迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

不堪紅葉青苔地又是涼風暮雨天。

2020-11-15 19:27:00 | 浮世見聞記
地元の紅葉がわずかに色づき始めた。



見頃は来週末以降だらうか。


紅葉と云へば紅葉狩、同名の謠本を開いて久々に吟ずる。



前半の妖美さ、後半の鬼凄ぶり、その変化の妙で好きな曲だ


と同時に、残念な思ひ出のある曲でもある。


あれはいつの頃やらん、女聲がひとり混ざる地謠に、私も座らされたことがある。

惡い予感通り、不協和音のみっともない舞台となった。


オンナは魔モノ──

まさにこの曲にある通り。

以来私は、謠ひはひとり吟じて樂しむことに決めた。


樂しみのために生きてゐる私にとって、樂しみが樂しみでなくなるやうなことは、絶對に赦し難かった。


だから女聲やそれが混ざるやうな能樂を、私は決して認めていない。

そもそもさういふものは、無いのだから。




「恥ずかしながらも 袂にすがりとどむれば……」

この箇所は、

いつもむつかしい。





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