強風の吹き抜ける羽田空港を脱出し、大田區の森ケ崎に至ると、限られた敷地に複數の御堂が佳くまとまった寺院を見つけて、立ち寄ってみる。
由緒書きに拠れば、當寺院は「三緑山 法淨院」と號し、一名“森ケ崎觀音”、江戸時代には浪除觀音であったものが、
戰後に先代住職によって現在の形に整へられたもの云々。
入ってすぐ左手の脇に建つ地藏尊は、昭和十三年八月二十四日に森ケ崎上空で發生した飛行機同士の衝突事故により亡くなった人々の供養のため建てられもので、
水を求めながら亡くなった思ひを汲んで、その橫には小さな水盤が設へてある。
古くより飛行機場に近い町の歴史をひとつ知り、合掌す。