楽屋へ戻ると、琴音さんがやはりマスクをしたまま立っていて、一人一人に「今日はスミマセンでした…」と謝っていました。
もちろんわたしにも謝りましたけど、さっきのようにわたしの目を見ることはありませんでした。
自分のミスとはいえ、役を高島陽也にとられたことを不服に思っていることは明らかでした。
そんななか、杏子さんはやけに上機嫌でしてね、楽屋へ戻るなり、今日のわたしの“活躍”を褒めちぎりだしたん . . . 本文を読む
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- 嵐悳江(あらし とくえ)──手猿樂師にして、傳統藝能創造家にして、鐵道愛好家にして、古道探訪者にして、文筆家氣取り。
雅号は「李圜(りかん)」。
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