毎日の社説を読み、その思想が改めて浮き彫りになりました。これが「ネットウヨ」と言われている勢力から朝日ともども「左翼」と評価され、攻撃されている新聞だと思うと、驚く、と同時に情けなくなります。
しかし、軍事基地被害の矢面に立っている沖縄の二紙をはじめとして、安倍首相の特定秘密保護法や集団的自衛権行使では、批判的見解を表明し、また脱原発を主張している日本の多くのマスコミが、どうしても乗り越えなければ成らない思想上の問題、すなわち日米軍事同盟の是非について、毎日の社説が、その課題を改めて語っています。
そこで、以下の社説を検証し、日本のマスコミが抱えているカベ・限界と課題について、検証してみることにします。
1.この社説に書かれていない言葉、それは日本国憲法という言葉です。「人権意識や文化の成熟など先進民主国家同士の共通の価値観」と言えば、アメリカ独立宣言と日本国憲法でなければならないと思いますが、その言葉はありません。そこに問題と課題をみることができます。
もし違うというのであれば、「人権意識や文化の成熟」「先進民主国家」とはどんな国家か、明記しなければなりません。また「人権意識や文化の未成熟」「後進国家」とは何かについても明らかにしなければなりません。こうした曖昧な言葉が、確認も検証もされないまま、傲慢にも、無頓着にも使われているのです。
その典型的人物は、安倍首相です。外遊の際に、オウムのように繰り返し強調している「普遍的価値(自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済)に基づく[1]」外交と説明している言葉です。これは外務省が主張している価値観外交と呼ばれているものですが、これも曖昧な言葉です。
現代日本が、「普遍的価値(自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済)に基づく[1]」国家かどうか、問題点をあげれば、キリがありません。まず「正当に選挙された国会」かどうか、4割台の獲得票で、7割もの議席をパクってしまうことが、どうして「自由、民主主義、基本的人権、法の支配」に基づく国家と言えるか、そのような偽り、偽装の国会によって、国民生活がどのような状況に陥れられているか、一目瞭然です。
2.「人権意識や文化の成熟など先進民主国家同士の共通の価値観に基づく同盟」は「日米同盟の基盤」であり、「今日まで日本外交の資産」であり、「米国主導の戦後国際秩序の主要な担い手となり、平和を享受してきた」と述べているにもかかわらず、「政権周辺の無責任な言動を首相がはっきり否定しない」のは何故か、について検証も解明もしていません。曖昧にしています。
3.同時に、「米国の反対を振り切った安倍晋三首相の靖国神社参拝」、「首相補佐官の『こちらこそ失望だ』という反発の応酬」「NHK会長や経営委員の歴史をめぐる発言」など、安倍首相ばかりか「政権周辺の無責任な言動」=「一連の出来事」について、「首相がはっきり否定しない」のは何故か、毎日はハッキリさせていません。
4.その理由は、毎日自身が、安倍首相とともに「日米安保条約」「日米同盟」、すなわち日米軍事同盟を容認しているからです。それは「日米安保条約によって米国主導の戦後国際秩序の主要な担い手となり、平和を享受してきた」という認識があるからです。
(1)「米国主導の戦後国際秩序の主要な担い手」とはどんな「担い手」であるか、不問です。
(2)それは、「反共の防波堤」論であり、ソ連「脅威」論に対抗するための「抑止力」論であり、自衛隊合憲論、非核三原則形骸化論、核密約容認論に対して徹底してたたかえない、すなわち日米軍事同盟容認論なのです。
(2)さらにひどいことには「日米安保条約によって」「平和を享受してきた」という認識です。日米軍事同盟によって、日本が米軍の出撃基地となり、ベトナム・アフガン・イラク戦争で無辜の民を虐殺してきたことを覆い隠し、米軍の違法な侵略戦争に加担してきたことを不問に付し、免罪し、正当化するのです。この点では、安倍首相と同一線上にあります。
(3)だから、あれほど無責任な、大ウソを語る安倍首相の言動を容認しているのです。総辞職や国会解散などを要求できないのです。
5.このことは、「日米同盟の基盤にかつてない深刻な亀裂を生じさせている」「政権周辺の無責任な言動」=「一連の出来事」を放置すれば「同盟の根幹が崩れる」し、「日米同盟の基盤」が「揺らげば同盟も揺らぐ」から、「政治指導者は立て直しに真剣に努力すべき」と述べ、叱咤激励というか、脅しというか、応援しているのです。しかし、これはスリカエであり、ゴマカシであり、トリックです。
6.その理由は、「A級戦犯の戦争責任を東京裁判受諾で受け入れ」た「1952年発効のサンフランシスコ講和条約」が「日米同盟の土台」であり、同時に「戦前の日本と一線を画す国に生まれ変わることで、世界に迎え入れられた」と述べながら、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」して、「この憲法を確定」したことの意味も内容も、一言も述べていないことです。ここに最大のスリカエ、ペテン、トリック、デタラメ、大ウソがあります。トンデモナイことです。
7.しかも、その「サンフランシスコ講和条約」時に調印された「日米安保条約」について、たくさんの事実とウソを覆い隠すのです。それは、
(1)「日米安保条約」が国民には全く秘密裏に、更には全権団にすら知らされていない条約であったにもかかわらず吉田首相個人が調印した条約であること。
(2)「日米安保条約」が認めている在日米軍が憲法九条に違反するとした伊達判決を、田中耕太郎最高裁長官がアメリカと結託して合憲としたこと。憲法の番人である最高裁裁判所が、国家主権と国民主権の侵害に手を貸したのです。国を売ったのです!安倍首相が密約を認めたにもかからず、アメリカに、そして自民党と、その政権に対して、調査するなどということすらしないことに、象徴的です。しかし、河野談話の見直し、検討には、チームをつくるのです。アベコベでしょう!こうした売国的言動に抗議すらしない「ネットウヨ」とは何か!明らかです。
(3)こうした歴史の事実を曖昧・黙殺・不問にすることよって「米国主導の戦後国際秩序の主要な担い手となり、平和を享受してきた」と「安保繁栄」論を吹聴していること。
(4)しかも、「日米安保条約」によって、アメリカの戦争に加担するなかで、アジア・中東の無辜の民を大量に殺害してきたことを不問にしていること。「人道に対する罪」に当てはまるかどうか、という問題を含んでいるのです。
(5)アメリカの違法な戦争に協力加担するために憲法九条の解釈を屁理屈の限りを尽くして大ウソとデタラメとトリックで取り繕い、空洞化、形骸化してきたことをも不問に付しているのです。
8.以上の大ウソ、デタラメ、トリックを、更に覆い隠すために持ち出してきたのが、「日米同盟は単なる軍事同盟ではなく、人権意識や文化の成熟など先進民主国家同士の共通の価値観に基づく同盟として、今日まで日本外交の資産となってきた」論です。
(1)「同盟」とは「軍事同盟」のことであることは世界的常識です。ここに、日本の思想界の最大のスリカエ、無知、無恥があります。
(2)そして「日米関係」「日米同盟」「日米安保条約」「この同盟関係」「日米同盟の土台」「日米同盟の基盤」「共通の価値観に基づく同盟」などと、軍事と「人権意識・文化の成熟」と使い分けてゴマカスのです。
(3)しかし、日米軍事同盟が、日本国民の人権を侵害している事実を覆い隠しているのです。その証拠は、沖縄です。基地弊害・基地の負担です。地位協定にみる屈辱性・従属性についても不問です。
(4)そうして「日米同盟は単なる軍事同盟ではなく」「共通の価値観に基づく同盟」などと、「日米軍事同盟」が「単なる軍事同盟」とどこで、どう違うの下、その違いを語ることなくゴマカシているのです。
9.ところで日本は、東アジアにおいては、
米国とは「日米安保条約」(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)という「軍事同盟」を結んでいます。
中国とは「平和友好条約」(日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約 を結んでいます。これは「軍事同盟」ではありません。
韓国とは、「日韓条約」(日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約 )を結んでいます。「軍事同盟」ではありません。
ロシアとは「日ソ共同宣言」(日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言)を結んでいます。「名前は宣言だが、両国議会が批准を承認した正式な条約である」(ウィキ)とされています。勿論「軍事同盟」ではありません。
北朝鮮とは「日朝平壌宣言 」(日朝両国政府による共同宣言)を結んでいるだけです。勿論「軍事同盟宣言」ではありません。
10.何故アメリカとだけ、「軍事同盟」を結ばねばならないのでしょうか。他国と同様の「単なる条約」ではいけないのでしょうか。「単なる軍事同盟ではない」「日米同盟」=「日米安保条約」というのであれば、他国と同じような「単なる日米条約」でも構わないのではないのではありませんか。
「単なる軍事同盟ではない」「日米関係」を強調するのであれば、「人権意識や文化の成熟など先進民主国家同士の共通の価値観に基づく」非軍事の「日米平和友好条約」ではいけないのでしょうか。その点を曖昧にして、違法なベトナム・アフガン・イラク戦争を正当化し、憲法九条の解釈を空洞化し、違憲であるとされた自衛隊の合法化の根拠となった「日米安保条約」=「軍事同盟」を正当化しているのが、毎日であり、日本のマスコミであり、日本の思想界です。タブー視しているのです。
11.ここに、安倍首相派が主張している憲法違反の集団的自衛権行使の根拠である日米軍事同盟を容認している毎日など、日本のマスコミや思想界が、安倍首相の憲法違反を徹底して批判し、退陣を要求できない最大の理由があるのです。
12.このことは、日本でナショナリズムが高まる背景には、
(1)「尖閣諸島周辺で相次ぐ中国の挑発的な行為」
(2)「アジア最大の同盟国に対するとは思えない冷たい対応」
(3)「中国の脅威にさらされる日本への十分な理解があるようには見えない」
という「軍事同盟」国であるアメリカへの不信を強調していることです。このことは「首相補佐官の『こちらこそ失望だ』」という不信と同一線上にあることは明らかです。
13、同時に、「A級戦犯の戦争責任を東京裁判受諾で受け入れ、戦前の日本と一線を画す国に生まれ変わることで、世界に迎え入れられた」事実を、安倍首相ばかりか「政権周辺の無責任な言動」=「一連の出来事」について、「首相がはっきり否定しない」からこそ、「戦後国際秩序への挑戦者だ」と中国に言われているにもかからず、その中国に対しては、「宣伝工作する中国につけいるスキを与えないためにも、早めに手を打つべきではないか」と述べ、中国不信を口汚い言葉を使って、産経なみの「ナショナリズム」を煽るのです。
14.こうした見地では、「平和友好条約」を調印している「被害国」中国との関係を、侵略戦争を否定し、反省して宣言してつくられた憲法九条を使って「日本でナショナリズムが高まる背景」を取り除いていくという思想と論理と方法は出てきません。ここに現代日本の病理現象・知的退廃と腐敗が生まれる背景があると言えるのではないでしょうか。
15.以上、毎日にみる、現代日本がおかれている憲法軽視の思想、日米軍事同盟優先、軍事同盟と平和友好条約をごちゃごちゃに混ぜ込み、いわゆる糞と味噌を一緒くたに、ごった煮にして国民と日本を混乱させている状況をみてみました。どうだったでしょうか。大いに論戦して、打ち破っていく必要があるように思います。ここが根っこになって、日本の外交が、国民無視の国内政治が行われているのです。
毎日新聞 安倍政権と日米関係/歴史の原点を忘れるな 2014/3/3 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20140303k0000m070075000c.html
日米関係は、危険水域に入りつつあるのではないか。安倍政権周辺から同盟の原点を揺るがす言動が続く現状を、深く憂慮する。
米国の反対を振り切った安倍晋三首相の靖国神社参拝。それに対する米国の「失望」表明と、首相補佐官の「こちらこそ失望だ」という反発の応酬。NHK会長や経営委員の歴史をめぐる発言。一連の出来事が、日米同盟の基盤にかつてない深刻な亀裂を生じさせている。
今起きているのは、過去の通商摩擦や防衛摩擦とは質的に異なる、歴史摩擦である。放置すれば同盟の根幹が崩れる。政治指導者は立て直しに真剣に努力すべきだ。
◇永遠の同盟はない
日本は日米安保条約によって米国主導の戦後国際秩序の主要な担い手となり、平和を享受してきた。半世紀以上も続く成功体験が、この同盟関係を、水や空気のように永続するものと錯覚させている。
だが、英国の元首相パーマストンの「永遠の同盟というものはない。あるのは永遠の国益だ」との言葉にあるように、同盟は利害の一致によって生まれ、共通の価値観が失われれば、消えてなくなる。
日米同盟の土台は、1952年発効のサンフランシスコ講和条約だ。日本はA級戦犯の戦争責任を東京裁判受諾で受け入れ、戦前の日本と一線を画す国に生まれ変わることで、世界に迎え入れられた。日米同盟は単なる軍事同盟ではなく、人権意識や文化の成熟など先進民主国家同士の共通の価値観に基づく同盟として、今日まで日本外交の資産となってきたのだ。太平洋戦争をめぐる歴史認識は、そうした戦後国際秩序の前提であって、日米同盟の基盤である。それが揺らげば同盟も揺らぐ。
日本側が「(オバマ政権は民主党だから)共和党とならうまくいくはずだ」と考えているなら、それは誤った見方だ。歴史認識や人権といったテーマは、どの政党の政権かによらず米国は厳しい、ということを忘れてはならないだろう。
見逃せないのは、政権周辺の無責任な言動を首相がはっきり否定しない限り、それは安倍政権と自民党の考えだと、国際社会が受け止めることだ。日本は戦後国際秩序への挑戦者だと宣伝工作する中国につけいるスキを与えないためにも、早めに手を打つべきではないか。
一方、日米同盟に不協和音が出ているのは、米国側にも責任があることを強調しておきたい。
日本でナショナリズムが高まる背景には、尖閣諸島周辺で相次ぐ中国の挑発的な行為がある。日本が領土拡張主義なのではない。にもかかわらず、オバマ政権は、中国の脅威にさらされる日本への十分な理解があるようには見えない。アジア最大の同盟国に対するとは思えない冷たい対応が、日本人の不満と不安をあおっている。(引用ここまで)