迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

ごゑんきゃうげん4

2017-03-22 05:09:20 | 戯作
嵐昇菊(あらし しょうぎく)― それが、父までの代々が名乗っていた歌舞伎役者の芸名でした、と金澤あかりは続けた。 「もともとは、“緒室屋(おむろや)”という屋号を持つ、名門だったらしいのですが……」 金澤あかりの祖父の代で家運は傾きだして― 「父が五代目を継いだときにはすっかり零落していて、役も思うように付かなくなっていたそうです。それで父は芝居に対する意欲を失って……」 三十五歳の若さ . . . 本文を読む
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