愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

ウクライナ政変とロシアの対応に集団的自衛権行使論を重ねると安倍首相派の姑息と無策が視える!

2014-03-02 | ウクライナ問題

以下のNHKの報道をみると、いよいよユーゴスラビア紛争クロアチア紛争の再来となるのでしょうか。危機的な状況が徐々に鮮明になってきました。日本のマスコミ報道をみると、大変まずい情況です。シリア問題の時とは違って、未だ戦争回避の声が大勢になっていないからです。そういう中でロシアの動きは、問題アリと言えます。内政干渉と言えます。あのアフガニスタン紛争 (1978年-1989年)の時と全部ではありませんが構図が似ています。

双方の主張は、以下のとおりです。

ロシアは、「クリミアのロシア系住民や駐留する軍を守る権利がある」

ウクライナの暫定政権は、「軍に対して戦闘態勢を整えるよう指示する一方、予備役の招集や訓練を開始することを明らかにし」「アメリカとイギリスの支援を取り付けるよう求めた」

とあります。

安倍首相派の憲法否定利益共同体からすれば、困っていることでしょう。この間、ロシアとは順調です。アメリカとは日米軍事同盟を結び、深化路線をとっています。集団的自衛権行使、武器輸出三原則の空洞化を謀っています。

安倍首相派は困っていることでしょう。英米が支援するウクライナの暫定政権に対して、ロシアが軍事介入した場合、どうするか。そして、また英米とロシアが軍事衝突を起こした場合、特にアメリカがロシアに攻撃された場合、日本はロシアを攻撃するということになります。或いは、万が一、中国が、北朝鮮が何らかの形でロシアを支援した場合、日本は中国や北朝鮮に攻撃することになります。これが集団的自衛権の行使です。

以下の資料をみると、英米とロシアとの間にあって、両者の「利権」と密接に結びついたロシアとの間にある貿易の「利権」を取るか、ウクライナとの間にある貿易の「利権」を取るか、そのことを見抜いていく必要があります。集団的自衛権論の裏側にある「利権」が浮き彫りになります。ここを暴いていく必要があります。この「利権」は国民のための「利権」かどうか、そこがポイントです。

ウクライナ日本国大使館:日·ウクライナ二国間関係概要(日本語) 日・ウクライナ二国間関係概要(2011年10月現在)

ウクライナ情勢】日本政府、米欧との連携軸に対応 即座の経済支援は慎重 2014.3.2 01:02

以上のことを踏まえて、国会は緊急の会議を行うべきです。

安倍首相は、これまでの主張を踏まえて、アメリカに加担すること、安倍首相の目指す集団的自衛権行使とはどのようなものかを表明すべきです。安倍首相が行使したい集団的自衛権とは、日米軍事同盟を結んでいる米の側にたって、ロシアの軍事行動を「抑止」し、破られた場合は、アメリカが攻撃されたという「口実」を使って、ロシアを攻撃すべきです。まず北方領土を、この際奪い返すべきです。そこにアメリカ軍を駐留させるべきです。米軍は「抑止力」だからです。そのために、軍事費を倍に増やすべきです。そうでなければ第二次日露戦争には勝てません!第二次シベリア出兵の準備をすべきです。敵基地攻撃論の具体化です。北朝鮮の行動によっては、叩き潰す絶好のチャンスです!

どうでしょうか?安倍首相派の思想と論理を使えば、以上のようなストーリーになるのではないでしょうか?

しかし、現段階における日本の立ち居地は、一般的・曖昧です。「関係国と連携」とはどのようなことか、不明ですが、アメリカのことでしょう。ということは、英米の側、暫定政権の側につくということでしょう。しかし、ロシアとの関係もあります。そこで、以下のような対応をとっているのです。しかし、これでは曖昧です。

「今後どういった状況の変化があるか、予断を持つことはできない。関係国と連携して意思疎通を図り、事態を把握していきたい」「事態が平和裏に収拾され、安定することを期待している。わが国は法の支配と領土の一体性を重視しており、当事者には最大限の自制と責任ある行動を求めていきたい

さて、しかし、安倍首相派に残れされた道は、憲法九条に基づく外交努力ですが、こうした立ち居地を表明することは絶対にしないでしょう。何故ならば、憲法九条を否定しようとしている安倍首相派の自己否定になるからです。そこで日本国民の登場です。集団的自衛権行使を謀ろうとする安倍首相派に対して、憲法九条の外交政策を具体化させるチャンスと見なければなりません。それは、

1.英米・ロシア政府には、内政不干渉の立場にたつことを要求すること。

2.ウクライナの問題は、ウクライナ国民の問題であること、ウクライナの国民に非暴力による、非軍事的手段による、話し合いによる解決を要請すること。

3.そのために、日本が積極的に動くこと。それは国連がイニシアチブを発揮して、あらゆる場面の会議を開催することを訴えること。国際社会の世論に訴えることです。

4.国民も、このことを基本にした行動を取ることです。特に安倍首相派に対して要求することです。

5.さらに、ウクライナ地域をはじめとして、各国に戦争放棄条約の締結を呼びかけろ、と安倍政権に要求べきです。

以上、この問題を通して安倍首相派の集団的自衛権行使論の破綻を暴いていくことです。憲法九条に基づく外交努力、非軍事的安全保障論を具体化していく絶好のチャンスと位置づけるべきです。ウクライナ国民の血を流させてはなりません。同時に自衛隊の派兵を許してはなりません。憲法九条を守り、活かすパターンを、今こそ国民的合意にすべきです。

その点、共産党の果たす役割は大きいものがあります。今日の時点では、

平和的な議論の促進を/ウクライナ情勢に懸念/独仏ポーランド外相が声明2014年3月2日(日)

ウクライナ 親EUの新政権発足/経済・対ロシア関係が課題 2014年3月1日(土)

外国の声明などを報道する前に、集団的自衛権行使を阻止するためにも、日米軍事同盟を発動させないこと、憲法九条をもつ日本の野党、政党として、政権を担っていることを前提とした世論づくりを積極的に行うべきです。こうした積み重ねが、「自共対決」の「受け皿」としての外交政策であることを国民的に明らかにしていくことです。

外相 ロシアとウクライナは冷静対応を 3月2日 20時43分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140302/t10015650651000.html

岸田外務大臣は、ウクライナ情勢が緊迫化していることを受けて、外務省幹部を集めて対応を協議したあと、NHKの取材に対し「当事者には最大限の自制を求めていきたい」と述べ、ロシアとウクライナの暫定政権の双方に冷静な対応を求めていく考えを示しました。

ウクライナを巡っては、南部のクリミア半島にある基地に駐留するロシア軍が活動を活発化させているうえ、ロシアの議会上院がウクライナ国内での軍事行動を承認する一方、ウクライナの暫定政権も軍に対して戦闘態勢を整えるよう指示するなど、情勢が緊迫化しています。
こうしたなか、岸田外務大臣は2日夕方、斎木事務次官ら外務省幹部を集めて、1時間半にわたって対応を協議しました。

協議のあと岸田大臣はNHKの取材に対し、「今後どういった状況の変化があるか、予断を持つことはできない。関係国と連携して意思疎通を図り、事態を把握していきたい」と述べました。
そのうえで岸田大臣は、「事態が平和裏に収拾され、安定することを期待している。わが国は法の支配と領土の一体性を重視しており、当事者には最大限の自制と責任ある行動を求めていきたい」と述べ、ロシアとウクライナの暫定政権の双方に冷静な対応を求めていく考えを示しました。(引用ここまで

ウクライナ暫定政権とロシア 緊迫続く  3月2日 20時43分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140302/t10015649831000.html

ウクライナへロシアが実際に軍事介入に踏み切るのかどうかを巡り、重要な局面を迎えるなか、ロシアと、これに反発するウクライナの欧米寄りの暫定政権との立場の違いは埋まっておらず、緊迫した状況が続いています

ロシアのプーチン大統領は1日、議会上院から軍がウクライナ国内で行動するための承認を取り付け、これにより、いつでも行動を命じることが可能となり、実際に軍事介入に踏み切るのかどうかを巡って、重要な局面を迎えています。
こうしたなか、ロシアのメドベージェフ首相は1日、ウクライナの暫定政権のヤツェニューク首相と電話で会談し、「ロシアは、クリミアのロシア系住民や駐留する軍を守る権利がある」と述べ、軍事介入も辞さないとするロシアの立場を直接伝えました。
これに対し、ヤツェニューク首相は会談後、「ウクライナの平和と安定を守る。ロシアが軍事介入する法的、政治的、軍事的な根拠はない」と述べ、双方の立場の違いは埋まっておらず、事態打開の見通しは立っていません。
さらに、ウクライナの暫定政権は2日、軍に対して戦闘態勢を整えるよう指示する一方、予備役の招集や訓練を開始することを明らかにしました。
また、トゥルチノフ大統領代行は、外相に対しても、アメリカとイギリスの支援を取り付けるよう求めたということです。
こうしたなか、ウクライナのメディアは、ウクライナ国防省筋の情報として、南部のクリミア半島でロシア軍の兵士がウクライナ軍の施設からライフル銃や弾薬などの武器を持ち去ったと伝えています。
一方、ロシアのメディアも、ウクライナとの国境に近い西部のベルゴロド州で、武装したグループがウクライナへ通じる道路を封鎖していると伝えるなど、両国の間で情勢の緊迫化を伝える情報が飛び交う状況となっています。

クリミア半島はロシアの戦略上重要な拠点

ウクライナ南部のクリミア半島は、四国の面積の1.3倍ほどの大きさで、もともとロシア領でしたが、1954年にウクライナに譲り渡され、現在、ロシア系住民がおよそ6割を占める、親ロシア色が強い地域です。
ロシアはクリミア半島を、地中海を視野に入れた戦略上の重要な拠点とし、ウクライナとの協定に基づいて、クリミア半島にある軍港、セバストポリに黒海艦隊を駐留させています。
クリミア半島を巡っては、1850年代、凍らない港の獲得などを目指して南下政策を取ったロシアと、イギリスやフランスなどとの間で戦争にもなりました。

最近も、NATO=北大西洋条約機構への加盟を目指した親米派のユーシェンコ政権が、協定の期限が切れしだい、黒海艦隊は港から出て行くべきだと主張したのに対し、ロシアが、ロシア系住民を支援することで、クリミアでの影響力を強めようとするなど、駆け引きの舞台にもなってきました。(引用ここまで

以下のような安倍首相派である読売の大ウソ・トリックを暴いていく必要があります。

憲法解釈の見直しが議論されている集団的自衛権とは何なのですか  2013年10月17日

個別的自衛権は国家が自国に対する武力攻撃を実力をもって阻止する権利です。集団的自衛権は、暴漢に襲われた家族や友人を助けるように、同盟国などの密接な関係がある国が攻撃された場合、一緒に防衛する権利です。政府は81年5月の政府答弁書で「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」と定義しています。 これまでの政府の憲法解釈では個別的自衛権と違い、集団的自衛権は保有しているものの、行使できないとしてきました。しかし、近年、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の軍備拡大など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなってきたことも受け、現行憲法の下でも集団的自衛権の行使は可能だとする見解が増えてきました。…集団的自衛権を巡る憲法解釈の見直しは、国内だけでなく海外への目配りも欠かせない微妙な問題ですが、日米同盟の強化など、日本の将来の安全保障も見据えた議論が望まれています。(引用ここまで

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憲法改悪派の歴史偽装の証拠は産経の主張にあり!安倍首相の拠り所=へ理屈は産経にあり!断罪すべし!

2014-03-02 | 憲法

安倍首相の祖父岸信介元首相の発言を持ち出して集団的自衛権行使を正当化する昨日の産経の主張が、安倍首相の傲慢さの根拠となっていることが浮き彫りになりました。安倍首相派・読売・産経という憲法否定派利益共同体の、姑息な、歴史偽造・偽装の内容がいっそう明らかになりました。これは憲法改悪には、大ウソを撒き散らすしか手段=手口しか持っていないことを示したものです。そこで、その大ウソを検証してみることにしました。

 

1.自分で身勝手な世論調査をしておいて、これを口実に大ウソを振り撒くのです。日本の民主主義の「危機」=分岐点と言えます。これに打ち勝たなければ、日本の未来は、再び過ちを繰り返すことになるでしょう。

2.憲法解釈改憲の歴史的経過を口実にしていることです。そもそも憲法九条の「原点」を放棄して、忘れて、戦後の憲法解釈改憲を許してきたツケが、ここにきて浮き彫りになったことです。

3.百歩譲って、憲法解釈を認めたとしても、岸信介首相の発言をスリカエ、新たな世論形成を謀ろうとしていることです。それについては、以下をご覧ください。

産経の主張『集団的自衛権 「不退転」で行使容認急げ』を批判する by 南野森 @sspmi 2013年8月14日

安全保障の法的基盤に関する 従来の見解について - [PDF] 2013年11月13日

第034回国会 本会議 第6号 昭和三十五年二月十日(水曜日)http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/034/0512/03402100512006a.html

第034回国会 予算委員会 第23号 昭和三十五年三月三十一日(木曜日http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/034/0514/03403310514023c.html

4.首相の私的諮問機関の「報告書」を第三者機関であるかのように偽装していることです。これは「オレオレ詐欺」と同じです。「オレオレ」は、勿論安倍首相のことです。

5.産経の主張は、集団的自衛権行使の根拠が対中朝に対する「抑止力」であることを語っていますが、「抑止力」の切り売りです。「抑止力」の破綻が明らかになると、「危機」「脅威」を造り出して、新たな「抑止力」を創り出す「抑止力神話」論の典型です。これそのものが「抑止力」としての日米軍事同盟が役に立っていないことを白状したものです。

6.憲法改悪の手続き、すなわち立法改悪改憲が不可能という情況のなかで、これまで同様に解釈改悪改憲で、一気に9条第2項を葬り去っていこうとする姑息な手口にたっていることです。憲法九条の内容そのもの議論ではなく手続き論で突破していこうとする姑息な手口です。

【主張】集団的自衛権 議論の活発化を歓迎する 2014.3.1 03:40 (1/2ページ)[主張 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140301/plc14030103410004-n1.htm

安倍晋三首相が国会で、集団的自衛権の行使容認に向けて憲法解釈の変更を閣議決定で行う考えを表明するとともに、自衛隊法改正などを通じ法的基盤を整える方針を説明している。首相の姿勢を支持する。これを受けて与野党の議論が活発化していることも歓迎したい。だが、閣議決定だけで変更するのは乱暴だとか、変更自体が許されないとの主張も少なくない。現実を踏まえた建設的な論戦を求めたい。 首相も解釈変更に幅広い支持を得るため、与党と十分な連携を保ち、国民への丁寧な説明を重ねていく必要がある。

 4月に予定される政府の有識者懇談会の報告書提出を受け、安倍内閣は行使容認へ具体的に動き出す考えだ。日本の平和と安全を守るため、集団的自衛権の行使を容認して日米共同の抑止力を高めることは待ったなしの課題だ。

 首相は憲法解釈変更をめぐり、「政府の答弁については私が責任を持つ」と述べた。これに対し民主党や他の反対政党は、長年の内閣法制局の見解を一方的に覆すものだとして、「立憲主義を崩す」「力を伴わないクーデターに等しい」などと強く批判している。

 時々の内閣が憲法に基づいて国政を担うのは言うまでもないが、世界情勢など内外の状況に即して国のかじ取りをしていかなければならない。憲法解釈も、必要に応じて新たな判断が求められる。内閣の最高責任者である首相が主導するのは当然だ。これを認めないというのは、議院内閣制を理解しない議論ではないか。しかも、集団的自衛権の憲法解釈は変更された前例がある。昭和35年3月、岸信介首相が参院予算委員会で「集団的自衛権は、他国に行ってこれを守ることに尽きるものではない。その意味において一切の集団的自衛権を憲法上持たないということは言い過ぎだ」と述べた。これは「保有するが行使できない」という現行の解釈とは異なり、限定的な行使容認だった。その後に憲法解釈の変更が行われたのは明らかだ。公明党幹部が、安倍内閣は集団的自衛権の国民的議論を避けていると批判している。だが、国会内外ですでに議論が始まり、山口那津男代表も見解を述べている。解釈変更が唐突に行われるとの指摘は当たらないが、首相は粘り強く公明党の同意を求めるべきだ。(引用ここまで

【主張】集団的自衛権 「不退転」で行使容認急げ 日米安保体制の強化優先を 2013.8.9 03:31 日米関係 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130809/plc13080903320008-n1.htm

集団的自衛権の行使に関する政府解釈の見直しへ向け、安倍晋三首相が大胆かつ周到に環境を整えつつある。新しい内閣法制局長官に、行使に前向きな小松一郎駐仏大使を起用することを閣議決定した。首相の不退転の決意を示すものとして歓迎し支持したい。

 新長官に求めたいのは、集団的自衛権について「国際法上は保有するが、憲法上は行使不可」としてきた、内閣法制局の憲法解釈の早急な変更である。

 中国の海洋進出攻勢など、周辺の安保環境が厳しさを増す中で日本が生き抜くには、集団的自衛権の行使を認めて日米安保体制を強化するしかない。憲法解釈残って国滅ぶ、になってはならない。

 ≪先例の墨守と思考停止

 法制局内部の抵抗が予想されるが、行政権は内閣に属する。法制局には、内閣の補佐機関であるとの自覚と国際認識を求めたい。

 首相は、解釈見直しを進めている「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を月内にも再開させ、年内に報告書を受ける。首相はこう表明すればよい。集団的自衛権の行使は「自衛のための必要最小限度の実力行使」に含まれる、と。これまでも憲法解釈は随時、変更されている首相の覚悟と決断によって日本の平和と安全は間違いなく守られる。

 政府解釈が確立されたのは鈴木善幸内閣の昭和56(1981)年5月の政府答弁書だ。「わが国は国際法上、集団的自衛権を有するが、わが国を防衛する必要最小限度の範囲を超えるため、憲法上その行使は許されない」とした。法制局はこれ以降、「歴代法制局長官が答弁を積み重ねてきた」「政策のために解釈を変更することは憲法を頂点とする法秩序の維持からも問題がある」と主張してきた。解釈変更への抵抗ぶりは、第1次安倍内閣で見直しを検討した首相に、幹部の集団辞任も示唆したことなどに表れている。だが、実際は時代により変遷している。

33年10月には、林修三法制局長官が岸信介首相と協議し、「日本にも制限された意味での集団的自衛権もある」と、合憲とする統一解釈を決めている。林氏はその2年後、「集団的自衛権を私は日本の憲法は否定しておるものとは考えません」と答弁した。岸首相も同じ時期、「一切の集団的自衛権を憲法上持たないのは言い過ぎ」と述べた。日本が新旧の日米安保条約と、日ソ共同宣言において3度も「個別的及び(又は)集団的自衛の固有の権利を有する」とうたってきた経緯があったからだ。注目したいのは、日本が独立した1年ほど前の26年4月、外務省は吉田茂首相の了承を得て、日本は集団的自衛権を発動して沖縄防衛に協力するという文書を米側に提出していることだ。

 ≪時代により解釈変遷も

 日本は当時、米国統治下の沖縄に個別的自衛権を発動できず、せめて米国と集団的自衛の関係を設定して、沖縄の守りに関与したいという苦心の提案だった。47年に沖縄が返還されると個別的自衛権で対処できるようになり、集団的自衛権を考える必要がなくなったことも、現行解釈の背景にはあったといえよう。憲法9条でさえ、政府は自衛隊発足に伴い、「戦力は持てない」から、「自国を守るために最小限度の自衛のための実力」は保持できる、という解釈に変更した。

 「先例墨守や思考停止の弊害に陥ることなく、憲法規定を虚心坦懐(たんかい)に見つめ直す必要がある」。第1次安倍政権が発足させた先の懇談会が5年前にまとめた報告書は、名指しを避けながらも法制局の問題点を鋭く突いている。法制局はそれほどまでに硬直化した対応を取ってきた。国家の責務は国民の安全と国益を守ることであり、政府解釈の柔軟な見直しもその延長線上にある。外務省の国際法局長などを歴任した小松氏は、法制局勤務の経験はない。長官には次長が昇格することが慣例化してきたようだが、法制局を根本から立て直すには外部から人材を登用するしかない、と首相は判断したのだろう。菅義偉官房長官は小松氏について「国際法の分野をはじめとする豊富な知識と経験を持っている」と語った。手腕を期待したい。内閣が与党とともに行使容認に踏み切り、日米が同盟国としてともに守り合う関係になることで、日本の未来も切り開ける。(引用ここまで

 産経が大見得を切って正当化する岸元首相の発言、「一切の集団的自衛権を憲法上持たないのは言い過ぎ」ですが、この発言の前後で、繰り返し、

いわゆる集団的自衛権というものの本体として考えられておる締約国や、特別に密接な関係にある国が武力攻撃をされた場合に、その国まで出かけて行ってその団を防衛するという意味における私は集団的自衛権は、日本の憲法上は、日本は持っていない、かように考えております

日本の憲法の、自衛権の、この憲法の規定から見るというと、いわゆるよそへ行ってその国を防衛する、いかにその国が締約国であろうとも、密接な関係があろうとも、そういうことは日本の国の憲法ではできない、こういうふうに考えます

と述べているのです。産経の大ウソがバレバレです。これが産経をはじめとした憲法否定派利益共同体の手口です。

もう一つは、この議論は、新しい日米軍事同盟の調印をめぐって、条文議論のなかで行われていることです。その時に「集団的自衛権」の曖昧さを追及されて、弁明したなかでの発言です。その曖昧さがあったにもかかわらず、憲法九条と日米軍事同盟との整合性を強調するために持ち出してきたのが、9条と集団的自衛権とは相容れないという理屈でした。この見地がなければ、自衛隊も、米軍も配備も、違憲となってしまう、そんな議論のなかで出された岸発言だったのです。

産経は、この事実をどのように弁明するのでしょうか。ま、弁明などしないでしょう。「慰安婦」問題一つとってみても、この新聞の大ウソぶりは、この新聞の知的レベル・文化と言えます。そのことが明瞭になったということです。しかし、許すことはできません。

 問題は、このような大ウソつきの産経を国民が包囲することです。大ウソを撒き散らすメディアをジャーナリズムとして認めないということです。

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