まだまだ青かった時分、私の前に頻繁に現れてゐた人と似たやうな姿の人を、昼下がりの交差点で見る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/b6/b6b7623284a41712deab541d2529b473.jpg?1700561940)
あの當時、その人がどういふ真意(つもり)で私の前に現れるのか、まだまだ青かった私には測りかねた。
その人のことで、周りからはよく冷やかされたが、私は常に外堀を深く掘った上で、その人と接してゐた。
やがてその人とは縁が無くなり、いらい消息を氣にしたこともない。
が、今日に見かけた姿のよく似た人が、友人と談笑しながら交差点を渡る様子を視界の端に捉へつつ、つまらない過去(あしあと)がこんな縁もない場所で交差したことで無駄な嘆息をさせられる自分に、重ねて嘆息する。