この疫病騒動の元凶たる支那の町では、二ヶ月ぶりに鎖國が解かれたとやらで、花火を打ち上げ、「英雄」などと綴った電飾を掲げた云々。
性質(たち)の惡い者ほど、いちばんの加害者でありながらいちばんの被害者ヅラをする──
それによく似てゐるな、と嫌悪を覺える。
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渋谷Bunkamuraの休館に、先週にふと「行くなら今日しかない……」と感じ、『超写実絵画の襲来』展に出かけたのはやはり虫が知らせか、と思ふ。
前進座の五月國立劇場公演は、来年五月に延期となる。
この劇團が歌舞伎と銘打つものを上演出来るのは、このあたりがそろそろ限界だらう──
といふ意味で観るのを樂しみにしてゐたが、来年、といふか支那疫病の終息まで持ち越しとなりにける。
町内を歩ひてゐたら、どこからかトランペットらしき音が聞こえてくる。
為政者に自宅軟禁されてゐる住民が、憂さ晴らしに吹ひてゐるのかな、と思ってゐたら、俄かに調子っ外れな音を出すので「オヤ?」と顔を上げると、音の正体は道端の鉄柵に結はかれた幟旗の竿が、風に煽られて鉄柵と擦れる音なり。
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よく似た音を出すものだ──
だまされて笑ふなど、いつ以来やらん。