横浜にぎわい座で、五人の噺家による上方落語の会を聴く。
トリは桂塩鯛。
前の芸名は桂都丸。
「ああ……」
懐かしい名前だ。
私が大阪で暮らし始めた頃、時おり聴いてゐたKBS京都のラジオ番組で、パーソナリティをつとめてゐたのが、桂都丸だった。
番組名はたしか、“桂都丸のサークルタウン”といったと思ふ。
やがて大阪での暮らしに慣れ、生活パターンが確立すると、いつしか番組を聴かなくなり、この噺家の名前も忘れて行ったが、この日、桂塩鯛を襲名した姿で“再会”した。
直接の面識は無くても、人生のどこかの時点で交錯した線は、再びどこかの時点で交錯する──
定規でまっすぐ線を引っぱっただけの人生では、さうは行くまいのではないか。
『人生に、回り道などない』
「百年坊主」を上方言葉の魅力たっぷりに口演する塩鯛師の高座を楽しみながら、ふと、ある評論家のそんな言葉を思ひ出した。
トリは桂塩鯛。
前の芸名は桂都丸。
「ああ……」
懐かしい名前だ。
私が大阪で暮らし始めた頃、時おり聴いてゐたKBS京都のラジオ番組で、パーソナリティをつとめてゐたのが、桂都丸だった。
番組名はたしか、“桂都丸のサークルタウン”といったと思ふ。
やがて大阪での暮らしに慣れ、生活パターンが確立すると、いつしか番組を聴かなくなり、この噺家の名前も忘れて行ったが、この日、桂塩鯛を襲名した姿で“再会”した。
直接の面識は無くても、人生のどこかの時点で交錯した線は、再びどこかの時点で交錯する──
定規でまっすぐ線を引っぱっただけの人生では、さうは行くまいのではないか。
『人生に、回り道などない』
「百年坊主」を上方言葉の魅力たっぷりに口演する塩鯛師の高座を楽しみながら、ふと、ある評論家のそんな言葉を思ひ出した。