迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

まっすぐの迷ひ道。

2017-03-11 19:25:49 | 浮世見聞記
わたしがその町を訪ねたのは、

まったくの偶然だった。


しかし、坂道の下にその人の姿を見て、

わたしは自分を偽ってゐたことを、

思ひ知らされる。


あれは大地震の前のことだ。


あのときの大地震で、

それまでのわたしは、

すべてが過去になった。



……はずだった。




しかし、

坂道を上って来るあなたを見て、

すれ違って行くあなたを見て、

わたしは思ひ知らされる。




六年が経ったいま、

答へを見つけることを、

忘れかけてはいないか、

と。
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