迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

ごゑんきゃうげん9

2017-03-27 05:11:40 | 戯作
僕は松から少しさがったところに腰を下ろして、スケッチブックをひらいた。 時代(とき)は戦国の世、朝妻氏が守る山城に、一本だけそびえる松― それを縁側に立って眺める、一人の美しい姫君― やがて織田信長の軍勢に攻められて炎上する城、そして庭の松の下で、まさに短刀で喉を突こうとしている白装束の姫君― すべてが焼け落ちて荒涼たる景色のなか、一本だけ、そのままの姿をとどめる松― それは時が移った現 . . . 本文を読む
コメント