愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

起こるべくして起こった浦和レッズ一部サポーターのいわゆる差別事件!身勝手思想が生んだ背景は?

2014-03-16 | スポーツと民主主義

とうとう、忌まわしい事件が起ってしまいました。以下のNHKの記事を元に検証してみます。NHKの記事は一定の期間が過ぎると削除されますので、できるだけ、事実を掲載しておきます。「  」は記事の文書です。

J1レッズ戦で「差別的」横断幕 (3月9日 10時47分)

「差別的表現」横断幕でレッズの処分検討 (3月12日 18時20分)

差別横断幕でレッズに「無観客試合」の処分 (3月13日 13時17分)

差別横断幕のサポーター 無期限入場禁止に (3月13日 17時30分)

差別横断幕 専門家の意見は (3月13日 18時54分)

レッズ 「クラブ、サポーターが1つに」 (3月14日 16時27分)

浦和 横断幕など禁止で広島戦 (3月15日 5時04分)

それは、「観客席入り口付近に、アルファベットで『ジャパニーズオンリー』と書かれた横断幕と日本の国旗が掲げられ…横断幕は、『日本人以外はお断り』という差別的と解釈されかねない」というもので、たった3人?のサポーターが起こした事件でした。

彼らは「ゴール裏は自分たちの聖地で、ほかの人たちに入ってきてほしくない。最近は海外のファンも増えているが、応援の統制が取れなくなるのが嫌だった」「差別や政治問題化させる意図はなかった」という理由を述べているようですが、「自分たちの聖地」とは、「横断幕を掲げた3人が所属するおよそ20人のサポーターグループ」の「聖地」ということなのでしょうか。

「海外のファンも増えている」ので、「応援の統制が取れなくなるのが嫌」「自分たちの聖地」という言葉にみるようなある種の「思い上がり」があるように思います。同時に、「横断幕を外す場合にはサポーターの同意が必要といった長年の慣習により、クラブが迅速に対応できなかった」とあるように、サポーターの応援によって支えられている浦和レッズの経営、こうしたサポーターと経営陣と選手と、試合を報道するマスコミ・マスメディアという構図が、このような失態をつくりだしたと言えるのではないでしょうか。

特に浦和レッズについては、「これまでのトラブルを鑑みれば処分は妥当で当然。これを機に差別がなくなるよう断固として取り組んでいく」と話し淵田社長の言葉にあるように、いわゆる「前科」があること、「クラブスタッフが横断幕を確認してから撤去までに1時間余りかかったことについては、クラブスタッフの差別に対する認識の甘さや、横断幕を外す場合にはサポーターの同意が必要といった長年の慣習により、クラブが迅速に対応できなかったこと」などにみるように、構造的な問題があるように思います。

このことは、日本のJリーグ自身が「人種、性、言語、宗教、政治またはその他の自由を理由とする国家、個人または集団に対する差別を行ってはならない」ことに加え、ことしからは「中立地での試合の開催」や「無観客試合の開催」「試合の没収」「下位のリーグへの降格」の「制裁を新たに追加」し、「今シーズンの開幕前には各クラブに対して海外の事例なども紹介し、差別のない試合運営などを求めたばかり」だったということにみるように、Jリーグ自身にも問題があるように思います。

そういう意味からみると、今回の事件の発生は、ある意味必然だったように思います。

したがって、今回の事件の対応策について、レッドカードとしては、

「横断幕を掲げた3人が所属するおよそ20人のサポーターグループに対し、無期限の活動停止とレッズのすべての試合への無期限の入場禁止処分とした」こと

イエローカードとしては

「ホームとアウェーを問わずすべての試合で、レッズのサポーターに横断幕や旗などを掲げることを禁止」「始末書の提出を求めるけん責」「無観客試合」が突きつけられたこと、

浦和レッズには、「クラブが主体的にスタジアムを管理できるよう、新たなルールを作ることや、クラブスタッフの人権意識を高めることなどの対策を取ること」が課せられたようですが、それはそれとして、当然と言えます。

しかも「スポーツが世界に広がりを見せているなか、人種差別はスポーツの広がりを抑えることになるし、受け入れることはできない。サッカー界はもちろん、世界中の競技団体は厳しい態度で臨んでいる」なかで「オリンピックとパラリンピックの開催国になるということは、日本が世界を受け入れるという宣言をしたことになる。そのときに、人種差別をしないことは大前提だ。今回の問題をきっかけにして、改めてスポーツの在り方を考えてほしい」(山本浩法政大学教授・Jリーグの特任理事)、「6年後にオリンピックが開催される国で、このような問題が起きて、驚くとともに嘆かわしい」「ヨーロッパなどではスポーツの世界での差別は厳しく罰せられている。日本でもこういった問題をあいまいにせず、サポーターやファンに厳しい態度で臨むべきだ。スポーツやオリンピックの根幹には、友情や相互理解の促進という役割がある。東京オリンピックを迎えるにあたって、スポーツ界全体がその根幹を見つめ直して、啓発活動を進めていく必要がある」(寺島善一明治大学商学部教授)という指摘は当然のことです。

しかし、以上のような対策とそれを課しているJリーグや浦和レッズ、NHKが登場させた「専門家」の発言をみても、「『ジャパニーズオンリー』と書かれた横断幕と日本の国旗」が「日本人以外はダメ」と、誰がみても「差別」と判るような行為が行なわれたことの背景について、解明されているとはとても思えません。罰則一般的な対策しか明らかにされていないのです。

このことは、今回の事件についてコメントした「専門家」自身の指摘のなかに、日本のスポーツ界の問題点と課題が浮き彫りになっています。しかし、このことは、追及されていません。

「人種差別はスポーツの広がりを抑えることになる」のは何故か。

「オリンピックとパラリンピックの開催国になるということは」「日本が世界を受け入れるという宣言をしたこと」「人種差別をしないことは大前提」であるはずなのに、何故こういう事件が起こったか。

「スポーツの在り方を考えてほしい」という場合の「スポーツの在り方」とは何か。

「スポーツやオリンピックの根幹」に「友情や相互理解の促進という役割がある」のは何故か。「東京オリンピックを迎えるにあたって、スポーツ界全体」が「スポーツやオリンピック」の「根幹を見つめ直して、啓発活動を進めていく必要がある」と言わなければならないのは何故か。(以上NHKの記事の引用はここまで

Jリーグも浦和レッズの対応も、マスコミなどメディアも、今回の事件の背景について、調査することも、解明することも不問です。これでは、同じことが起こるであろうことは明らかです。何故か。今までも「差別してはいけない」とか、「罰則」などは、明らかにされてきたことだからです。

しかも、当事者たちは、「差別や政治問題化させる意図はなかった」などと述べているように、Jリーグや浦和レッズ、「専門家」、マスコミ・メディアなどが「心配」しているような意識・認識には立っていないのです。何故このようなズレが起こるのか、そのことを解明しなければ、同じことは再び起こるでしょう。

「ジャパニーズオンリー」の意味を深く考えていないサポーター。そこに国旗=日の丸を掲げたこと、さらにその奥には「旭日旗」も掲げられていたこと。これらはサッカーの試合では常態化していること、彼らサポーターや多くの日本国民、そして安倍政権を代表する菅官房長官の「旭日旗のデザインは、大漁旗や海上自衛隊の艦船の旗など日本国内では広く使用されており、軍国主義の象徴だという指摘は全く当たらない…大きな誤解がある」とするコメントと、それを擁護する国民をどのように考えるか、です。

時事ドットコム:旭日旗、軍国主義象徴せず=菅官房長官 - 時事通信社 2013年9月26日

(1/2) 「報ステ」横断幕問題でなぜか旭日旗取り上げる 「まったく違うものだろう

同時に、これらの日本国民の「常識」が、侵略戦争の被害国では、「非常識」となっている事実を日本国民がどのように受け止めるか、です。普通の国民は、「うるさいな」「いつまで戦争をひきづっているのだ」「何回も謝罪しているじゃないか」「補償問題は決着がついているじゃないか」など、これらの声を「反日」として受け止めているのが、ある意味定着しているのではないでしょうか。

こうした思潮構造は、普天間基地の辺野古移設問題について、沖縄県民のこころに寄り添えないこころ、フクシマの被災者や東日本大震災の被災者のこころに寄り添えないこころに通じるものがあるように思います。それは、忌まわしい侵略戦争に対する事実の「風化」と同じです。更に言えば、侵略戦争への反省を求める声を「自虐的」「反日」と称して叫ぶことで、正当化する「風評」をつくりだし、拡散していく手法・手口です。

以上のような思潮状況が、戦後自民党政権によってつくられてくるなかで、また戦後第三、第四世代が社会の主流になるなかで、「日の丸」「君が代」「旭日旗」が忌まわしい侵略戦争と結びつかない国民が圧倒的多数になってきていることです。こうした国民、いわば侵略戦争を忘れた国民、「唄を忘れたカナリヤ」状態の日本国の中で、今回の問題が発生したとみるべきです。

このことは、NHKの報道には、記録されていない以下の記者会見の内容をみると、いっそう明らかになります。特に注目した部分のみ掲載しておきます。「差別」問題の裏側に潜んでいる本質問題を検証する回避の態度・意図というか、「風潮」は、何を物語るのでしょうか。ここにこそ、メスを入れる、大ナタを振るうべきです。

別横断幕問題/Jリーグ・浦和レッズ会見全文書き起こしhttp://www.tbsradio.jp/ss954/2014/03/j.html

Q.2つあるんですが、Jリーグはアジア戦略がいろんなところで実績を残している所で、こういう問題が起きたと言うことで、Jリーグがうける打撃について。もう一つは旭日旗、レッズのサポーターがよく掲げるのを見かけるんですが、これは代表戦でも、政治的メッセージだと問題になっている、外国人に対して。Jリーグでは今後どうしていくのか?

村井チェアマン:

一点目、アジア戦略に関しては、イルファン選手が甲府に来ることで、甲府とインドネシアの友好関係を築こうという、各・都道府県がアジア戦略を通じて地域の国際化とか、青少年の国際人への育成とかいろいろなプランを描いていますので、本件のような事というのは確かにマイナスではあります。ただ日本はこうした差別を徹底的に許さない国であるということを明確に示すこと自体は、とてもアジア諸国に対しては大事なことだと思うので、起こった問題と言うよりは、それに対する対応策、対応の姿勢、そういったものを丁寧に説明していきたいと思います。それから二点目に関しては、旭日旗というものにたいしての印象はそれを受ける人によって多々、様々なんだろうと思います。その意味では個々人受け取る、心の心象の問題は多様であり、私はこの場でコメントする立場にはないと思っています。

Q.問題にはならないと?

村井チェアマン

本件においては、問題にならないと思います。

Q.あの、本件って言うか、Jリーグ全体の今後において、じゃあ

村井チェアマン:

それは今この段階ではコメントを控えさせて頂ければと思います。

Q.ではどの段階で?

村井チェアマン:

それも含めて、コメントを控えさせて下さい。(略)

Q.あと、2ページを見ますと、X、Y、Zにヒアリングをしてるんですよね。それに対して、彼らがこういう風に話したというレポートを出しているんですけど、社長が最初におっしゃたのは、「ゴール裏に外人が入るべきではない」という認識で「JAPANIESE ONLY」を出したと。明らかに差別ですよね。そういう認識を持っているのにもかかわらず、彼らはこういう認識はなかったんだけれども、結果としてそういう風に受け止められてもしょうがない。というのは、すごく甘いですよね。本当は彼らはそういう意図で、差別をするために掲げましたよ、というのが正しいレポートですよね。調査した限りではね。なんでそう書かないんですか?

淵田社長:

我々は、彼らが言ったことが、差別とか政治的な問題を取り上げるということで書いたんじゃない、揚げたんじゃない。要は、先ほど申し上げたように、そういう人たちがやっているエリアに入ってきてほしくない、それがベースになったという説明を受けたものですから...

Q.だから、それが差別じゃないですか。外人は入ってくるなよって話じゃないですか。

淵田社長:

それを受けて、我々はやはり、全体的に総合的に考えれば、いまのいままでの過去の経緯を踏まえて、差別であるという不適切なことをやってきてるんだということを申し上げて、今回の処分にしたと、こういう話なんですけど。

Q.あの、言葉でそうおっしゃるのはわかりますよ。レポートは、これは最後までずっと記録として残るものなのに、すごく曖昧な表現ですよね。

淵田社長:

むこうが、その、そういう説明しか周知するものですから。

Q.むこうの20人は「我々にはそういうつもりは無かったのに、結果的にそうとられてしまった」という風に考えても、クラブはそこまでしか追及できなかったということですよね。

淵田社長:

我々は、違いますよ。揚げたことが、その他のファンの方が見て「これはおかしいんじゃないですか」と言われたわけですよね。で、それをもって、みんながそういう風に見るのだから、これは差別的なものであると判断せざるを得ないという話を申し上げている次第です。

Q.じゃあ、もう明らかに、これは差別の横断幕だったということですよね?

淵田社長

トータルの色々な状況を考えると、そういうことですよね、ということです。

Q.そしたら、レポートは最初から「差別がありました」でいいじゃないですか。ちょっと「受け止められるような対応」、そういう微妙にごまかしながら書いているんですけど、断定していいんじゃないですかね。こういうレポート

淵田社長

そういう、レポート、「差別的と考えられる横断幕が掲出されました」と書かれておるんですけど。

Q.「差別的な」でいいんじゃないですか。

淵田社長

3ページの頭のところに「浦和レッズは当該横断幕について、掲出に至った背景や、掲出の場所等含めて、総合的にみて差別的行為と判断します」と申し上げているんです。

Q.こんなね、何ページもあるレポートの時に、一番大事なのは、一番最初のあれだと思うんですけど。どんどん読んでいくうちに薄れていくと思うんですが、全体的にこういうのが色々なところに入っているような印象があるんですけども、これが浦和のいまの体質かなと思うんですけど、そういうのは無いんですね?

淵田社長:決してそんなつもりはありません。(略)

 

Q.浦和レッズの社長は三菱自動車からいらしたんですよね?レッズの最大の株主である三菱自動車っていうのは、実際今パリだったり、海外に輸出したりとかね、おそらくそういう関係が深い会社だと思うんですけども、今回の「JAPANESE ONLY」というのは、そういう親会社に対してすごく大きな打撃を与える危険性が極めて高いと思うんですけども、三菱で実際仕事をしたりとか、社長として、実際はどれぐらいの打撃があるんですかね?この「JAPANESE ONLY」。応援するチームでそういうのを試合中に流したと。どのぐらいの打撃が

淵田社長:

ちょっと私自身は即答しかねるんですけど、いろんな意味で影響はあるのかなと思いますけど、どのくらいの打撃っていうところになるとちょっと想像ができないなと思ってます。すみません。 

つづく

コメント (2)
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