先月二十六日にダイヤ改正した京濱急行に乗ることも樂しみに──昼間の「特急」はやはり便利だ──、平和島TRCの骨董市を覗きに行く。
手猿樂の創造意欲をそそられる美品が手に入り、わずかに殘った前の持ち主の痕跡に、ひとつの物が確實に人の手から手へと渡った瞬間を見て、今度は私が大切に扱ふと、丁寧に仕舞ふ。
かうした古物市では、値札がわざと付いてゐないイヤラシイ物もある。
これはもちろん、見世主がお客(ヒト)を見て値を決めるからで、決してすべての古物商がさうではないが、初めに訊ねた値段がいざ會計になると、さり氣ないふうに跳ね上がることがあるので要注意だ。
私はさういふ時、よほど欲しい物でない限り、ほぼ購入を拒否して離れることにしてゐる。
見世主にうっかり乗せられないためにも、日頃から良い物をよく見て目を養ふことが、廣い意味における“詐欺被害”の防止にもつながる。
それは電子端末の画面などばかり見てゐるやうでは、まず養へぬ。