喫茶 輪

コーヒーカップの耳

『太陽から星になった妻』

2024-02-10 09:07:13 | 文芸
昨日書いた二冊の本のことですが。
やはり宮崎山動句集『太陽から星になった妻』がいいです。



昨日上げた句をもう一度上げておきます。

   年の暮れ若返った顔で旅に発ち
   手も足も首も温か妻は逝く
   頬ずりを温もりのある頬に添え
   安置室「寒いだろうがこらえてくれ」
   久しぶり口紅見たよ安置室

   明日からの僕の服は誰に問う
   窓拭いて吾が妻の「星」を決めようか
   死んだなんてウソだ妻は生きている

そして追加の句。

  病む妻に見せたいほどの秋の空
  筍飯妻の指図でつくります
  新若芽煮方は妻に聞きに行き
  冬服はどれにしようか妻の留守
  春衣入院の妻の若さかな
  病む妻に「自分でせよ!」と酷いこと
  二人して血圧計の三が日
  マスクせず病床の妻に叱られる
  冬服を病院の妻に聞きに行く
  ギリチョコを妻もくれた去年かな
  「あれ」「それ」で解る五十五年の盛夏かな
  今日からは息子の家族鍋料理
  妻誉めた賀状束ねて仏壇へ
  我が髪を妻に代りて息子刈る
  妻への句高得点や春めきて
  我が家訓妻と刻んで六十二年
  秋の服これでいいかと亡き妻に
  自慢話聞く妻なく秋の宵
  春を待ち妻の眼鏡で書く日記


身につまされる句がたくさんあって、妻に読んでやりながら「お前、俺より先に絶対死ぬなよ!」と言ったことでした。
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