樂しみにしてゐた大相撲の春巡業を、今年も橫濱アリーナで觀る。

三月場所で優勝した“ザンバラ髪”の尊
富士は足の負傷で初めから休場、數年前から何となく應援してゐる貴景勝も、

幟は揚がってゐても今日の取組に名前は無く、橫綱も土俵入りだけで結びの一番には現れず、

なんか肩透かしを喰ったやうな氣がしなくもないが、新大關の琴ノ若に目的を絞ることにして、公開稽古中の場内に入る。

客席はまだガラガラゆゑ、とりあへず最後部の通路から立って觀てゐたら、アルバイトの場内係の女のコに、「指定の席について御覧下さい!」とやたら上から目線なキャンキャン聲を出されてひっぱたいてやらうか、と思ふ一瞬はあったが、それは力士たちの與り知らぬこと、序二段から始まった取組の、

時には初切を超えるような珍一番を見せて見物を和ませる雰囲氣に身を委ね、

新大關琴ノ若が、大榮翔を寄り切りで下した一番に拍手を贈り、

最後の弓取式までしっかり着席して見届けて、来年はどんな力士が現れるかな、と早くも次の春の取組に想ひを馳せる。
相撲巡業の樂しみの一つとして、ご當地出身の力士が土俵に上がる時、アナウンスでそのことが紹介されて、場内が歡声と拍手にワーッと盛り上がるのだが、今回は橫濱市磯子區出身と云ふ若い行司が一人紹介されただけで、力士はゐなかった。
昨春の前回までは何人か紹介されてゐた橫濱市出身の若い力士たち、あの人たちはどうしたのだらうかと、ふと氣になった。