迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

せんりつせり。

2015-11-22 20:09:21 | 浮世見聞記
県立神奈川近代文学館で開催されている「生誕140年 柳田國男 展」を、ようやく見に行くことが叶ふ。


貧しい家に生まれたがゆゑに農政官僚となり、農業改革に臨んだもののうまくいかず、そこで彼が得たのは、

『農村や農民を知るには、その土地の歴史や生活を知ることが大事だ』

といふ事実だった。


そしてかの「遠野物語」を著し、やがて官僚を辞して民俗学者として大成したのちも、

『真の学問とは、机上の資料を読むだけでは成立しない。自分の目や耳や足で得た情報を、人に伝えるものでなくてはならない』

の信条を持ち続けた。


わたしにはそれが、あらゆる情報が電子端末ひとつで簡単に得られる現代への、警鐘のやうに感じられる。


さうである。


われわれが本当に見るべきは、

目先の画面ではない。
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