今日未明、以下のNHKの解説委員の「討論会」は酷いものでした。それはウクライナ問題の「解釈」はしても、日本としてどのように関わっていくか、思考停止状態そのものでした。2人の視聴者の意見を紹介していましたが、日本国憲法を使った日本政府独自の対応策までは、想定もできない、思考回路の欠如ぶりを暴露してしまいました。
ウクライナ問題は、加害と被害を交錯させた民族紛争の複雑さを吐露していますが、実は、こうした経験は東アジアにおいては、日本が経験ずみのものです。東南アジア・中国・韓国・北朝鮮の各民族に対する加害の事実、それを曖昧にして、いや正当化する日本の政治家の不道徳、それに対して反発する被害国の国民と諸民族、これらを「反日」として退ける偏狭な、無反省なナショナリズム。これでは解決の展望は見えてきません。
同時に、日本と振興のある国が攻撃を受けた場合、攻撃を受けるかも知れない場合、攻撃することを認めろという集団的自衛権の行使論を踏まえるならば、ウクライナ問題におけるウクライナ民族とタタール民族・ロシア民族の対立が武力対立に及んだ場合、米ロ対立に発展することは明らかです。その対立が武力行使、戦争に発展するかどうか、それは世界の世論の動向が大きな影響を与えることは明らかですが、だからこそ、憲法違反の集団的自衛権行使論具体化しようとしている安倍首相派のネライを打ち砕いていくためにも、憲法の平和主義を使った本来の「積極的平和主義」論を具体化する世論を発展させていかなければなりません。
NHKの議論のなかで出された視聴者の声は、楽観的なものでした。オバマ大統領も武力行使は否定していまし。問題は、現地のそれぞれの勢力の思いがけない武力行使が起こらないとは言えないほど、ナショナリズムが煽られていることです。怨念的です。
だからこそ、侵略戦争の反省の上に構築された日本国憲法の非軍事的手段を駆使した外交政策が求められているのだと思います。それは、日米軍事同盟枠内の思考回路からの脱却です。ウクライナにもロシアにも経済的利権を有している日本の出方は、世界も注目することでしょう。
そのためにも、日本政府は、ヒロシマで、関係各国の代表者を集めた国際会議を提唱すべきです。関係各国の諸民族の平和的生存権を保障すること、経済的利権を保障すること、関係各国の国家主権と国民の主権、人権を尊重することを踏まえて、どうすることが、紛争の解決になるか、非軍事的手段を使って解決する方が、経済的利益が保障されることを、明らかにして、会議を招集し、一致点を確認することを、関係各国首脳に呼びかけ、会議開催を提唱することです。
このことを日本国政府が、呼びかけることです。これこそが侵略戦争の反省の上になって制定された憲法の平和主義を持つ国としての最低の責任と言えます。
そうした視点にたつと、NHKも、テレビ朝日のモーニングバード!そもそも総研たまペディアも、展望をもっていないことが明らかになったのです。これが憲法平和主義を意味づけられないマスコミ界の代表的意見、認識と言えます。こうした認識が、安倍首相の集団的自衛権講師論と憲法改悪に対する暴走政策を許していると言えます。
それでは、以下の二つのテレビ番組を要約した資料を掲載しておきます。ご覧ください。
NHK 解説スタジアム 2014年3月22日放送 0:00 - 1:00 NHK総合
出演者 柳澤秀夫 兼清麻美
オープニング
ロシアのプーチン大統領は18日、ウクライナ南部クリミアを編入することを表明。これに対して欧米各国は強く非難している。北方領土問題の解決を目指しプーチン大統領との信頼関係を重視する安倍首相は難しい対応を迫られている。今夜の解説スタジアムは、世界は新たな冷戦状態に突入するのか、日本はどうするのか徹底討論する。
キーワード ウラジーミル・プーチン クリミア(ウクライナ) 北方領土問題 安倍晋三
緊迫ウクライナ 世界は
番組趣旨説明
柳澤秀夫が番組内容を伝え、兼清麻美が視聴者からの意見を番組ホームページで受け付けていると説明した。さらにテレビのリモコンでアンケートに答えられると話し、事前に届いている意見を紹介した。
キーワード 解説スタジアム ホームページ
緊迫ウクライナ 世界は
石川一洋がウクライナ情勢の現状を解説。ロシアのプーチン大統領は18日、ウクライナ南部クリミアを編入することを表明。今夜の解説スタジアムは、世界は新たな冷戦状態に突入するのか、日本はどうするのか徹底討論する。
キーワード ウラジーミル・プーチン クリミア(ウクライナ) 北方領土問題
緊迫ウクライナ 世界は ウクライナ情勢は軍事衝突まで発展する?
「ウクライナ情勢は軍事衝突まで発展する?」という質問で議論スタート。石川一洋は「あり得るとしたらウクライナ国内の混乱が広がった場合」、津屋尚は「慎重な対応をしている」とコメント。視聴者の意見も「そう思わない」がほぼ過半数を占めた。高橋弘行は「プーチン大統領がどのような行動に出るか次第でアメリカの動きは変わってくる」と話し、また安達宜正は「プーチン大統領がさらに新しい手に出る可能性がある」と話した。さらにロシアのクリミア編入についての話では意見が分かれ、視聴者から寄せられた意見が紹介された。
キーワード ウラジーミル・プーチン
ウクライナの暫定政権について石川一洋は「今はまとめる政治家がいなく政治不信がすごいので危険な状態にある」と話した。またこうなったのには欧米の責任もあるのではないかと意見を述べた。さらにプーチン大統領は今回戦略的に間違いをおかしたと話した。
キーワード ウラジーミル・プーチン
ロシアへの制裁についてアメリカなど欧米諸国はこれ以上緊張感を高めたくないのでないかとの意見が出た。これには概ね全員が同意した。この問題で日本は北方領土の問題や欧米諸国との間に挟まれて厳しい状況にあると正延知行は話した。ロシアがこれ以上なにか行動を起こせばG8から排除する動きが出るかもしれないとの意見が出た。
緊迫ウクライナ 世界は ウクライナ情勢の影響で“新たな冷戦時代”に入る?
今後世界は新たな冷戦時代に入るのではないかと思うかと視聴者からの意見を求めた。アメリカ・オバマ大統領は軍事行動に表さないと発表したことについてこの発言がよかったどうか意見がわかれた。石川一洋はロシアの側から軍事行動を起こすことは考えにくいと話した。
キーワード バラク・オバマ
今までのような冷戦状態にはならないのではないかと二村伸は話し、視聴者からも新たな冷戦状態にならないと思うと意見した人が多数だった。このままいけば不幸になるのはウクライナの人達でここからいかにしてウクライナを支援していくことが大事だと話しあった。そして日本もやることがあるのではないかという話しになった。今後の展開として、国際社会が今のウクライナ情勢を認めてはいけないと津屋尚が話した。しかしアメリカとしては次はないと言い続けるしかないのだと高橋弘行は述べた。またEUもロシアもウクライナを一つの国家として存続させていかないといけない話し合われた。
緊迫ウクライナ 世界は 欧米側による対ロシア賛成に日本は加わるべき?
欧米側による対ロシア賛成に日本は加わるべきかとの質問を視聴者から意見を求めた。視聴者からは中立な態度を取るべきだとの意見と積極的に平和外交を行うべきとの意見が紹介された。日本もロシアにも言うべきことは言うべきだと二村伸は述べた。しかしそこまでの外交力は今の日本にはなく慎重にやるべきだとの意見が出た。今回のウクライナ情勢と集団的自衛権を巡る問題を絡めて話す人もいるが今は現実的にはすぐ参加する可能性は低いと話した。日本の外交安全保障については日本政府はもっと意見を言うべきと話し合われた。
キーワード 集団的自衛権
今後の日ロ関係に関してこれからは対話していくことが重要との意見が出る。また石川一洋はロシアとの距離感が大切だと述べた。安倍総理には中長期的な目で見て欲しいとの話も出るが、今の安倍総理とプーチン大統領の仲だともっと意見してもいいのではないかと石川一洋は話した。
キーワード ウラジーミル・プーチン 安倍晋三
必ずしも新しい冷戦時代に入るとは言えず、かつてとは状況が違うのだと話し合われた。ウクライナ問題はこれからの日本の進路にも関わってくるので難しい課題だと柳澤秀夫は締めくくった。
モーニングバード!そもそも総研たまペディア「緊迫するウクライナ情勢 2014年3月5日
モーニングバード!そもそも総研 たまペディア2014年3月6日放送 8:00 - 9:55 テレビ朝日
http://datazoo.jp/tv/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%89%EF%BC%81/704938
生解説 緊迫のウクライナ情勢 日本への影響は?
日本総合研究所の寺島実郎理事長と共に、ウクライナ情勢、そして日本への影響について解説。寺島氏は経団連日本ロシア経済委員会ウクライナ研究会委員長だった経歴があり、ティモシェンコ首相とも面会をしたことがある。ウクライナは現在、キエフを含むウクライナの西側は親EU、東側は親ロシアと2つの派閥にわかれている。
キーワード ウクライナキエフ(ウクライナ) ユーリヤ・ティモシェンコ ロシア 日本経済団体連合会
そもそも総研 たまペディア 生解説 緊迫ウクライナ ロシアとの“因縁”の歴史
(17世紀に)ウクライナは(帝政)ロシアに併合されていた。1991年のソ連崩壊で独立国家を作った。ソ連時代のウクライナでは、スターリンが東部に重工業地帯を作りロシア人の入植が進んだ。現在ロシア系住民が約1000万人暮らしている。地域によって言語が違い、また、東部ではロシア正教、西部ではカトリック教の影響力が強い。今回ロシアの軍事介入があったクリミア半島には、約6割のロシア系住民がおり、ロシアへの編入を求める声もでている。
キーワード ウクライナ カトリック クリミア半島 ソ連 ヨシフ・スターリン ロシア ロシア正教
そもそも総研 たまペディア スタジオ解説
ウクライナ情勢についてスタジオで解説。ロシアはクリミア半島の分離を第一の目標にしている。ロシアには3つ海に出る経路があり、1つに黒海がある。そのため黒海に面するクリミア半島にロシアの基地を置くことは重要である。ウクライナ人が極東に多い理由は、ウクライナは独立志向で、ロシア革命の時や、ヒトラーがソ連に進行した時に逆らったことからシベリア送りにされたからである。EUにはNATOがあり、アメリカ軍も関わっており、EUとロシアの間にあるウクライナは実質干渉地帯となっている。
キーワード アドルフ・ヒトラー ウクライナ クリミア半島 ロシア ロシア革命 北大西洋条約機構 欧州連合 黒海
そもそも総研 たまペディア スタジオ解説
ウクライナ情勢でアメリカが動かないワケ、今後の日本への影響を解説。アメリカは現在お金がないので、世界中の紛争に関与する余力がない。また、ロシアという強力なカードがないと他の問題を解決することができないというジレンマがある。日本への影響のキーワードは3つ。エネルギー問題、集団的自衛権の行使、尖閣の問題が挙げられる。
キーワード アメリカ ウクライナ ウラジーミル・プーチン バラク・オバマ ロシア 尖閣諸島領有権問題 集団的自衛権
そもそも総研 たまペディア スタジオ解説
ウクライナ情勢の日本への影響を解説。キーワードはエネルギーの問題、集団的自衛権の行使、尖閣の問題の3つ。現在、日本とロシアの関係は好転しており、原油の1割はロシアから来ている。今後の制裁などの展開によってはエネルギーに大きな影響がでてくると予想される。集団的自衛権で日本とアメリカが一体になっていることから、日本の基地への攻撃もあり得る。尖閣問題の中国は、今回のクリミア半島に対するアメリカの行動に注目している。