神奈川縣が企画した「バーチャル開放区」に参加するため、先月ニ十九日に動画撮影した現代手猿樂「すゑひろかり」が、開催事務局の考査を経て、十月七日付で公開される。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/66/9f01f8fc853a3a10c3b97210b3482b3d.jpg?1633354867)
私などは元来が文明の利器に疎い人種ゆゑ、應募にあたっては事務局の手を煩はせる場面もあり、何事も實際にやってみなければ覺えられないものだと痛感す。
現代手猿樂を立ち上げる以前には映像の役者をめざしてゐたが、「……これは自分のやりたいことではない」と幸ひ氣付ひたことで、今日の私がある。
ところが、あの當時に心から望んでゐた映像への出演が、いまになって自分にとって最も好ましい形で叶ったやうでもあり、それも無事に生きてゐるがゆゑかと感じ入る。
そこまでの過程には東日本大震災の経験があり、昨晩にはあの時の怖さを思ひ出させる一幕もあり、平穏や平和や無事はふとしたことで簡單にひっくり返り得るものなのだと、改めて思ひ知らされる。
舞台で手猿樂が舞へない現在(いま)が、まさにそれだ!
「伝統芸能」枠で参加してゐるほかの方々の作品を通覧すると、それぞれに工夫を凝らして樂しさうにやってゐて、こちらも樂しくなってくる。
樂しみとは、さういふものでなくてはならぬ。