トリをつとめる雷門助六師の落語を久しぶりに聴きたくて、横浜市旭区民センターの「第67回 あさひ亭まねき寄席」へ出かける。
噺は「虱茶屋」、助六師の洗練された寄席踊りの素養がキラキラと光る、見て楽しむ一席。
過去に一度、横浜市内のホール寄席で接してゐる噺だが、良ゐ藝は何度見ても良い。
「またコレか……」とお客に思はせてしまふ藝能者はしょせんその程度、もはや伸びしろナシと心得るべし。
思ひがけない大当たりは、桂小文治門下の音曲師•桂小すみの俗曲。
溢れんばかりの三味線愛で、お客に三味線普及を訴へる姿は若手ならではの良さ、どこか大昔の自分を見たやうな微笑ましさを覚ゆる。
──「日本語の通じないニッポン人なんか相手にしたくない!」と宣ふ我は、そのなれの果てにて御座候。
帰宅して「笑点」の時間に合はせてTVをつけると、初めの演藝コーナーは久々に神田松之丞の出演。
近頃の藝人と称する下らない若僧が出て来たら、すぐにリモコンの消音ボタンを押して他の用事をするつもりだったが、「お、今日はちゃんと藝人が出て来た!」と、TVの前に座る。
演題は「扇の的」、自分も今年に現代手猿楽で自作自演した物語なだけに、約七分のあひだ集中して聴き入る。
今日は七夕としては残念な天気なれど、“逢ふ”といふことにつひては、いろいろと面白い御縁に巡り逢ふ。