迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

ごゑんきゃうげん10

2017-03-28 05:11:49 | 戯作
「書割、ですか?」 僕は再び訊き返した。 書割とは、舞台演劇の背景画をさす。 僕はもちろん、そういうものを手掛けたことはない。 第一、あれは芝居の大道具方の職分で、僕とは畑がちがう。 この老人、いきなり妙なことを言い出したものだ。 「いやぁ、ちょっとそういう方面は……」 僕は首を傾げてみせた。 絵なら全て一緒、などと考えられては困る。 「いや、書割いうても、そんな手の込んだもの . . . 本文を読む
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