共産党の躍進が「めでたさも小くらいなりおらが春」なのはなぜか!
前号のつづきです。
毎日新聞 <共産党>衆院選で議席増 84歳の元「プリンス」に聞く 12月24日(水)17時29分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141224-00000044-mai-pol
愛国者の邪論が注目したのは、最後の言葉です。
「共産党は躍進しましたが、めでたさも中くらいなりおらが春じゃなく、小くらいなりですよ」
何故、大でもなく、中でもなく小になったか!共産党の戦略・戦術ミスがあったのではないかということを言いたいのです。全国の共産党関係者の大奮闘があったのは確実です。しかし、そこにかけられた膨大なエネルギーが、圧倒的多数の『無党派』層とのコラボが実現できなかったのは、共産党の『一点共闘』論と『対決・提案・共同』論にあるということです。
マスコミは政策抜きの「野合」の「野党一本化」論を垂れ流しました。しかし、国民の中に、この主張は一定浸透しました。それは、それほど安倍政権に対する批判が強かったということです。しかし、その「野党一本化」論は、繰り返し述べてきたように、「一強多弱」論の裏返しでした。「一強」に対する「多弱」を「野党」一般でくくってしまうデタラメ論です。
「野党」の中には、安倍亜流政党しかありません。二大政党政治の残存政党である民主党と生活の党、社会党の残存である社民党、これらの政党の歴史はどうだったか、一目瞭然です。しかし、これらの政党を支持している国民は、別の視点から観ていかなければなりません。
そこに共産党の真骨頂があるはずです。しかし、今回は安倍政権の突然の解散総選挙という側面からすると、ある意味やむを得ない面もありますが、愛国者の邪論は、こうした事態を予測して、政権構想を提唱し、その政権の公約化を主張してきました。
安倍首相が仕掛けてきた解散・総選挙に対応して共産党が候補者を擁立し、政策を発表した時にも、可能な限り、統一候補擁立と政権公約化を呼びかけてきました。「5つの提案」についても、提案ではなく、政権公約化を呼びかけてきました。躍進をしたら、この5つを実現しますというスタンスを呼びかけてきました。
こうした呼びかけが、正しかったことは、選挙直前、選挙中、選挙後の世論調査を観ても、明らかです。国民が、今回の選挙で何を求めていたか。それは政治の抜本的転換です。マスコミが仕掛けた「野党だらしない」論の吹聴による棄権=忌避が大量に作り出されました。これは予測できたことでした。だからこそ、対立軸を鮮明にする必要がありました。その対立軸とは「政権選択」「政権交代」でした。
ところが最初から厭戦感情が噴出するような世論調査が公表されました。それは小選挙区制度では当然の結果でした。だからこそ、この制度を逆手に取った戦術が必要でした。それが実現できたのは沖縄だけでした。
このような手口は小選挙区制度ができた時から判っていたことです。とりわけ90年代後半の躍進をストップさせられたことを思えば、それに対応した作戦が練り上げられるべきでした。
しかし、政権交代可能な小選挙区制による「民主党政権誕生選挙」、本来は共産党が第三極でなければならないにもかかわらず、偽装・偽造の第三極にスリカエられた「自民党漁夫の利政権奪還選挙」、そして「ねじれ解消選挙」などを観れば、どのような対策を取らねばならないか、一目瞭然でした。
しかし、今回の解散総選挙の遅れを観れば、共産党のマンネリがあったことは明らかです。そうしたことを踏まえた総括が必要不可欠です。何故か。この躍進を本当の流れにするためには、これまでの躍進の後の反攻に対応した戦略・戦術の発展が必要不可欠だからです。ところが、共産党は、この間指摘してきたことですが、「自力更生」にのみ矮小化しました。
この「自力更生」論の誤りは、今回の選挙で証明されました。前回を含めて今回の共産党への「支持」がその「実力以上」のものであったからです。では、この国民の支持が寄せられたのは何故か。安倍政権に対する国民的批判の質的量的転換と偽装。・偽造の第三極の不信があります。しかし、それでもなお、維新の会と公明党が共産党の上に位置していること、投票棄権=忌避が多かったことは、「自共対決」論が、浸透していなかったということです。
多数者革命論、国民が主人公論をとる共産党が、国民の過半数が投票所に足を運ばないという事実をどのように考えるか、です。マスコミ・安倍政権の策略があること、野党の「だらしなさ」があることは当然ですが、それらの局面を共産党にその支持を集めることができなかったのは何故か。このことこそが解明されなければならないことです。
そうした視点に立つと、喜んでいるばかりではダメだろうということです。その点で不破氏の指摘は妥当です。しかし、不破氏自身が常任幹部会員として、共産党の方針を決定する部署に位置しているのですから、このことをどのように受け止めているか、です。革命には反革命が来ることは、かつて不破氏自身が階級闘争の弁証法ということを指摘していましたので、このことを今日的に意味づけていくべきです。
そこで、以下の資料を掲載しておきます。共産党の戦略=政権選択選挙、政権構想を提唱しなかったことの作戦ミスと、政権選択を呼びかけながら統一戦線の候補者擁立を怠ってきた戦術ミスを、資料から、ご覧ください。
投票率 比例代表 得票率 小選挙区 得票率
96年衆 小59.65 7,096,765 12.55
比59.62 7,268,743 13.08
98年参 比58.83 8,195,078 8.27 8,871,703 8.96
09年衆 比69.28 4,943,886 7.03
12年衆 比59.32 3,689,159 6.10 4,700,289 7.80
13年参 比52.61 5,154,055 9.68 5,645,937 10.64
14年衆 小52.66 6,062,962 11.37 7,040,146 13.30
「中選挙区時代は自民党も各派が立って、切磋琢磨したけどね」と不破氏が指摘していることはリップサービスが過ぎるように思います。野中・古賀氏などを持ち上げる、共闘するという視点から観れば、このような指摘は、ある意味、その意味を持ってくることはあります。しかし、安倍政権に批判的な加藤紘一氏にしても、娘さんを「自民党公認」で当選させるのです。手放しの楽観はできません。
それはどのようなことか。中選挙区制の時、自民党の派閥が国民の不満のガス抜きの役割を果たしていました。それは自民VS社会のように描きながら、共産党排除する。共産党が国民の支持を得てくると、川島正次郎氏は「自共対決」と言いました。しかし、実際は、派閥から送り出して総裁の交代が政権選択のように描かれて、本当の意味の政権交代を妨害していました。勿論一票の格差も、ですが。ハト派とか保守本流とかといってゴマカシていました。実際は金権・戦犯・対米従属・民主主義形骸化政治だったのです。
川島正次郎http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E5%B3%B6%E6%AD%A3%E6%AC%A1%E9%83%8E
その上にたって安倍首相は、戦後自民党の改憲の野望を完成させようとしているのです。そのような安倍氏の野望に迎合しているのが不破氏に言わせると、現在の自民党です。不破氏の言葉を借りれば「ネオナチ」に屈服しているのです。そのことについては、以下をお読みください。
不破さん「科学の目」で「日本の戦争」を考える 侵略戦争礼賛の「日本版ネオナチ」の支配 一日も早く終わらせよう- 2014年11月4日 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-11-04/2014110403_01_1.html
であればこそ、反ネオナチ・安倍統一戦線を求める客観的条件があるということです。そのためにも、自民党の中に、というか、自民党支持者の中に憲法平和主義をどうするか!そのことを問いかけていかなければなりません。それだけではありません。圧倒的多数の「政党支持なし」層の、「無党派層」への問いかけです。この「無党派層」の人々が、『だらしない野党」に失望して、棄権=忌避するか、公明、維新の会、安倍政権を支持するという動きを示しているなかで、本来的に安倍首相を支持している人々との矛盾が噴き出してくるように思います。それは、暮らしがちっとも良くならないからです。その意味で村上さんなどのような人が出てくるか!その人たちとの共同が、どこの目線でできるか!
その意味からも、政権選択選挙として、政権構想・政権公約を提案していれば、風がもっと吹いたのではないか、そうすれば、今回以上の議席を獲得することができたのではないか、820万の目標を掲げず、650万、得票率10%という目標はそれはそれとして意味があったことは事実ですが、解散総選挙に追い込んだことですから、その目標が妥当だったかということです。そのことについては、今のところ、赤旗を観ていてもありません。
総選挙の結果について 日本共産党中央委員会常任幹部会(12月15日)
(1)
12月14日の総選挙で、日本共産党は、比例代表選挙で606万票(11・37%)を獲得し、20議席を獲得しました。さらに、沖縄1区で赤嶺政賢候補の勝利をかちとり、あわせて改選8議席の2倍を上回る21議席となり、衆議院でも議案提案権をもつこととなりました。衆議院選挙での躍進は1996年以来18年ぶりです。
私たちは、「650万票、得票率10%以上」「すべての比例ブロックで議席獲得・議席増をかちとり、小選挙区でも議席を獲得する」(第26回党大会決定)を目標にたたかい、今回、この目標を基本的に達成することができました。四国ブロックで議席にとどかなかったことは残念ですが、四国でも得票率10・12%の善戦健闘でした。
小選挙区選挙で候補者を先頭にした奮闘により、704万票(13・30%)を獲得したことは、比例での躍進につながっただけでなく、小選挙区自身のたたかいでも、今後の展望をひらく成果となりました。
全体として、総選挙の結果は、画期的な躍進といえるものとなりました。
ご支持をいただいた有権者のみなさん、ご奮闘いただいた支持者、後援会員、党員のみなさんに、心からのお礼を申しあげます。
(2)
今回の総選挙で日本共産党は、「安倍政権の暴走ストップ、日本の政治の五つの転換」を訴えぬきました。さらに政党助成金の廃止を強く訴えました。
私たちは、安倍政権と正面から対決するとともに、どんな問題でも国民の立場に立った対案を示し、国民との共同で政治を動かす――「対決」「対案」「共同」の政治姿勢を貫いて選挙戦をたたかいました。
安倍政権の暴走に対して、多くの国民が「この道は危ない」と感じているもとで、日本共産党がこの暴走と正面から対決する姿勢を鮮明に打ち出したことは、評価をいただけたと考えています。
同時に、私たちが、「消費税に頼らない別の道」、「北東アジア平和協力構想」など、内政でも外交でも、国民の立場に立った対案を訴えたことは、安倍首相が「この道しかない」というのに対して、国民の前に「別の道がある」ということを示した重要な論戦となりました。
さらに、私たちが、あらゆる分野で一致点にもとづく共同――「一点共闘」に積極的にとりくんできたことが、いつも国民との共同で頑張っている党、自分たちの代弁者になってくれる党という、日本共産党への信頼を広げることにつながり、今回の選挙で生きた力を発揮しました。
日本共産党は、新しい国会で、選挙戦で訴えた公約を実現するため、議案提案権も存分に活用して全力をつくします。「共産党を伸ばしてよかった」と多くのみなさんから評価をいただけるよう、知恵と力をつくして頑張りぬきます。
(3)
選挙戦をつうじて私たちは、自民党対日本共産党――「自共対決」こそ、日本の政治の真の対決軸であることを訴えましたが、この選挙で唯一躍進した党が日本共産党だったという事実は、これをいよいよ鮮明にするものとなりました。
選挙結果をみて、「自民圧勝」と評価する向きもありますが、これは事実と異なります。自民党は公示前の議席を減らしています。政党の力関係をもっとも端的にしめす比例代表選挙での自民党の得票率は33%にとどまっています。自民党が議席で多数を得たのは、何よりも大政党有利に民意をゆがめる小選挙区制によるものでしたが、それをもってしても議席を増やせなかったのです。
さらに、安倍政権に最も厳しく対決した日本共産党が躍進したという事実も、民意の重要な表れです。そして、沖縄の四つの小選挙区で、新基地反対の候補者がすべて勝利し、県民を裏切った自民党の候補者すべてが敗れたことも、きわめて重要な民意として、重く受け止めるべきです。
安倍自公政権が、今回の結果をもって、国民からあらゆる問題で、白紙委任を与えられたと考えるならば、大きな間違いです。沖縄から突きつけられた民意、日本共産党躍進にしめされた民意を、真剣に受け止めるべきです。
日本共産党を封じ込めようとする勢力は、この間さまざまな反共戦略をすすめてきました。この10年余の総選挙を振り返ってみても、2003年以来の「二大政党づくり」の動き、それが破たんしたのちの「第三極」論など、偽りの対決の構図に国民をおしこめる策略によって、日本共産党は前進を阻まれてきました。しかし、これらの攻撃と不屈にたたかうなかで、いま本格的な「自共対決」の時代をきりひらきつつあるのです。この間の全党の苦闘が、今回の総選挙の躍進に実ったのです。常任幹部会は、この間の全党のみなさんの不屈の奮闘に深い敬意を表するものです。
(4)
安倍政権がこれから進めようとしていることは、消費税10%、「アベノミクス」、集団的自衛権、原発再稼働、沖縄新基地――どれをとっても、国民多数の意思に背くものばかりです。それを強行しようとするならば、大きな矛盾が噴き出すでしょう。
日本共産党は、新しい国会で、総選挙で獲得した新たな地歩を縦横に活用して、大奮闘するとともに、あらゆる分野で一致点にもとづく共同――「一点共闘」をさらに発展させ、国会内外の力で安倍政権の暴走を包囲し、日本の政治を変えるために頑張りぬきます。
今回の躍進をかちとるうえで、党大会以来、全党がとりくんできた、党員拡大を根幹とする党勢拡大の運動、党勢倍加と世代的継承、党の質的強化など、強く大きな党をつくる努力は大きな力となりました。
私たちは、総選挙の画期的躍進をうけて、いまこそ強く大きな党をつくる活動に、新たな決意をもって踏みだします。(引用ここまで)