及んだ萩生田光一元政調会長の発言だ。2003年の初当選後、ノルマ超過分を還流する仕組みを派閥から説明されたが、不記載は昨年まで把握していなかったと証言した。秘書に不記載とするよう指示を出していたのは派閥の事務局長だったと述べた。
柴山昌彦元文部科学相は13年まで還流分を記載していたが、14年ごろに不記載とするよう事務局から要請され、応じた。違法ではないとの説明を受けたという。
2人の証言通りとすれば、実態を知り得る立場にあった旧安倍派事務局長を国会に招致し、説明を求めることが欠かせない。
2~3月の政倫審も含め、還流や不記載がどのようにして始まったのかは明らかにならなかった。安倍晋三元首相が22年に還流を中止すると決めながら再開された経緯も、闇に包まれている。
萩生田氏は復活を決めたとされる幹部会合に出席しておらず「一切関わっていない」と強調する。
経緯を知る可能性がある幹部議員らについて、偽証罪が適用される証人喚問も含め、改めて国会で説明する場を設けるべきだ。過去に派閥会長だった森喜朗元首相にも事情を聴く必要がある。
多くの議員が出席を表明したのは、みそぎを早く済ませたいとの思惑からだろう。このままでは、説明責任を果たしたとは言えない。
今後、政倫審に出席する予定の参院議員の大半は議員のみが傍聴する形での開催を求めるが、公開の場で証言するのが筋だ。
国民の政治不信は解消されていない。真相究明に向け、国会で追及を強めなければならない。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月20日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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