午後から天気が怪しくなり、急遽外出先を変更したことで、上方落語の名演を収めたCDを廉価で手に入れるご縁に巡り逢ふ。
笑顔そのままに明るゐ先代林家染丸の噺も魅力的だが、紆余曲折を経て戦後に重寳された橘ノ圓都の藝に、やはり耳を惹かれる。
巧まず、落ち着ひた調子で運ぶ濃密な上方言葉から、クスッと笑ひを誘はれる幸せは、味に例へるとなんであらう……?
かういふ〝名人〟はまう出ないとかなんとか、さういふ無い物ねだりはしたくない。
當世にも、上質な藝能者はちゃんとゐる。
ただ、あまりにも駄モノが多過ぎて目立たないだけで……。