迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

梅雨明けを気長に待てやほととぎす。

2019-07-12 22:11:56 | 浮世見聞記
探してゐた二冊の本を揃って古本で見つけ、廉価で手に入れる。ネット通販で探せば値段はともかく簡単に手に入る御時世、私もちょくちょく利用するが、やはり気長に構へて店舗を覗ひてみる従来の姿勢も忘れてはならんな、と思ふ。夕方になって雲の切れ間から、少しばかり陽が差す。気持ちも、少しばかり明るくなる。陽光のありがたさを知らしめさるる、心憎き演出なり。 . . . 本文を読む
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偽者きんじらう。

2019-07-10 23:08:29 | 浮世見聞記
この頃、通勤電車内で本を開いてゐる若い男性といふものを、ちょくちょく見かける。乗車のあひだ中スマホをいじってゐる若者だらけご時世に、なんて感心!──と、真に受けてはいけない。アレは大半が、人前で知的っぽく見せるための、単なる“振り(ポーズ)”である。スマホをいじってゐる人種だらけのなかで本を読んでゐれば、さぞかし自分の姿が際立つだらう──さうした、近頃やけに増殖してゐる見せたがりの見 . . . 本文を読む
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夏の初音。

2019-07-10 09:23:28 | 浮世見聞記
蝉の聲を聞く。まだ梅雨は明けず、気温もまだ夏ではないが、生き物はすでに夏を連れて来てゐる。さてさて。蚊取り線香はどこに仕舞ったかしら。 . . . 本文を読む
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なんでも見世物か?

2019-07-09 10:38:08 | 浮世見聞記
ラジオで、戦後74年に当てた映画の宣伝をやってゐた。第二次世界大戦を、「数学」で阻止しやうとした男の話し、だと云ふ。宣伝文句をつらねるナレーションを聴ひてゐて引っ掛かったのは、それを「エンターテインメント(作品)」と述べたこと。第二次世界大戦を、“エンターテインメント”と捉へてゐる……?私には、そのやうに聞こへた。『“おもしろい映像(え)”さへ撮れればそれで良い』──現今の映像屋の職 . . . 本文を読む
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装束細見。

2019-07-08 17:00:14 | 浮世見聞記
神奈川県立公文書館のミニ展示「資料再考 波里登城将軍謁見之図」展を観る。ポスターにある文句が示す疑問について、・米國総領事ハリスとされる人物が、軍服姿であるわけがない。・徳川家定は謁見時、立烏帽子に小直衣姿と公式文書にはあるが、件の絵は小直衣姿でも立烏帽子ではない。……などなどから、これは黒船に乗ってやって来たペリーが、安政元年に横濱村で林大學頭と会談した時のものと見て良いだらう、と結論づけてゐる . . . 本文を読む
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七夕の優曇華。

2019-07-07 18:46:46 | 浮世見聞記
トリをつとめる雷門助六師の落語を久しぶりに聴きたくて、横浜市旭区民センターの「第67回 あさひ亭まねき寄席」へ出かける。噺は「虱茶屋」、助六師の洗練された寄席踊りの素養がキラキラと光る、見て楽しむ一席。過去に一度、横浜市内のホール寄席で接してゐる噺だが、良ゐ藝は何度見ても良い。「またコレか……」とお客に思はせてしまふ藝能者はしょせんその程度、もはや伸びしろナシと心得るべし。思ひがけない大当たりは、 . . . 本文を読む
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記録の妙、資料の聲。

2019-07-06 22:07:01 | 浮世見聞記
日本郵船歴史博物館の開館25周年を記念した企画展「生々流転~日本郵船歴史博物館の歩み~」を観る。企業が運営する博物館を“企業博物館”といい、かうした文化施設は日本に1000館以上あるとされ、世界で一番の数と云ふ。それは古いの公家日記にみる如く、記録好きな日本人の気質が根底にあるやうだ。かうした展示施設は、企業の足跡を記した貴重な資料の散逸を防ぐ役割も果たしており、失火で文化財をほぼ全滅させた海外某 . . . 本文を読む
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令和環境。

2019-07-04 18:43:08 | 浮世見聞記
環境、ですか……?はぁ。さう聞くと、今は昔に某國の副大統領が、やたら地球環境をネタに名前を売ってゐましたよねぇ。だうせ嘘っぱちだァな、と思ってゐたら案の定、自邸で二酸化炭素を出しまくってゐるのを報道屋にスッパ抜かれて、それっきり賞味期限切れの藝No人の如く、浮世から消へ去りましたけど……。“職場環境の改善”……?そんなものが本當に実行されてゐたら、どこの企業も人手不足だ . . . 本文を読む
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夏の御運開き。

2019-07-02 20:13:52 | 浮世見聞記
都心のいくつかの場所で、お祭りの準備が始まってゐる。今年もやはり、奇妙な天候がやって来た。しかし、人々の行事は常のごとし。いつまでも、さうありたいもの。暑いけれど、しかしそれはそれで、楽しみの多い季節。……さうありたいもの。まわりをよく見て、気を付けて、さすれば、ほらこんなところに……。おじさんたちの吊す提灯に、夏の挨拶を聞く。 . . . 本文を読む
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