つづき
それでは、以下、これまでに公表されていた全目紙と地方紙の社説をご覧ください。安倍政権に対して集団的自衛権行使を応援する読売・産経・曖昧な日経、反対する各紙が、ロシアの軍事介入問題で、どのような論調を展開しているか、ご覧ください。
特に、松竹伸幸『「集団的自衛権」批判』(新日本出版社01年12月刊)よれば、これまで国連常任理事国が発動した集団的自衛権は、旧ソ連のハンガリー(56年)・チェコ(68年)・アフガン(80年)への軍事介入、そして、英米のレバノン・ヨルダンへの軍事介入(58年)、イギリスのイエメン軍事介入(64年)アメリカのベトナム(66年)・グレナダ(83年)・ニカラグア(84年)への軍事介入と言われています。
これらの集団的自衛権行使と、安倍首相の主張する集団的自衛権行使論との関係を追及しなければなりません。また、日英同盟と三国同盟における、いわゆる「集団的自衛権」論と日米軍事同盟における集団的自衛権論の関係を論じ、教訓を明らかにしなければなりません。
そういう意味で、ロシアの軍事介入を批判する日本のマスコミが、自らの国の内閣が行使しようとしている憲法違反の集団的自衛権論を国民に徹底して報せていくことの意味を自覚すべきです。
赤旗 大国の侵略合理化/集団的自衛権行使 小池氏が指摘/民放番組 2013年9月15日
しかも、昨日、共産党の小池議員の追及に対して、安倍首相は、以下のように述べました。しかし、この発言について、マスコミは取り上げたでしょうか。ここに、日本のマスコミが置かれている憲法軽視の実態があります。
赤旗 日本が攻撃受けなくても海外で武力行使可能/集団的自衛権 「そういう定義」と首相 小池氏 憲法解釈の変更許されず 2014年3月5日(水)
それでは、ご覧ください。
朝日新聞 ウクライナ危機/孤立の愚 ロシアは悟れ 2014/3/5 12:00
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?
日本政府も「すべての当事者の最大限の自制」(菅官房長官)を求めており、冬季五輪の開催地ソチで6月に開く主要国首脳会議(G8サミット)の準備活動を停止した。だが、米欧と比べてロシア批判のトーンは明らかに弱い。安倍首相は就任以来、プーチン氏と5回も会談し、「個人的信頼関係を深めた」と強調してきたはずだ。ならばこの危機にこそ、積極的な平和外交の役割を探るべきではないか。(引用ここまで)
朝日新聞 ウクライナ緊迫/ロシアは強硬策を慎め 2014/3/2 4:00
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?
国際社会は事態の沈静化のために結束した行動をとらねばならない。米国と国連安全保障理事会は、ロシアに自制を強く促すとともに、ウクライナ再建に向けて各国・組織の協力を呼びかける必要があろう。とりわけ隣国ウクライナの混乱から深刻な影響を受けるEU諸国は、外交力が問われる。ウクライナの国民対話の促進と、ロシアへの説得の両面でさらに力をそそぐべきだ。(引用ここまで)
毎日新聞 ウクライナ緊迫/ロシア軍は介入やめよ 2014/3/4 4:01
http://mainichi.jp/opinion/news/20140304k0000m070145000c.html
ロシアを除く日米など主要7カ国は、冬季五輪が開かれたロシア南部ソチで6月に予定される首脳会議(G8サミット)の準備活動を凍結すると警告した。 北方領土問題の解決に向け、ロシアとの信頼関係確立を目指している日本は難しい立場にあるが、領土主権の帰属問題を武力で思い通りにしないという国際法の原則に立ち、軍事介入をやめるようロシアに自制を求めていくべきだ。(引用ここまで)
読売新聞 ウクライナ危機/露の軍事介入は容認できない 2014/3/3 4:00
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20140302-OYT1T00929.htm
米国やカナダは、軍事介入があれば、6月にロシアのソチで行われる主要8か国首脳会議(G8サミット)をボイコットする構えだ。日本政府の対応も問われよう。岸田外相は、「全ての当事者が法の支配と領土の一体性を尊重し、最大限の自制を発揮するよう求める」との談話を発表した。プーチン氏は、国際社会の声に耳を傾け、軍事介入がもたらす混乱と流血を回避すべきである。(引用ここまで)
日本経済新聞 ロシアはウクライナ軍事介入を自制せよ 2014/3/4 4:00
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO67716220U4A300C1EA1000/
独立国家の主権を損ねるロシアの行動を非難するのは当然だ。国の将来を決めるのは、国民自身である。日本政府も事態を注視しつつ、国際社会と協調してロシアに引き続き強い圧力をかけていくべきだろう。(引用ここまで)
産經新聞 ウクライナ緊迫/露の危険な介入を許すな 2014/3/2 6:00
http://sankei.jp.msn.com/column/topicslist/../../world/news/140302/erp14030203150002-n1.htm
産經新聞 ウクライナ/分裂回避へ欧米は支援を 2014/2/25 6:00
http://sankei.jp.msn.com/column/topicslist/../../world/news/140225/erp14022503290000-n1.htm
中日/東京新聞 ウクライナ危機/「侵略行為」は許されぬ 2014/3/4 8:00
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014030402000137.html
日本政府もソチでの主要八カ国(G8)首脳会議準備会合への参加を見合わせた。適切な対応だが「双方に自制」を求めるなど、やや及び腰である。ロシアとは北方領土交渉を抱え、対中バランスでも対ロ関係は重要だが、独立国への主権侵害には毅然(きぜん)とした姿勢を示すべきだ。二十一世紀の国際社会は、むき出しの武力が左右する帝国主義の時代ではない。法の支配や自由、民主主義の促進を志向する諸国の結束が問われている。(引用ここまで)
北海道新聞 ウクライナ緊迫/ロシア軍の介入は不当 2014/3/4 10:00
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/524809.html
デーリー東北 ウクライナ情勢/ロは歴史の教訓に学べ 2014/3/4 10:05
http://cgi.daily-tohoku.co.jp/cgi-bin/jiten/jihyo/todayjih.htm?
ウクライナ改革支援に当たってきた日本も主権無視の行動には毅然(きぜん)と立ち向かい、国家破綻を避ける国際支援に努めてほしい。(引用ここまで)
岩手日報 世界経済/緊迫ウクライナの暗雲 2014/3/5 10:05
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2014/m03/r0305.htm
各国が制裁に踏み切れば、ロシア経済に深刻な打撃を与える恐れがある。日本を含む国際社会は強い警告を発し続けるべきだ。日本への影響も大きい。世界各地で危機が起きるたびに安全通貨として円が買われ、連動して株安を招く。市場は今後も不安定さを増すと覚悟しなければならない。さらに日本は原発事故後、火力発電用の液化天然ガス(LNG)や原油輸入でロシア依存を強めている。既に原油価格は上昇しており、エネルギー高が経済に冷や水を浴びせかねない。現段階で、日米英など先進国の景気回復が世界経済に寄与する構図は変わらない。特に米国経済は底堅いとみられるが、原油価格などの動きは注視が必要だろう。日米欧と新興国の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が2月下旬、世界の国内総生産(GDP)を5年で2%分以上底上げする目標を打ち出したのも、先進国の復調が背景にある。これまで世界経済を引っ張ってきた新興国の高成長は望めない。国際協調により、先進国を含めたG20全体での成長を目指したものだ。…新たな世界経済のけん引役を求められる日本の景気回復も、根本は米経済の好転に支えられたものだ。今年に入り株価は上がっておらず、金融政策の限界も見える。金融政策に依存しない成長戦略を構築しない限り、日本経済はリスクへの脆弱(ぜいじゃく)さが付きまとうことになるだろう。(引用ここまで)
秋田魁新報 ウクライナ情勢/平和的解決の道を探れ 2014/3/5 10:05
http://www.sakigake.jp/p/akita/editorial.jsp?kc=20140305az
茨城新聞 緊迫するクリミア半島/ロは武力行使を控えよ 2014/3/4 4:05
http://ibarakinews.jp/news/column.php?elem=ronsetu&
ロシアが軍事力行使に出た場合、6月に同じソチで予定される主要国(G8)首脳会議の開催も危ぶまれる。G8の一員として日本の対応も問われる。(引用ここまで)
神奈川新聞 ウクライナ危機/軍事介入は破滅への道 2014/3/4 12:05
http://news.kanaloco.jp/editorial/article/1403040001/
日本政府はロシアに厳しく臨んでほしい。北方領土問題の解決へ向けて穏便な関係を保ちたい立場ではあろう。だが先進国を自認するのであれば、領土や主権の侵害を見過ごしてはならない。北方領土問題を国際社会にクローズアップするなどしてロシアに圧力をかけたい。軍事行動を防ぐ鍵は国連や欧米だけでなく日本も握っているはずだ。…旧ソ連がモスクワ五輪の当時にみせた愚挙を思い出す。アフガニスタンへの侵攻を強行した上に「現地からの招待」と強弁。日本を含む多くの国から五輪をボイコットされた。(引用ここまで)
信濃毎日 ウクライナ/軍事介入は許されない 2014/3/3 10:05
http://www.shinmai.co.jp/news/20140303/KT140302ETI090001000.php
信濃毎日 ウクライナ/国民の分断を防がねば 2014/2/25 10:05
http://www.shinmai.co.jp/news/20140225/KT140224ETI090003000.php
ソ連から独立する前の豊かだった生活水準は西隣のポーランドに逆転され、今や大きく水をあけられている。反政府デモが始まる前から財政状況も悪化しており、欧米派、ロシア派を問わず、政権の経済運営に不満が募っていた。今回の政変に至ったもう一つの要因といわれる。 外貨獲得のために、ウクライナは長年にわたり紛争地などに武器を密輸してきたとされる。その中には北朝鮮も含まれる。国内で長引く政治の混乱が国際犯罪の温床になっている可能性もあり、見過ごすことはできない。日本を含む国際社会はウクライナの混乱が世界の不安定化と密接に関わっていることに、もっと関心を持つべきだ。武器密輸問題の解明も含め、積極的に関わっていく必要がある。(引用ここまで)
新潟日報 クリミア介入 外交による解決を目指せ 2014/3/5 10:05
http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20140305098605.html
日本政府は欧米と協調する姿勢を見せているものの、安倍晋三首相はプーチン氏と首脳会談を重ねて信頼関係を築いている。難しい立場に立たされよう。北方領土の問題に影響することも懸念されるが、ここはただ静観するのではなく、ロシアに自制を促すために日本が果たせる役割もあるのではないか。(引用ここまで)
新潟日報 ウクライナ政変 国の分裂は避けなければ 2014/2/26 10:05
http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20140226097286.html
ウクライナは人口が4500万人で、日本は穀物を多く輸入しており、日本からは自動車を多く輸出している。1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発がある。(引用ここまで)
岐阜新聞 ウクライナ政権崩壊/地域対立克服し国家再建 2014/2/26 10:05
http://www.gifu-np.co.jp/column/syasetsu/?
EUと足並みをそろえての政府開発援助を求められる日本の役割も重要だ。(引用ここまで)
京都新聞 クリミア緊迫/ロシアの自制を求める 2014/3/3 10:05
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20140303_3.html
各国は強く結束し、あらゆる場で介入の不毛さを訴えていくしかない。(引用ここまで)
京都新聞 ウクライナ衝突/武器置いて危機回避を 2014/2/23 10:05
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20140223_4.html
それぞれ疑心暗鬼を振り払い、辛抱強く沈静化を図ることが大切ではないか。冷静になれる環境をつくり、ウクライナの国民自身が危機を乗り越えるしかない。キエフは京都市の姉妹都市であり、民間交流に参加した市民は流血の事態に心を痛めている。平和が一日も早く戻ってきてほしい。(引用ここまで)
神戸新聞 ウクライナ/非道なロシアの軍事介入 2014/3/4 10:05
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201403/0006750958.shtml
武力行使は国際対立を激化させ、問題解決をより困難にするだけである。日本を含む多くの国がロシアに自制を求めている。プーチン大統領は国際社会の批判によく耳を傾け、ウクライナへの干渉を直ちにやめるべきである。(引用ここまで)
中國新聞 露のクリミア介入/「新冷戦」の構図危ぶむ 2014/3/4 10:00
http://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=36356&comment_sub_id=0&category_id=142&category_list=142&localfrom=column
山陽新聞 ウクライナ危機/混乱沈静化へ正念場だ 2014/2/23 10:05
http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2014022309303172/
山陰中央新報論説 緊迫するクリミア半島/武力控え対話で打開を 2014/3/4 14:07
http://www.sanin-chuo.co.jp/column/modules/news/article.php?storyid=544550033
ロシアが軍事力行使に出た場合、6月に同じソチで予定される主要国(G8)首脳会議の開催も危ぶまれる。G8の一員として日本の対応も問われる。(引用ここまで)
徳島新聞 ウクライナ介入/ロシアは武力行使控えよ 2014/3/4 12:06
http://www.topics.or.jp/editorial/news/2014/03/news_13938980217326.html
武力衝突を回避するために、国際監視団の派遣など、国連も存在感を発揮すべきである。北方領土問題の早期解決を目指す日本としては、日ロ関係の決定的な悪化は避けたいのが本音だ。安倍晋三首相はこれまでにプーチン大統領と5回も会談を重ねている。関係は「極めて良好」(外交筋)で、秋には大統領の来日も控えている。しかし、この問題に限っては、欧米各国との協調路線に軸足を置くべきだ。中途半端な配慮は国際的な信頼を損ねるだけである。(引用ここまで)
愛媛新聞 ウクライナ危機/国際社会は混乱の収拾を急げ 2014/3/1 10:06
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201403015067.html
国際社会も駆け引きをしている場合ではあるまい。民主主義の原点に戻った政権の樹立にこそ一致して協力したい。…国家運営に共通するのは、富と権力を独占する為政者のもとでは、いかなる思想や政策も国民の理解は得られないということだ。国民のための政権樹立を支持する覚悟こそが、日本を含めた国際社会にも求められよう。(引用ここまで)
高知新聞 ウクライナ緊迫/対立を激化させるな 2014/3/2 10:07
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=316351&nwIW=1&nwVt=knd
大国同士のエゴや駆け引きで、その機会を奪ってはならない。(引用ここまで)
高知新聞 ウクライナ情勢/混乱収めて国を立て直せ 2014/2/25 10:07
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=316076&nwIW=1&nwVt=knd
欧米とロシアの力関係が絡み、ウクライナ情勢の行方は確かに複雑だ。だが、さらなる混乱は国際社会にとっても打撃となる。事態の収束へ、しっかりと後押しをしたい。(引用ここまで)
西日本新聞 ウクライナ/親ロ・親欧の融和が焦点 2014/2/28 12:00
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/72001
重要なのは、暴力を排除して対話で問題解決の道筋を探ることである。ウクライナをめぐって綱引きを続けるロシアも欧米も、同国が収拾不能の混乱に陥ることは望んでいない。関係国はウクライナの安定を最優先にして、国民融和のために影響力を行使すべきだ。(引用ここまで)
佐賀新聞 クリミア危機/ロシアに自制求める 2014/3/5 8:07
http://www.saga-s.co.jp/news/ronsetu.0.2642554.article.html
他国はまずは民主的な手続きを見守るべきだろう。(引用ここまで)
熊本日日 ウクライナ危機/ロシアの軍事介入許されぬ 2014/3/4 10:06
http://kumanichi.com/syasetsu/kiji/20140304001.xhtml
宮崎日日 ウクライナ政権崩壊 地域対立克服し国家再建を 2014/2/26 8:06
http://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_4358.html
EUと足並みをそろえての政府開発援助を求められる日本の役割も重要だ。(引用ここまで)
南日本新聞 ウクライナ緊迫/ロシアは軍介入自制を 2014/3/4 8:06
http://373news.com/_column/././syasetu.php?ym=201403&storyid=55170
国際社会は事態沈静化へ向け協調し行動することが重要だ。日米欧の先進7カ国と欧州連合(EU)は非難声明を発表。6月にソチで予定される主要国(G8)首脳会議に向けた準備会合参加を当面見合わせることを決めた。日本政府がロシア非難声明に名を連ね、欧米と足並みをそろえたのは当然だ。G8の一員として日本の外交も問われる。(引用ここまで)
南日本新聞 ウクライナ政変/地域対立超えて再建を 2014/2/26 8:06
http://373news.com/_column/./syasetu.php?ym=201402&storyid=55033
対立が深刻化すれば国家分裂、内乱も危ぶまれる。日本を含め国際社会の協調が重要だ。(引用ここまで)
以上、ウクライナ問題を東アジアに当てはめて考えた時、マスコミが振り撒く対中朝脅威論に対抗するための「軍事的抑止力」論と、それを具体化している日米軍事同盟深化論、集団的自衛権行使論などが、如何に誤りであるか。マスコミがロシアに投げかけた言葉は、そのまま安倍首相に突きつけるべきです。そうすると、憲法尊重擁護の義務を負っている安倍首相が、如何に憲法をないがしろにしているか、判ります。そういう意味で、憲法遵守擁護の義務を果たす政権づくりの時が来ているように思います。